執着と愛の紙一重

エピソード01

第1章 新入生歓迎会

高すぎず低すぎないヒールをカツカツと鳴らしながら、レストランの前に立った。
そして深く息を吐いてから、ドアを開けて中に入った。

私が静かに入ると、騒がしいレストランと「♡♡大学 入学おめでとうございます」という横断幕が出迎えてくれた。
そのとき、学科代表らしき人が私の前にやってきた。

「お名前は?」

「イ・ジウンです。」

「ああ、ジウンさんですね。好きなところに座ってください。」

その言葉にうなずき、空いている席の中で一番目立たなそうな場所に座った。

座った途端、目の前にお酒のグラスが置かれ、驚いた私はぼんやりした表情で前を見た。
すると、可愛らしい女の子が明るく笑いながら挨拶してきた。

「こんにちは!キム・ヘジンです!」

彼女はとても明るく、はじけるような笑顔だった。
その明るい雰囲気に引き込まれるように、私も思わず自己紹介していた。

「イ・ジウンです。」

「あなたがジウンなんだね!プロフィール写真、白いプードルでしょ?」

「はい。」

「タメ口でいいよ、同い年だから!」

Gravatar

「うん、よろしく。」

チリン

「ジミンヒョン!来たんですね!」

ヘジンとおしゃべりしていると、ジミンという人が入ってきた。
レストラン中の視線が一斉に彼に向かい、みんなが挨拶していた。

ヘジンがこっそりささやく。

「ねえねえ、うちの大学にはイケメン4人組がいるんだけど、その中の一人があのパク・ジミン先輩なんだって!
私たちより1歳年上らしいよ。」

「へえ?」

「マジでかっこいいでしょ?」

「別に?」

「は?目大丈夫?」

Gravatar

「うん、めっちゃ正常。」

そんなやり取りをしていると、ヘジンの目と口がぱっと大きくなった。
まるで見てはいけないものを見たように。

「え、なに?」

「こっち来てる!」

「何が?」

「後ろ!」

振り返ると、パク・ジミンがスタスタと歩いてきていた。

Gravatar

その顔を見た瞬間、私は思わず顔をしかめた。
それを見たジミンは、一瞬だけ笑顔を消したが、すぐに何事もなかったかのように微笑みながら近づいてきた。

そして、ヘジンの隣に座り、ジャケットを脱ぐと、腕には目立たない程度の小さなタトゥーがあった。
彼は私たちに挨拶し、ヘジンは舞い上がったように応えた。
私は軽く会釈して、またお酒をちびちび飲み続けた。

