責任取ってよ。あなたの子でしょ。

エピソード01

「おめでとうございます。妊娠5週目です。」

妊娠…たしかに、そう言った。

「妊娠…ですか?」

「はい。ここに小さな白い点が見えますか?これが赤ちゃんです。胎嚢もきれいで、ちゃんと定着していますよ」

最近ずっと眠くて会社に遅刻したり、体がだるかったり、生理が来なかったのは…この赤ちゃんのせいだったなんて。

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「まだ初期なので、お身体大事にしてくださいね。次回来院されるときは、赤ちゃんの名前(胎名)を考えてきてください。ご主人と一緒でも大丈夫ですよ〜」

「あの…先生…」

中絶してもらうべきか。薬でも出してもらうべきか。まだ27歳の私には…子育ての準備なんて、まったくできていないのに。

「特に気をつけた方がいいことって、ありますか…?」

でも口から出たのは、思っていたこととは違う言葉だった。


すべての始まりは、一ヶ月前。友達と一緒に行ったバーだった。あの時、あそこに行かなければ──いや、あの男について行かなければ、こんなことにはならなかったのに。

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「飲んだらすぐ帰るから。」

「えー、そう言わずに一緒に遊ぼ〜」

「いいから、あんた行きなよ。」

本当に…あの時、帰るべきだった。そしたら、あの声を聞くこともなかったのに。

あのカクテルはそんなに度数も高くなかった。でもお酒に弱い私は、すぐに酔っ払った。

「ウイスキー一杯ください。」

「え…」

グラスのウイスキーを無表情に飲みながら、私の方を見ていたあの男。

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「何か問題でも?」

「それ…度数高くないですか?」

「アルコール度数のことですか?」

「はい…それ…飲むと痛くなるんですよ…」

「酔ってるんじゃないですか?」

「いえ…だいじょうぶです…」

そんな風にして、その男と隣同士に座って会話を始めた。彼の名前は「チョン・ジョングク」、30歳。AJグループ勤務。上司にこっぴどく叱られて、やけ酒をしに来たと言っていた。

「ひどいですね…それってそんなに大したことじゃなかったのに…」

「一人で静かに飲むつもりだったんですけどね…」

「ああ…すみません…私が…」

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「もしよかったら、一緒に出ませんか?」




「うぅ…」

頭を抱えながら目覚めた。

「え…なんで下着が…」

隣には誰もいない。昨日の下着が床に落ちていて…ということは──

「まさか…え、私…寝ちゃったの?!」

ここはホテルのようだった。スマホを確認すると、着信29件、メッセージ23件。

「ヨジュ、お前どこだよ」
「帰ったの?」
「嫌だって言ってたのに帰るとかありえない」
「電話出ろ」
「おい、どこだってば」
「ヨジューー!」

「うわー…最悪…」

「どうしよう…」

病院でもらった母子手帳と超音波写真を握りしめ、リビングを行ったり来たりしながら悩んだ。1ヶ月前の相手といえば、あの男しかいない。知ってる情報は、年齢、名前、会社…。

「会社だ!」

とにかく、思い立って会社に向かった。言うべきか迷いながらも、やっぱり…やっぱり…。

「いらっしゃいませ。ご用件は?」

受付の人が丁寧に話しかけてきた。やっぱり大企業ってこういうところも違うな。

「あの…お会いしたい方がいて…」

「お名前をお伺いできますか?」

「チョン・ジョングクさんです…」

「ご予約はされてますか?」

「え、あ…いえ、予約しないとお会いできませんか…?」

「申し訳ありませんが、専務と事前にお話がない場合は、お通しできません」

「専務?!」

お母さん…私どうしたらいいの…つまり…私、財閥の専務と…?

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「どうかされましたか?」

彼が私の顔を見ると、少し驚いた表情を浮かべた。こっちこそ驚いてるんですけど!

「専務にお会いしたいとおっしゃってまして。お知り合いですか?」

「あ、えっと…こんにちは。お伝えしたいことがあって…」

「ええ。私の客のようですね。こちらへどうぞ。」

専務だなんて…ただの社員とか係長くらいかと思ってたのに…



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「何の用ですか?人の会社に、連絡もせずに。俺が迎えに行かなきゃずっと立ってるつもりでしたか?」

「連絡は…電話番号知らなかったので…でも、どうしても言いたいことがあって…」

「なんですか。」

そう言われ、私はバッグから一枚の紙を取り出した。黒い背景に小さな白い点が映っている…赤ちゃんの超音波写真。

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「…これを俺に見せて、どうしろと?」

「責任取ってください。あなたの子ですから。」