愛も治療できますか?

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「…教授、来ました。」

「おい。」

「はい、教授。」

「自分が何を間違えたか、わかってるな?」

「…はい、わかっています。」

「何だ?」

「胸腔ドレーンを、教授の監督なしで実施しました。しかも緊急の患者に対してです。本来、1年目のレジデントは指導医の監督下でのみ許可されている手技です。」

「わかってるのに、一人でやったって? 正気か?」

「…でも、本当に緊急の症例でした。処置できるのは私しかいませんでした。」

「どれだけ急だったんだ?
すぐに手術が必要で、やらなきゃその場で死ぬくらいだったか?」

「はい、本当に危険な状態の患者でした。」

「はあ…教授が誰もいなかったってこともないだろ。1年目のレジデントしかその場にいなかったなんて、おかしいだろ。」

「もちろん、他の教授もいらっしゃいました。でも、みなさん他の重篤な患者を診ておられて…」

「本当に緊急でした。これ以上は申し上げることはありません。詳細はチャートを確認してください。」

「ミスなく、無事に処置しました。技術には自信があります。」

「…生意気だな。まだ1年目のくせに。」

「“まだ1年目”でも、ここでは私しかいませんでした。」

「もう失礼します。私の患者たちを診なければなりませんので。」

「…あいつ、本気でイカれてるのか?」

その後、病棟を巡回しながら診察、創傷処置、心電図の読影など、
自分にできる限りのことを全力でこなした。

少しだけ空いた時間、ほんの仮眠でも取ろうと
病院内のレジデント用休憩室に向かった。

けれど、そのささやかな休息さえも——
遮ったのは教授だった。

「教授ですら寝てないのに、1年目が寝るのか?」

「…あ、教授。こんなところにいらしたんですね…」

「お前を探してた。起きろ。」

「え?別に私、やることありませんけど…」

「1年目にやることがない?冗談だろ。むしろ山ほどある。」

「胸腔穿刺、やってみろ。」

※ 胸腔穿刺:胸腔内に溜まった液体を針で抜く処置

「胸腔穿刺が必要な患者がいるんですか?」

「ああ。俺が横で見てるから、ちゃんとやれ。」

私はキム・ソクジン教授と共に、
処置が必要な患者のもとへ向かった。

緊張しながらも、患者の状態を確認し、
集中して手技に臨んだ。

初めての処置だったが、
教授の視線を感じながらも冷静にこなし、無事に終えることができた。

「…初めてにしては手慣れてるな。
無駄に俺のもとに来たわけじゃなかったか。」

「教授からたくさん学びたいんです。
レジデントのこの時期こそ、一番重要だと思っています。」

「……なら、もっと努力しろ。
寝ようなんて思うなよ。」

「はい、頑張ります!」

それから私は、教授の後ろをついて回りながら
2年目で学ぶような手技や知識まで教わり、
他の誰よりも早く成長していった。

食事も満足に取れず、睡眠も削られ、
日に日に体調は悪くなっていったが、
患者たちの回復する姿に、
心だけは満たされていた。

その努力が報われたのか、
私は教授とも距離が近づき、
他の教授や看護師からも褒められるようになった。

苦労して入ったこの場所で、
さらに努力を重ね、
いずれはキム・ソクジン教授を超える医師になることが私の目標になった。

「教授、私いつか教授より優れたフェローになりますから!」

「…まあ、名前くらいは残すフェローにはなりそうだな。」

「でも俺に追いつくには、まだまだ遠いぞ?」

「もちろんです。でも、いつか絶対追い越します!」

「……そうか。俺、期待してるからな?」

「はいっ、期待しててください!」