私たちのテーブルは一気に女子たちの注目を集めた。
みんなこちらをちらちら見ていた。

私は一度だけ視線を向けたあと、スマホに目を落とした。

Gravatar

そして、ふと顔を上げると──
ジミンと目が合った。

Gravatar

彼は顎を手に乗せ、まるで獲物を狙う肉食獣のような目で私を見つめていた。
私は驚いて手が止まり、飲みかけのお酒が口からこぼれた。

「ちょ、何こぼしてんの!」ヘジンが笑った。

おかげで我に返った私は、急いで口元を拭った。
『やば、リップ塗ってたのに…』と心の中で叫びながら。

「ちょっと、トイレ行ってくる!」

「うん!」

ドアを勢いよく開けて外へ出た瞬間、
誰かと頭をぶつけてしまった。

「いっ…すみません!」

顔を上げると──

Gravatar

「いいですよ。」

そのたった一言が、こんなにも怖いとは思わなかった。
私はすぐさまリップのにじみを思い出し、トイレに走った。

Gravatar

「なんだ。。。」




第2章 アイスクリーム

トイレでリップを直し、化粧も軽く修正した。
だが、レストランに戻るのは気まずかった。

ヘジンはまだジミン先輩と話しているだろうし、
新入生がすぐに抜けるのも変だ。

私はレストランの入口脇に小さくしゃがみ、時間を潰していた。

そのとき、レストランのドアが開いた。
ジミンが出てきて、ドアを手で支えながら声をかけた。

「俺、コンビニ行くけど、アイス食べる?」

「はーい!!」

中からみんなの元気な声が聞こえた。

Gravatar

ジミンは私を見つけ、少し驚いた様子だったが、すぐに平然とした表情に戻った。

「なんでここにいるんですか?」

わかっていたけど、声をかけられるとびくっとしてしまった。
静かな間を置いて、私は答えた。

「……なんとなく。」

「ヒマでしょ?一緒にアイス買いに行こう。」

彼の誘いに、私は素直にうなずき、後ろからついて行った。

コンビニまでは結構遠かった。
その間、分厚い「静寂」の壁が二人を隔てていた。

やがて、彼が口を開いた。

「名前は?」

「イ・ジウン。」

「ジウンか。俺はパク・ジミン。」

「新入生?」

「うん。」

「タメ口でいいよ。」

「うん。」

彼は質問ばかりし、私は答えるだけだった。

やがてコンビニに到着。

「どんなアイス食べたい?」

「なんでもいいです。」

「じゃあ、待ってて。俺が買ってくる。」

「はい。」

ジミンはコンビニに入り、私は外のベンチに座った。

ぼんやりしていると、さっきの彼の態度を思い出した。
最初は冷たそうで怖かったけど、意外と親切だったな…。

「勘違いしてたかも…」

そうつぶやいていたら──
突然、冷たいものが頬に当たった。

驚いて顔を上げると、
ジミンが笑顔でアイスを差し出していた。



「これ、万が一のために買ってきた。」

手にはパピコ。
私は受け取ると、すぐに包装を破り、
「ありがとうございます」と言いながら一口かじった。

ジミンはにこにこしながら歩き、
私はアイスに集中していた。
ジミンと一緒に歩いているうちに、レストランに戻ってきた。
今なら中に入っても大丈夫そうだ。

私とジミンが一緒に入ると、みんなの視線が一斉に集まった。
私はその視線を避けるように、自分の席に急いで戻った。

「おお~、なにこれ」ヘジン

「なにが」ジウン

「トイレ行くって言ったのに、30分後にパク・ジミン先輩と一緒に戻ってくるなんて、どういうこと~?」ヘジン

「てか、うちのテーブルこんなに大きかったっけ?」ジウン

「笑 あんたが出てすぐ、テヒョン先輩が来たんだけど、座る席がなくてさ。
『そこ、主います』って言ったら、どこからか椅子持ってきて、テーブルくっつけて座ったの!
それで他の子たちも便乗して、うちらのテーブル拡張されたww」ヘジン

「テヒョン?誰それ」ジウン

「イケメン4人組の一人だよ。顔も性格もクールで、まさに冷美男ってやつ!」ヘジン

「ふーん……」ジウン

ヘジンはテヒョン先輩の話でテンション爆上がりしていたが、
そのときアイスクリームを配り終えたジミン先輩が、また私たちのテーブルに戻ってきた。

「ヘジン、アイス食べないの?」ジミン

「あ、もらえるなら嬉しいです!」ヘジン

さっきまでテヒョン先輩に夢中だったくせに…。
私は呆れながら首を横に振った。
そんなことお構いなしに、私はまたお酒をちびちび飲み始めた。

『つまんないな』
そう思いながら飲み続けたら、だんだん体が熱くなってきた。
顔も体もぽかぽかしてきて、私は上着代わりに羽織っていたカーディガンを脱ぎ、隣に置いた。

「ジウン、顔赤いよ。飲みすぎじゃない?」ヘジン

「だいじょーぶ~」ジウン

自分でも違うと感じるくらい、言葉の語尾が伸びる。
体もじっとしていられない。
そして、ついに──

私の頭が、テーブルに落ちた。
Gravatar