
1時間目が始まるまで、もうすぐ時間だった。
私の席の隣が誰なのかは知らないけど、まだ来ていない。
…まあ、どうでもいいけど。
ちょうどチャイムが鳴った瞬間、教室の後ろのドアが勢いよく開いた。
少し荒っぽい手つきで開けたようだ。
タッ、タッ—
歩くスピードも速く、入ってきたその人の足が止まったのは 私の隣の席 だった。
どうやら、私の席の隣の人 みたいだ。

「…今日は来たんだ?」
私は無言で見つめた。
薄く微笑む男の子。
可愛い顔をしている。
クラスの雰囲気だけでも、みんなが私を避けているのが分かるのに、この子は違った。
「なんで連絡返さなかったの?」
「あぁ…」
見てなかった。
そもそも 携帯がどこにあるかすら分からないのに、誰かの連絡に気づくはずがない。
「なくした。」
無難な言い訳 だった。
今は携帯を持っていないし、ちょうどいい言い訳だった。
なくしたものを どうしようもない でしょ?
「…そっか。」
それ以上の会話はなかった。
話すこともなかったし、ちょうど 担任の先生 が教室に入ってきた。
「スジ、来たのね? 今日は体調大丈夫?」
「あ… はい。」
先生の言葉に、全員の視線 が私に向いた。
私は 人が好きではなかった。
だから、こうやって 見つめられること で 無意識に体がこわばる。
「顔色が悪いね。もし無理そうだったら、早退しなさい。」
「…はい。」
そう返事をして、すぐに机に伏せた。
突き刺さるような視線が 首を締め付けるよう だった。
眠ってしまえば、少しは楽になるかもしれない。
。
。
。
。
「スジ。ハン・スジ。」
いつの間にか 寝ていた ようだった。
誰かの 声 で、眠りから引き戻された。
「起きた? 次の授業は体育だから、体育館に行かなきゃ。」
「あ…」
めんどくさい。
仮病を使って 早退しようか とも思ったが、私の人生じゃないのに 好き勝手するのは良心が痛む。
…高校の出席記録は重要だから。
私は今まで一度も 出席を気にしたことがなかったのに、誰かの出席 を気にしている自分がいた。
これ、笑っていいのか…?
体育館に着くと、みんなが 整列 していた。
私は 体操服を持っていなかった ので、隣の席の子のを借りることに なった。
最初は着たくなかったけど、彼が 「俺は私服だから使わないし、着ろ」 と言って譲らなかった。
「全員いるか? 今日は ペアドッジボール をやるぞ。」
私は 思わず眉をひそめた。
ペアドッジボール?
誰かとペアを組む競技だけど、私のペアは見当たらないし、そもそも やりたくもなかった。
「スジ、一緒にやろう?」
「…え?」

「パク・ジミン! お前は私とペアだよね?」
パク・ジミン… そうか、こいつが私の席の隣のやつか。
「俺、スジとやりたい。」
「…あいつと?」

「はぁ… 最近、なんでお前はハン・スジとばっかり一緒にいるの?」
「……」
私に向けられる視線が 冷たかった。
不快だ…
「仲良くしたいだけ。」
「前は興味なかったくせに。」
「さぁね。」
どうやら パク・ジミンと私は、もともとそんなに仲が良くなかった ようだ。
一方的に近づいてきている みたいだけど。

「俺は余ったやつと組むか、抜けるから。お前はあいつとやれ。」
「それと、ペアは男女で組むこと!」
は?…
突然 男女ペアを強制 する体育教師に イライラ した。
どうやら、パク・ジミンとペアになるしかなさそうだ。
。
。
。
。
「パス!!」
全然集中できない。
男子と女子が くっついて、「死にたくない!」と叫んでいるのが 見苦しかった。
体育じゃなくて イチャついてる やつらもいるし。
「…もう当たって終わってもいい?」
「ボール当たると痛いよ。もう相手チームも少ないし、早く終わらせよう。」
私が痛いんであって、お前じゃないんだけど?
パク・ジミンが一生懸命ガード してくれたおかげで、私はなかなかアウトにならなかった。
でも、なぜか 相手チームはずっと私を狙っている ようだった。
「おい! 早く当てろよ!」
まるで私を どうしても当てなきゃ気が済まない みたいに、みんなの視線が集まる。
この 体の持ち主 は、一体 何をしていたんだ?
何とか かわし続けていた が…
鋭い目をした 女子 が、私に向かって 思い切りボールを投げた。
パク・ジミンの近くにいたせいで、避けるのも難しかった。
どうせ またガードしてくれる と思っていたのに…。
バンッ—!!
「…っ!」

「大丈夫? おい、イ・ジナ、お前投げるの強すぎだろ!」
「……。」
…何?
「スジ、すごく痛い?」
…お前、何なの?
「保健室、行く?」
捕れただろ?
「ほら、手貸すから、立って。」
なんで… 何もしなかったの?

「お前…」
「…何?」
「…いや、何でもない。」
どうせ 何を言っても無駄 だ。
私の目にはわざと捕らなかったように見えた けど、「間に合わなかった」 と言われたらそれで終わりだ。
「私はベンチで休む。」
「…分かった。」
…おかしい。

「……。」
なんで、こんなに 嫌な予感がするんだ?
