「また撮られましたね」
ドヒョンが頭を上げた。
「CCTVなんだ。昨日の事件現場に」
そのことを言ったのはチョン・ハユン。
ドヒョンが唯一連絡を取り合う人。
情報収集と分析を担当するフリーランサーハッカーだ。
ハユンはタブレットを机の上に載せた。
画面にはぼやけた映像が再生中だった。
雨の夜、商店街の路地の口。
そしてその中に—見知らぬシルエット。
黒いコート。
短い髪。
頭を下げたままゆっくり歩いていく男。
「これはあなたじゃない?」
「…いや。」
ハユンはしばらく彼を望むより、画面を止めた。
拡大した顔には表情がよく見えなかった。
しかし、その印象はドヒョンとほぼ完全に同じだった。
「確か?」
「その時は違うところにあった」
「アリバイありますか?」
「病院。診療記録残っている」
ハユンはため息をついた。
「あなたは最近、あまりにも頻繁に事件の近くに撮られます。」
ドヒョンは言葉がなかった。
しばらく考えている表情。
何か複雑な感情が通り過ぎた。
彼は窓の外を眺めた。
雨が止まったばかりの街、人々の後ろ姿、
そしてどこか混ざっているかもしれないもう一つの自分。
「初めてではない」
「何が?」
「以前にもあった。私と同じようにできた奴」
「本当に?双子?」
「そうしたらいいな」
ドヒョンはファイルを取り出した。
1番事件。
2番事件。
3番事件。
すべての被害者は「初めて見る顔なのに慣れていた」と話した。
その言葉を軽くめくることができない理由。
ドヒョン本人も、過去にその顔をどこか見た記憶があるからだった。
しかし問題は…
それがいつだったのか、どこだったのか全く思い浮かばないということ。
刑事の間でも噂が回り始めた。
「あの男、わざわざ事件を追跡して通うんじゃない?」
「フリーランスのコンサルタンと言います。
「でもちょっと…おかしな年。何故その人がそこにいるの?」
ドヒョンはそのような視線に慣れていた。
今も一日が否定しなかった。
どうせ誰も信じないから。
彼がいくら「私ではない」と言っても、
記憶に残るのはその顔一つだけだった。
その夜、ドヒョンは路地を歩いていた。
数日前に事件があった場所。
蛍光色のポリスラインはすでにクリアされており、
人々の記憶からも曇っていた。
彼はその場に立ち、しばらく目を閉じた。
そして突然―
誰かの視線を感じた。
後ろを振り返った。
人はいませんでした。
でも妙に、とても妙に…
誰かが自分を見守っているような気分。
「…勘違いだろう」
彼はまた歩き回ったが、
数歩後止まった。
ガラス窓に映った自分の顔。
その顔が、
自分の顔が合っているかどうかは確信できなかった。
