セクシーな初恋さま

02

「……やばい、私バカじゃん、ユン・ヨジュ……」

「あんなに偉そうに言ったくせに……あのおじさまをどうやって落とすってのよ!?」

「ジョングクにビンタされたら死ぬほど痛いし…
おでこ一発で脳震盪レベルじゃない!?」

ユン・ヨジュ、このバカ……

どうしてジョングクに賭けを持ちかけるなんて無謀なことしたの…?

自分で自分の寿命縮めてるって、気づいてる?

「……うん、いい人生だった……」

家のドアの前で、虚無モード突入中だったそのとき——

「……すみません、ちょっとどいてもらえますか」

「えっ?」

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「家の前を塞がれてるんですが」

し、し、し……っ!

この顔、反則でしょ……

セクシーな初恋さまが話しかけてくれた…!!!

ジョングクのビンタより、
このおじさまの心臓攻撃で先に逝くかもしれない……

「……本当に、いい人生でした……」

「……え?」

「い、いえっ!!!」

「朝も会って、またお会いしましたね~!ふふ♪」
「やっぱり私たち、運命なんじゃないですか~?」

✨ウィンク✨

賭け? そんなのどうでもよくなった。

おじさまの顔を見た瞬間、全部吹っ飛んだ。

これが“おじさま効果”……!

ここぞとばかりに、応援ウィンクまで添える私のセンス✨

「……隣だから、よく会いますね」
「では、これで」

……え、今、完全に距離置かれたよね?

“ご近所さんですね”って、境界線引かれたよね??

いやいやいや、隣ってかなりの運命だよ!?
もっと喜んでもいいところでしょ!?

「もうこうなったら、賭けもあるし……見せてあげる。
私の“口説き力”ってやつを!」

「……通報されなきゃいいけど」

「今日から始まる、ユン・ヨジュの“おじさま落とし大作戦”!!」

「……って、プロジェクト名ダサくない?」

「まぁいいや。おじさま、イケメンだし」


キィィ……(ドアの開く音)

「あら〜!出勤ですか〜?おはようございます〜♪」

「……あ、おはようございます」

作戦その①!

早起きして、出勤タイミングを合わせて
「おはようございます」作戦☆

「スーツばっちりですね〜。会社員さんですか?」

「……まあ、そんなところです」

「私も会社員なんです〜!
すぐそこの会社で働いてて、ふふ♪」

「同じ社会人として、仲良くしましょ〜!」

「なんなら、私チームリーダーなんですよっ」

「……すみません、急ぎの仕事があるので
これで失礼します」

「お話あまり聞けなくて、ごめんなさい。
お仕事頑張ってください」

作戦その①、失敗。\(^o^)/

……でも、挨拶できたし、
「仕事頑張って」って言われたから半分成功かも?

なにより朝からおじさまの顔見れたし。幸せ♡

でもさ……

「あのおじさま、ベンツ乗ってたけど……」

「お金持ちなの……?」

「顔もよし、セクシーさもよし、金もあり……
持ってるな、あの人……」

「あとは私だけ手に入れれば、パーフェクトじゃない?」

(´艸`)

「どうしてあんなにカッコよくて、セクシーで、お金持ちなの?
まさか……彼女いるとか??」

「だからあんなに壁作ってるの!?」

いや待て。

普通なら、あの顔見たら彼女いるって思うけど…

でも私は違う。ユン・ヨジュは、普通じゃない。

「関係ないし!」

「彼女がいようがいまいが、私には関係ない!」

「私のやることはただ一つ、口説き落とすだけ!」

「相手が私を好きになる可能性?
そんなの、自分で作ればいいのよ」

「おじさま、私が――」

「絶対に、落としてみせるから!」