サニーボーイ

エピソード3

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05.

望まぬ転校の後、私は急速に成長した。かつて私に満ちていた虚勢は消え去り、すべての言葉を汚い言葉で終わらせなくなった。どれもクールではなかった。殴りかければ強そうに見えるという幻想も捨てた。もう何もかもどうでもよくなった。両親が私を転校させた新しい学校では、私は顔を伏せ、まるで存在しないかのように振舞った。誰かが話しかけてきたら、場を和ませる程度に返事をした。高校時代もこんな風に生きていくのだろうと思った。退屈だけど、なんとかなる。二度と指さされて怪物呼ばわりされるのは嫌だった。

もうスーパーヒーロー映画は見なくなった。壁に貼ってあったポスターを全部剥がし、かつて大切にしていたアクションフィギュアのコレクションも捨てた。どれも見たくなかった。ヒーローはもう憧れの対象ではなくなった。

こうして私の中学時代は終わった。高校では、背も高く、精神的にも大きく成長し、昔の友達でさえ私だと気づかないほどだった。傷と怒りに満ちた日々を乗り越え、今は落ち着いていた。もうほとんど怒ることもなく、感情もあまり揺さぶられなかった。「まあ、そういうものなんだ」「そういうこともある」「人間ってそういうもの」そんな考えで生きていた。

高校では中学校よりもクラスメイトとたくさん話した。冗談を言い合ったり、一緒に食事をしたり、一緒に帰ったりした。でも、自分のことは一度も話さなかった。過去を話すと、話がややこしくなるだけだった。転校した理由や一人暮らしの理由、前の学校に友達がいなかった理由など、話したくなかった。考えるだけで疲れた。退屈な生活の方が好きだった。悪くない人生だった。少し寂しかったかもしれない。

放課後、僕はよくキャンパス近くの古いビルの屋上へ行った。そこは今にも崩れ落ちそうで、誰も行かない。一人になるには絶好の場所だった。まっすぐ家に帰ることは滅多になかった。屋上にいると、かえって気分が悪くなる。空虚感がすぐに押し寄せてくるので、避けるようにしていた。その日もいつもと変わらなかった。放課後、僕は屋上に登り、カバンを放り投げて横になった。空はどんよりと曇っていた。梅雨の時期だからだ。雨が降ろうが降らまいが、僕には関係ない。たとえ降っても、僕は濡れない。まるで見えないバリアで囲まれているかのように、水が弾き返される。以前はその恐ろしさが嫌だったが、今は受け入れていた。びしょ濡れにならないのは、気持ちがよかった。

しばらくすると、案の定、雨が降り始めた。ポツリ。地面に落ちる雨音でうたた寝から目覚めた。うるさい…止めた方がいいかな?少し考えた後、また目を閉じた。願い事をするのも面倒くさい。自分の力を使う気にはなれない。どうせすぐに止むだろうと思った。しかし、雨はどんどん激しくなり、まるで土砂降りのようだった。周りの世界をびしょ濡れにした。本当に奇妙な感覚だった。みんなが傘をさして慌てふためいているのに、自分だけ濡れていない。それを止められるのは自分だけ。まるで自分が…特別な存在みたい。私は苦笑いした。それでも、私はまだ学んでいなかった。世界にとって、私はただの怪物だったのだ。

ゆっくりと瞬きをしながら、雨に濡れた周囲の世界を眺めた。濡れないように走り回る人々、雨を吸い込む大地、水滴でキラキラと輝く葉、灰色の曇り空。世界を眺めるのは楽しかった。まるで自分が普通の人間になったかのように、平穏な気分になった。その時、それが起こった。一度も開いたことのない屋上の扉が、大きな音を立てて勢いよく開いた。心臓が飛び出しそうだった。一体何が起こったのか――?

驚いて起き上がった。そして、彼女が見えた。栗色の丸い髪をした少女。最初に目に入ったのは、まさにそれだった。彼女は屋上の床に、まるで苦痛に苛まれたかのように倒れ込み、両手で耳を塞ぎ、震える体をしていた。

「……やめて……」

彼女はそう言った――いや、懇願した。雨に声はかき消されていたが、私は必死に聞き取ろうとした。彼女はすすり泣き、体を丸めた。その光景は私の心の奥底で何かを揺さぶった。彼女はとても脆く、今にも崩れ落ちそうな気がした。

「お願い…やめて…」

「…」

「雨を止めて…」

すぐに理解した。雨のせいだった。彼女は必死に雨が止むことを願っていた。震える両手を合わせ、祈るようにしていた。私は黙って見守り、いつの間にか自分の手も合わせていた。もし彼女が止めたいなら…私が止めてあげる。なぜかは分からなかった。今まで自分の力を誰かのために使ったことはなかった。そもそも使っていなかったのは随分昔のことだった。もし効かなかったら?もし空が私の声を忘れてしまったら?

