愛も治療できますか?

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年に一度、全国が息をのむ試験——大学修学能力試験(スヌン)。
今日はその当日で、私はつい昨日まで高校3年生の受験生だった。

小学生の頃からこの一日に向けて、
ただ勉強だけに人生を捧げてきた。
周りの誰よりも成績に執着していた私は、
「応援してくれる人」なんていなかった。

友達?
そんな余裕、私にはなかった。

ライバルとしての関係。
建前では「良き競争相手」だなんて言うけれど、
心の底ではみんな誰かを羨み、劣等感に苦しんでいる。
私はそう信じていた。

そして、世間が「歴代最悪」と呼んだスヌンを終えた。

帰り道、夕焼けに染まる空を見上げながら、
私は自己採点を始めた。

結果は——満点。

年間に数人出るか出ないかの、その偉業を
私は成し遂げた。

それは、誰もが憧れる国内最高峰の医大への切符だった。

医大に入ってからもひたすら勉強した。
どんな授業も落とさず、常に成績は最上位。

そして今日、
私は胸部外科レジデント1年目としてこの病院に立った。

——初日。私は、ある教授の前に立っていた。

「教授、レジデント1年目のユン・ソアです。」

「ああ、座れ。」

「本日より、教授の指導のもとで研修させていただくと伺いました。」

「で?なんで胸部外科を選んだ?」

「……理由があって、ここに来ました。」

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「それだけか?そんなんでやっていけると思うか?」

「努力だけは誰にも負けません。」

「そんなの、ここにいるやつ全員が言える。」

「小学生のときから、この場所だけを目指してやってきました。」

「……だからなんだ?
俺が見るのはプロセスじゃない。結果だけだ。」

「実力には自信があります。」

「俺のレジデントが無能だったら、それは俺のレジデントじゃない。」

「だから、お前は“できるやつ”であるべきだ。」

「学年トップで入学、成績オールA、
卒業と同時にこの病院に採用、最年少記録——」

「これだけ頭が良ければ、俺の言ってる意味もわかるな?」

「……はい。理解しています。」

「よし。じゃあ、出ていけ。
疲れてるんだ、俺は。」

何かが引っかかった。
なぜ、よりによってこの教授なのか。

名前は——キム・ソクジン。

病院でもっとも優秀で、もっとも恐れられている教授。
知識も経験もあるけれど、
レジデントの間では“近づきたくない人”として有名だ。

「医者」という職業は、ただでさえ厳しい。
それなのに、彼の指導のもとでやっていけるのか——

正直、自信なんてなかった。