チェ・ボムギュは、キム・ヨジュのことを、これまで苦労して築いてきた信頼を壊してしまう“障害物”のように感じていた。だからこそ、キム・ヨジュに対してだけはつい言葉が鋭くなってしまうことも多く、他の人たちからちょっと困った質問をされることもしばしばだった。
「ボムギュ、ヨジュのこと嫌いなの?」
「そう見える?」
「うん、顔に出てるっていうか?ヨジュを見るたびに眉間がすごく寄ってるんだよね」
「……そうなんだ」
「今、全校生徒の間で噂になってるの知ってる?あんたの評判ってすごくいいじゃん。だから“あのボムギュの機嫌を損ねる嵐の転校生って誰だよ”って、みんな大騒ぎだよ」
「噂になってるなんて知らなかった」
「まあ、でも私は思うんだよね。あんたが誰かを嫌いになるには、それなりの理由があるって。あんたって、理由もなく人を嫌ったりするタイプじゃないでしょ?」

「人を嫌いになるのには、必ず理由がある…か」
いくら考えても、どうしてキム・ヨジュのことがこんなに嫌いなのか、その答えが見つからなかった。
「はぁ、イライラする」
整っていた髪をぐしゃぐしゃにしながら、ボムギュはズキズキする頭を押さえて勝手に結論を出した。
「嫌いな理由が多すぎて、ひとつに絞れないってことにしとこう」
