僕が運命じゃなくても(日本語)

7.君の運命の相手は僕じゃない

「あれ?プリ今日は残業するの?」

いつまでも片づけを始めないプリを見てバンビが訪ねた。

「そうなのどうしても終わらせないといけない仕事があって、先に帰ってて」

「そうなんだ、頑張ってね」

相談したかったのに残念だと思いながら、バンビはオフィスの出口へ向かって行く。
エントランスを出ると見慣れた赤いバイクが止まっていた。

「こんばんは、チェボングさん」

バイクの横に立っていたウノが人懐っこい笑顔で話しかけてくる。

「こんばんはウノさん、プリは今日残業みたいですよ」

人見知りのバンビは初めて話すウノに緊張しながらも返事をした。

「はい、さっきメッセージ来てました。
でも近くにいたのでここで待とうかと思って。
私達よく顔を合わせるのに話すのは初めてですよね。
一度話してみたいと思ってたんです」

「あ、そうですね。すみません僕自分から話しかけるの苦手で」

「はは、そうですね。
プリが言ってました初めは会話が続かなかったって。
でも仲良くなったら本当に楽しくて大切な友達だって」

最初プリはそんな風に思ってたなんて。
でも確かにそうだったかもしれない。
上手く話せない僕に明るく話しかけ続けてくれた彼女。
だから心を開けたんだ。
ふと、プリにしようとした相談を彼にしてみたらどんな反応をするのか気になった。
彼女の隣にいたいと伝えたらどんな顔をするのか。

「実は、まだプリには言ってないんですけど、海外移動の打診をされていて迷ってるんです。
能力を認められるのは嬉しいけれど今の環境が離れがたくて、プリもいるし...離れたくない」

判ってる最後の一言は恋人には伝えたらいけない言葉だという事、恐る恐る顔をあげると、
相槌を打ちながら真面目に聞いていたウノが口を開く。

「せっかく仲がいいのに離れるのは寂しいですよね、でも曖昧な気持ちでそばにいるのも辛くないですか?」

話し方から嫌味で言っているわけではないと気づいた。
バンビの気持ちに気付いていながら心配してくれているのだと。

「僕、分かりやすいですか?」

息をのんで尋ねると

「どうでしょう同じ目線だからかもしれません。
どちらにしろ後悔しない方を選べるといいですね」

とウノは言うのだった。

「あれ?二人で何してるの?」

ビルから出てきたプリが叫ぶ。
バンビはぎゅっと目を閉じるとふぅっと息を吐き、

「ウノさん決心が着きました、さっきの話は黙っていてください、自分で話しますから」

と言った。

「分かりました」

ウノはこくんと頷くとプリに顔を向け彼女が近づいて来るタイミングで声をかけた

「プリヤお疲れ様」

2人が去ったあともしばらくバンビは動けなかった。
彼は茶化すでも怒るでも半端に慰めるでもなく、ただただ真剣に聴いてくれた。
それだけで彼が悪い人でないと判る。

「嫌な奴だったら憎めたのに」

バンビは消え入りそうな声でそう呟いた。

Bambyのファンに人気のストーリー