それでも、試してみなければならなかった。彼女を助けたかった。だから、いつものようにした。目を閉じ、両手を合わせ、こう呟いた。

「雨を止めて。」

空はまだ私のことを覚えていた。雨は一瞬で止み、雲間から陽光が差し込んだ。まだ元気そうだ。私は小さく笑った。

雨が止むと、少女の震えは和らいだ。彼女は息を呑み、ゆっくりと頭を上げた。わあ。彼女は美しい。それが私の最初の思いだった。ただ…息を呑むほど美しい。私は思わず見とれてしまった。彼女の顔は陽光を浴びて輝いていた。彼女は何度か瞬きをし、よろめきながらも、苦労して立ち上がった。びしょ濡れのリュックサックを肩にかけ、屋上を去った。彼女はあまりにも弱々しく見えたので、大丈夫かどうか尋ねることもできなかった。もう一度彼女に会えるだろうか?馬鹿げたように聞こえるかもしれないが、私はそう願っていた。

彼女が座っていた場所まで歩いて行った。地面に名札があった。正確には、うちの学校の名札だ。デザインを見ればすぐに分かった。きっと年下の生徒だったのだろう。顔は見覚えがなかった。シャツの湿ったビニールを拭き、刻印された名前を指でなぞった。

「ユン・アルム」

だから彼女の名前はアルム。ユン・アルム…何度かその名前を囁いて、ふと考えた。もしかしたら…もしかしたら私は彼女に必要な人なのかもしれない。たとえ私の秘密を知っても、私を怪物だとは思わない人。私の力を必要としてくれる人。私を必要としてくれる人。私がそばにいられる人。

もしかしたら…もう孤独になる必要はないのかもしれない。

誰もいない家でも、また安らかに眠れるようになるかもしれない。

彼女の痛みを自分の慰めに利用するのは申し訳なかったが、お互いにメリットがあるはずだと自分に言い聞かせた。私には仲間ができて、彼女は雨を避けられる。

私は名札をポケットにしまい、バッグを手に取って屋上を去りました。

久しぶりに、心臓が高鳴った。新たな始まり。新たなスタート。私はその時、決意した――

私は彼女の運命になるだろう。


06.

ずっと行きたくなかった学校が、突然、行きたくてたまらなくなった。ワクワクして一晩中寝返りを打った。明日彼女に会ったら何て言ったらいいんだろう?「もしもし?」って、地味すぎる。「アルムさんですよね?」って、ストーカーみたい。「よく聞いてるんだけど」って?もし誰に聞かれたらどうしよう?「すごく綺麗だよね」って?なんてこった、おかしい。本当に気持ち悪い。どれだけ考えても、いいセリフが思いつかなかった。結局、諦めて明日は即興でやることにした。そして…寝坊してしまった。寝るのがかなり遅かった。やっと制服を着て、学校へダッシュした。口の中に血の味がするくらい全力で走ったけど、それでも遅刻。減点も。あまりいいスタートではなかった。教室に入ると、机に倒れ込んだ。走りすぎで心臓がドキドキしていた。

「チェ・ボムギュ、どうしたの?」

「寝坊しちゃった。遅刻しちゃった。」

「ここまで走って来たんだね?」

「そうだ……私は死んだ。」

隣の席の子がクスクス笑いながら水をくれた。お礼を言って一気に飲み干すと、ぼんやりしていた頭が少しすっきりした。よし、今日は集中する。休み時間に2年生の教室に行ってみよう。会えるかな。考えるだけで手足がゾクゾクする。しかし、そんな期待は打ち砕かれた。ユン・アルムはどこにもいなかった。1年生の教室の前を何十回も行ったり来たりしたが、似たような顔は一つも見当たらない。茶色くて丸い髪。すぐに見分けがつく。名札の読み間違えだろうか?いや、間違いなくうちの学校の名札だ。昨日拾った名札を取り出し、3文字を指でこすってみた。そうしているだけで、妙に感傷的な気分になった。

昼休みにも階下へ降りてみたが、やはり何もなかった。気がつけば、学校ももうすぐ終わりだ。よし、最後にもう一度。本当に、これが最後だ。もし彼女がいなかったら…どうしよう?明日かな。階を一つ降りるだけで、色々な考えが頭をよぎった。そもそも運命なんて大したことないじゃないか。階段でつまずきそうになった。捻挫した足首がまたズキズキと痛んだ。よかった、本当によかった。二年生のフロアは騒がしかった。みんなが帰る準備をしているからだろう。また人混みの中にあの丸い頭を探したが、見当たらない。一体どこに隠れているんだ?今日は雨も降ってないのに。と独り言を言った。ちょうどその時、チャイムが鳴った。明日もう一度試してみよう。二階に戻ろうと振り返ったその時――

「あぁ……」

「あぁ。」

誰かにぶつかってしまった。二人ともバランスを崩して転んだ。元々痛んでいた足首がまたズキズキと痛んだ。顔をしかめた。今日は呪われている。まあいいや。全部が相手のせいじゃない。床には教科書、ノート、ペンが散乱していた。転んだ時に落としたものたち。私は慌てて立ち上がり、それらを拾い集め始めた。相手も黙って同じようにしていた。私の汚れた教科書とは違い、相手の教科書はピカピカだった。わあ、なんて綺麗だ。シワひとつない。ペンもピカピカだ。どんな人か、もう見当がついた。ノートを手に取ると、上部にきちんと名前が書かれていた。そして、その名前は――

「……ユン・アルム?」

彼女だった。名前を聞いて驚いた彼女は、私の方を振り返った。私たちの目が合った。大きくて美しい瞳。衝撃が走った。

「本当に君なんだね。」

"…私はあなたを知っていますか?"

