「ねえ」
「ねえ、起きて」
誰かが私を呼んだ。閉じていたのに気づかなかった目を開けると、目の前には昨日見たコンビニのイケメンがいた。
「え、え?!」
これは…挨拶をすべきなのか、なんで急に目の前にいるのか聞くべきなのか。
順番を間違えてしまって、私は黙り込んでしまった。

「よく寝た?でもこれ、夢だよ」
うっ(分かっていたけど、すごく現実的だな…)
「でも、夢の中だから君が考えてることが見えるよ」
「え…えぇ??いや、それは…」 (あぁ、バカ、なんでこんなに言葉が出てこないんだ…)

「ふふふ、冗談だよ。純粋だね、ほんとうに信じると思ってた?」
正直、他の人がこんなことを言ったら腹が立っていたはずなのに、なぜか怒りが湧かない。はは。自分がどうしてこんなにぼーっとしているのか、不思議だ。
現実に戻った後、イケメンの顔をちらっと見た。
わぁ…このままぼーっとしてて終わりにしてしまおうかな。
その整った眉毛が下に降りて、目元が時々かわいくもあり、バカっぽくも見えるけど、実はそれが色っぽかったりする。
鼻筋が完璧で、思わずそれに向かってお辞儀したくなるくらいだし、唇はふっくらしてて誘惑的… へっ…
「はぁ…ほんとに何してるんだろ、頭おかしいな」

「何が??…でもさ、
今起きないと面接に遅れるよ」
「そうだ、面接…」
エピソード2
「メヨンジョップ!!!」
私は目を開けた瞬間、慌ててスーツを着て、靴を無理に履き、家を飛び出して走った。
面接会場に到着してなんとか入って、面接を終えたけど、走ってきたからか、待っていた人たちよりもだらしない格好をしていることに気づいてしまって、だんだんと気になった。
「はぁ…疲れた」
一ヶ所や二ヶ所の面接じゃなく、いくつかの場所を回ってきたので、気づいたらもう夕方だった。考える間もなく、コンビニに入り、エネルギー補充のためにチョコレートをレジにたくさん置いた。
「会計お願いします」
「こんなに夕方に食べると健康に悪いよ」

バーコードをピッピッと読みながらぶつぶつ言っているアルバイトの店員を見てみると、
あのイケメンだった。
夢の中で見た通りで、目を離せなかった。
会計が終わり、彼が代金を受け取ろうと顔を上げたとき、私はまるで片思いしている子のようにすぐに目を逸らした。
感情がバレないように…
認めたくなかった。私は人の心で付き合うべきだと思っていたけど、今は外見に最初に惹かれてしまった自分を認めたくなかった。
「すみません、会計お願いします」
「あ、はい、ちょっと待って、財布が…」
私はバッグを探すために頭を下げた瞬間。
その少しの傾きに耐えられず、
靴が壊れてしまった。
ガクッ!
「うあっ!」
私は驚いて床に倒れた。
気づかなかった。
面接会場を靴を無理に履いて走り回っていたのに、精神的に疲れていたせいか、かかとが赤く腫れ上がっているのに気づかなかったみたいだ。
トントン…
??
イケメンは私が転んだ瞬間、救急箱から赤い薬を持ってきて、
何も言わずに薬を塗ってくれ、そしてペパーミントの飲み物を渡してくれた。

「飲んで元気出してね~。ソウル生活大変だよね?今日もお疲れ様」
「家に帰れる?疲れてるならちょっと休んでいったほうがいいよ」
「ありがとうございます…」
イケメンはお客様が来るから、レジ前ではなく自分のところに椅子をもう一つ置いて、
私をその横に座らせようと椅子をトントンと叩いた。
「ちょっと失礼な気がする…すみません」
「大丈夫だよ~、あの傘でお互い様だね~、ふふ」
バカ…あの時、自分がミントチョコミルクをくれたくせに…
それでもありがたかった。
本当に辛い時にかけてくれる一言が、こんなにも力強い。
「そういえば、名前も知らないですね?私たち、隣人ですよね」
「え?そうですね、名前は?」
「僕はファン・ヒョンジン。ヒョンジンって呼んでね」
「私はソルハです。ミン・ソルハ!」
「ソルハ~、名前が綺麗だね」
はぁ…言葉もきれいに言って、どうしよう。
他の子たちにもこんな風に接してるのかな…。
でも、イケメンならちょっと優しくされるだけで、みんな惚れちゃうだろうな。
はぁ、嫌なのに…
え?
なんで嫌なんだ?
いや、ミン・ソルハ、どうしたんだろう。
心臓の鼓動がまだ落ち着いていなくて、この狭いレジの空間に響き渡りそうで、
ヒョンジンが私の本当の気持ちを知ってしまいそうで…。
たった2回しか会っていないのに、勝手に進展させている自分がすごく情けなく感じる。
私はまだ少し足が痛かったけど、先に立ち上がってコンビニを出た。
後からヒョンジンが走ってきて、ポケットに何かを入れてくれて、そのままコンビニに戻った。
それはバンドエイドが2、3枚と小さなミントチョコだった。
