夏だった

01 | 学校で一番、うっとうしい嫌な奴

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夏でした。


幼い頃、本やドラマで見た愛は壮大で力強いものだと思っていました。桜が散る街角では、その人以外はすべて消え去り、その人の愛を勝ち取るためにはどんなことでもしなければならず、命を捧げることさえ当たり前だと思っていました。幼い頃に学んだ愛の定義は、「一目惚れして、その人のためにすべてを捧げられること」でした。だからか、私の初めての恋はそれほど壮大なものではなく、本当の愛とは何かを理解するのにかなり時間がかかりました。彼は一目惚れの決まり文句をすべて打ち破るような、とにかくうっとうしい男でした。私の一番の座を奪った男、あの傲慢な嫌な奴。もっと言えば、彼は私とは正反対で、いつも明るく、まるで誰かに照らされているかのように人々に囲まれていた。


彼に初めて会ったのは、高校1年生の中間試験の成績発表の日だった。毎日クラスで何度も名前が挙がっていたので、彼のことは既に知っていた。ハンサムで背が高く、優しく、勉強もできる彼は、多くの女子生徒の憧れだった。いつも笑顔で通り過ぎていく彼。初めて私に迷惑をかけたのは、中間試験の成績発表の日に彼がクラスに来た時だった。いつも周りに人がいっぱいいる彼なら、私のことなんて知るはずがないと思っていた。

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「やあ、僕はチョン・ジョングク。君はク・ヘウォンだよね?」

"あなたは私を知っている?"

先生が成績表を配った後、私は「2位」という成績にショックを受け、座っていました。ふと成績表から目を上げると、目の前に毎日耳にしていた噂の主人公、チョン・ジョングクが立っていました。

「ええ、もちろん。あなたは本当に勉強が得意だって聞いてるわ。高校に入る前はいつも成績が1番だったって友達から聞いてたわ。」

「何か用事でもあるのか?勉強のことじゃないと思うよ。君は学校で一番だって聞いたよ。一番を自慢したいなら、周りの人に言いなさいよ。」

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「今回は運が良かっただけだよ。勉強じゃなくて、ただ君と友達になりたかっただけなのに。でも、君は本当に冷たいね。」

下の学年ですでに落ち込んでいたのに、今度は一番だった彼が友達になりたいと言い出すなんて。まるで夢を見ているようでした。彼が私に話しかけてきた理由はただ一つ、私が二番だから、彼が私のことを知りたかっただけだろうと思っていました。

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「ごめんね、でも友達作りに来たわけじゃないんだ。それに、君の周りにはもう友達いっぱいいるでしょ。どうして邪魔するの?話が終わったら帰って。勉強しなきゃいけないの」

「こうしよう。僕は君と友達でいようと努力し続ける。もし君がそれを望まないなら、次の期末試験で僕に勝って1位を取ってくれ。そうすればもう君に迷惑をかけない。でも、それでも1位だったら、一つ願いを叶えてくれ。どうだい?」

「なぜそうしなければならないのか?」

「嫌なら友達でいいよ〜」

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突然、彼がやって来て友達になろうと誘ってきた。そして、邪魔されたくなかったら期末試験で彼に勝てとまで言われた。わけが分からなかったし、そんな事に時間を浪費する余裕もなかった。私はバッグをまとめて、彼を無視して家に帰った。帰り道、今起きた出来事について考えていたが、しばらくして現実に引き戻され、英語の単語帳の復習を始めた。

あっという間に一週間が過ぎた。その週は帰り道で迷惑をかけられていたが、幸いにも下校時間になると会いに来てくれるだけだったので、他の子からの質問攻めに遭うことはなかった。昨日までそうだった。もう帰り道で迷惑をかけないでくれと言った後、次の日がどうなるかは全く分からなかった。翌朝、時間を無駄にしたくなかったので家を出て、両方のイヤホンをつけたままオンライン授業を聞きながら教室に向かった。朝はいつも女の子が化粧をしたり男の子がゲームをしたりと少し騒がしいのだが、音量を上げて教室に着くと、荷物を広げて教材を広げた。授業を聞いていると、長時間同じ姿勢でいると首が痛くなってきたので、イヤホンを外して首を回した。すると突然、横から誰かが話しかけてきた。

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「ヘウォンさん、こんにちは。」