ああ、しまった。考え事を口に出してしまった。初めての出会いをこんな風にするつもりはなかった。何か、何でもいいから、何か言わなければならなかったのに、頭が真っ白になった。ぎこちなく目がキョロキョロした。アルムは無関心な目で私を見つめ、それからまた荷物を拾い始めた。

「……取りに行かせてください。ぶつかってごめんなさい。」

「いいえ、大丈夫です。」

「それでも、それは私のせいだった」

"ご心配なく。"

彼女は私が持っていた物を手から受け取った。私たちの指が一瞬触れ合っただけで、お腹がひどくドキドキした。なぜなのか、自分でも分からなかった。

「私もごめんなさい。」

「いや、謝る必要はないよ」

「他に何か言いたいことはありますか?」

"はぁ?"

「じゃあ、行ってきます」

問題があった。ユン・アルムは警戒していた。目が合ってからというもの、彼女は私を一度もちゃんと見てくれなかった。視線はどこか遠く、表情は冷淡だった。昨日の彼女と本当に同じ人なのか、疑わしくなってきた。彼女は短く別れを告げ、私の前を通り過ぎた。止めるべきだろうか?でも、何と言えばいいのだろう?頭が動く前に、体が動いた。私は彼女の手首を掴んだ。彼女の温かさに驚いた。大きな目が驚きで見開かれた。まるで驚いたリスのようだった。昨日と変わらず、この瞬間も、彼女は美しかった。

"1つ。"

「…」

「チェ・ボムギュです。」

彼女を掴んだ後、思わずそう口にした。私の名前。ただ…私の名前。舌を噛んで消えてしまいたかった。バカ。ボムギュ、このバカ。それが精一杯だって?彼女は「だから何?」という感じで私を見つめたが、それでも私は彼女の手首を放さなかった。

「えーと、それで…」

「…」

「……私の名前を覚えていてください」

"…何?"

「チェ・ボムギュ。覚えておいてください。」

"…なぜ?"

彼女の声は落ち着いていた。さて、どうする?彼女の大きく澄んだ瞳が私を見つめる様子に、汗が噴き出した。もし間違ったことを言ったら、全てが台無しになるかもしれない。でも、他に選択肢はなかった。とにかくやってみるしかなかった。

「あなたのことをもっと知りたいです。」

「…」

「あなたのことはしばらく前から知っていました。」

「…」

「ただ…友達になりたかっただけ。変に聞こえるかもしれないけど、本気で思ってる。だから、覚えていてね。」

きっととんでもない初対面だったに違いない。自分でもそう思った。こんなに人と話すのに苦労したことはなかった。こんなに緊張したこともなかった。でも今、背中から汗が噴き出している。二人の間に沈黙が訪れた。私は乾いた唾を飲み込んだ。長い沈黙の後、彼女は手首を引っ込めた。

「あなたと知り合いになりたくない。」

"…はぁ?"

「友達でいることに興味はないって言ったのに」

「…」

「時間を無駄にしないでください。」

彼女はぶつかったことを謝り、助けてくれたことに感謝した。そして立ち去った。今回は、止められなかった。丁重な拒否だった。少し前にベルが鳴ったのに、教室に戻ることはできなかった。私はただそこに立ち尽くし、凍りついた。拒絶された。何も始まる前に。脳がゆっくりと追いついた。涙の代わりに、笑いがこみ上げてきた。お腹を抱えて大声で笑ってしまった。スーパーマンのように飛ぼうとして腕を骨折したあの時のように。

「これは狂気だ。」

その後も、彼女のことがどんどん好きになった。緊張は解け、どこか軽やかになった。彼女は可愛かった。なぜかと聞かれても、説明できない。ただ、彼女がそこにいた。大きく見開いた目で私を見つめ、自分が求めていることをはっきりと口にした。興味がないと言っていたけれど、きっと覚えていてくれると思った。いきなり名前を覚えておいてほしいと頼んできた人を忘れるなんて、ありえない。もしかしたら、こっちの方がいいのかもしれない。もし私がすぐに諦めてしまうタイプだったら、一日中彼女を探し回ったりはしなかっただろう。心臓がドキドキした。振られたばかりなのに、妙に楽観的だった。そして正直、そんなことは気にしていなかった。

運命はいつも突然訪れる。思いがけない時、思いがけない場所で、それは現れて、世界をひっくり返す。私はそれを重々承知していた。それが人生を一変させることもあることを。教室へ戻りながら、私は決心した。ユン・アルムの思いがけない運命になろうと。彼女の人生を一変させる運命に。笑いをもたらす運命に。一歩ごとにポケットの中で彼女の名札がカチャカチャと音を立てた。私は全く気にしなかった。

空は晴れ渡り、雲ひとつ見えなかった。新たな始まりだ。