「……やばい、私バカじゃん、ユン・ヨジュ……」
「あんなに偉そうに言ったくせに……あのおじさまをどうやって落とすってのよ!?」
「ジョングクにビンタされたら死ぬほど痛いし…
おでこ一発で脳震盪レベルじゃない!?」
ユン・ヨジュ、このバカ……
どうしてジョングクに賭けを持ちかけるなんて無謀なことしたの…?
自分で自分の寿命縮めてるって、気づいてる?
「……うん、いい人生だった……」
家のドアの前で、虚無モード突入中だったそのとき——
「……すみません、ちょっとどいてもらえますか」
「えっ?」

「家の前を塞がれてるんですが」
し、し、し……っ!
この顔、反則でしょ……
セクシーな初恋さまが話しかけてくれた…!!!
ジョングクのビンタより、
このおじさまの心臓攻撃で先に逝くかもしれない……
「……本当に、いい人生でした……」
「……え?」
「い、いえっ!!!」
「朝も会って、またお会いしましたね~!ふふ♪」
「やっぱり私たち、運命なんじゃないですか~?」
✨ウィンク✨
賭け? そんなのどうでもよくなった。
おじさまの顔を見た瞬間、全部吹っ飛んだ。
これが“おじさま効果”……!
ここぞとばかりに、応援ウィンクまで添える私のセンス✨
「……隣だから、よく会いますね」
「では、これで」
……え、今、完全に距離置かれたよね?
“ご近所さんですね”って、境界線引かれたよね??
いやいやいや、隣ってかなりの運命だよ!?
もっと喜んでもいいところでしょ!?
「もうこうなったら、賭けもあるし……見せてあげる。
私の“口説き力”ってやつを!」
「……通報されなきゃいいけど」
「今日から始まる、ユン・ヨジュの“おじさま落とし大作戦”!!」
「……って、プロジェクト名ダサくない?」
「まぁいいや。おじさま、イケメンだし」
•
キィィ……(ドアの開く音)
「あら〜!出勤ですか〜?おはようございます〜♪」
「……あ、おはようございます」
作戦その①!
早起きして、出勤タイミングを合わせて
「おはようございます」作戦☆
「スーツばっちりですね〜。会社員さんですか?」
「……まあ、そんなところです」
「私も会社員なんです〜!
すぐそこの会社で働いてて、ふふ♪」
「同じ社会人として、仲良くしましょ〜!」
「なんなら、私チームリーダーなんですよっ」
「……すみません、急ぎの仕事があるので
これで失礼します」
「お話あまり聞けなくて、ごめんなさい。
お仕事頑張ってください」
作戦その①、失敗。\(^o^)/
……でも、挨拶できたし、
「仕事頑張って」って言われたから半分成功かも?
なにより朝からおじさまの顔見れたし。幸せ♡
でもさ……
「あのおじさま、ベンツ乗ってたけど……」
「お金持ちなの……?」
「顔もよし、セクシーさもよし、金もあり……
持ってるな、あの人……」
「あとは私だけ手に入れれば、パーフェクトじゃない?」
(´艸`)
「どうしてあんなにカッコよくて、セクシーで、お金持ちなの?
まさか……彼女いるとか??」
「だからあんなに壁作ってるの!?」
いや待て。
普通なら、あの顔見たら彼女いるって思うけど…
でも私は違う。ユン・ヨジュは、普通じゃない。
「関係ないし!」
「彼女がいようがいまいが、私には関係ない!」
「私のやることはただ一つ、口説き落とすだけ!」
「相手が私を好きになる可能性?
そんなの、自分で作ればいいのよ」
「おじさま、私が――」
「絶対に、落としてみせるから!」
