「あなたはそこにいた」
「いや、私じゃない」
チョン・ハユンは無表情でドヒョンを眺めた。
「現場では君を見たという人がいたし、CCTVにもお前の顔が撮れた」
「その時に私は家にいたから」
「ドヒョンああ。この頃になれば「偶然」というには多すぎる」
ドヒョンは言葉なしで頭を震わせた。
机の上には一枚の写真。
白黒で出力されたCCTVキャプチャ本。
暗い路地、商店街の看板の下、
自分と全く同じ顔の男がカメラを見ていた。
「あの人、私じゃない」
「じゃあ誰?」
ドヒョンは答えなかった。
今この状況を説明する言葉がなかった。
ハユンは静かに写真を撮った。
そして言った。
「…この人、君をついている」
「それはすでに知っている」
「いや、今度はちょっと違う」
「何が?」
「あなたよりも…あなたのように」
夜、11時。
ドヒョンは手がかりを追ってドリムドンの廃商街通りに向かった。
そこにあった3件の事件のうちの1つの被害者が最後に目撃された場所だった。
通りは静かだった。
雨は止まらず、街灯は点滅しました。
そして。
その瞬間。
ドヒョンは本能的に感じた。
誰かが彼を見守っていた。
建物のガラス壁を超えて。
鏡のように反射した路地の反対側では、
ドヒョンの顔をした男が立っていた。
目が合った。
本物だった。
カメラも、反射でもなかった。
その男もドヒョンを見ていた。
ドヒョンが息を吸った。
そして、走った。
足音。
雨に濡れたセメントの床。
ドヒョンは閉店家の建物に飛び込んだ。
1階、2階、
蛍光灯が1つ点灯していない廊下。
積み重ねられた塵、壊れたガラス、
そして—
暗い端では、
その男が彼を待っていた。
ドヒョンは歩きを止めた。
呼吸が荒れた。
目の前の男。
自分と同じ顔。
しかし……とても静かだった。
その男が口を開けた。
「どこまで来たね」
「…あなたは誰だ」
「お前は、俺じゃない」
声すらドヒョンと同じだった。
だが、抑揚がなかった。
言葉ではなく、録音された音声のように聞こえた。
ドヒョンは一歩先に近づいた。
「これは…なんだ?本当なんだ、お前」
その男は頭をそっと傾けた。
そして笑顔を作った。
ドヒョンが一番嫌いな方法で。
自分の顔に似合わないその表情で。
「あなたは今、遅れた」
そしてその言葉とともに、
男は裏口から消えた。
ドヒョンはしばらくそのまま立っていた。
誰が見ても追いかけなければならない状況でしたが、
彼は動かなかった。
自分の体、
自己精神、
「理解できない自分」と向き合った衝撃で止まってしまったのだ。
彼は結局崩れたように、壁に期待した。
息が深まり、目を閉じた。
「その顔が…私より私のようだった」
