君が忘れた日を覚えてる

3

カフェの扉が開かれるとおなじみのシルエットが入ってきた。いつものように黒い帽子を押した男は片手にイヤホンを握ったままレジに向かって歩いてきた。彼が来る音に頭を上げ、向かい合った瞳にしばらく言葉を失った。

 

 

「今日も同じ席で大丈夫ですか?」

 

 

ジョングクは頭をうなずいて短く言った。

 


「そして…今日はアイスアメリカーノじゃなくてオススメ一つだけしてくれます」

 

 

意外だった。反射的におすすめメニューを詠んだ。

 


「今日はシナモンクリームラテがたくさん出ています。

 

 

言葉を終わらせる前にジョングクが笑って首をうなずいた。

 


「それをください。甘いものが必要です。

ああ、そしてブラウニーも一つです。」

 

そして、ブラウニーを追加した。いつものように冷たい顔で、でも少しは変わった目で。

 

注文を受けて振り返りながら、心が乱れてしまうのを感じた。些細な目つきの変化一つ、変わった注文一つが私をよほど緊張させたようだった。

 

 

しばらくコーヒーを降りていたとき、ジョングクが静かに近づいた。

 


「ここ…静かでいいです」

 


その言葉は誰かにはただ挨拶のように聞こえるかもしれないが、妙に見知らぬ深く近づいてきた。コーヒーカップを渡って聞いた。

 


「じゃあ毎日来る理由は静かなんですか?」

 

 

ジョングクは私を望むよりも非常にゆっくりと微笑んだ。

 

「いいえ。静かな雰囲気のためだけではないようです」

 

 

言葉をぼやけるジョングクの態度にもう聞かなかった。その言葉の意味をあえて掘り下げたくなかった。いや、実は知りたかったが、そんな資格がないという考えが先に聞いたからだった。

 

 

ブラウニーを盛り込んで自分に尋ねた。


なぜ彼を知らないふりをするのか。
正確には、なぜ彼の記憶を認めないようにするのか。

 

 

夢だった。幼い頃からインキュベーションしてきた唯一の夢。ダンサーになると、体が壊れるように練習し、毎日自分で拭き取った時間たち。

ジョングクはその夢を一緒にした人だった。一緒に踊り、一緒に崩れた―舞台を下ろしながら背を向けた瞬間の中心にあった。

 

 

彼と向き合うのは単純な再会ではなかった。私があきらめたことを認めさせることで、あまりにも長く抑えてきた感情まで引き上げる事だった。

 

 

 

彼がずっと訪れる理由を知っている。彼は私を忘れなかったからだ。

忘れないで、守ることにした記憶がそれにはそっくり残っている。

 

 

「あの人、毎日来ますか?」

 


アルバの同僚が尋ねた。私は笑うふりをして頭をうなずいた。

 

 

「うん。毎日ブラウニーとアメリカーノを注文して。今日は……じゃなかったけど」

 

 

「彼氏だった?」

 

 

「いいえ。」

 


断固として言った。


だが、心の片方は否定できなかった。実は、それより足した仲だった。
夢を一緒に飾った人。そして、一番忘れたかった過去。

 

 

カフェガラス窓を越えてジョングクが座った席が見えた。いつものように窓の外を眺めながらコーヒーを飲む姿。
その場には、まるで誰かを長く待ってきた人の静かな孤独が込められていた。

 

 

ジョングクは首を回して視線に直面した。その瞬間、避けなかった。

 


初めて目を合わせた。

とても短い瞬間だった。

 

 


しかし、ジョングクは確信した。
彼女が覚えているということ。
彼女も自分を、その時代を、忘れなかったということ。