燦然たる短編集

君が雨に濡れなければ、それでいい

[グループチャット: 三銃士 + 1]

チャンヨン: もしかして俺の黒い傘見た人いる? さっき豪雨注意報の災害メール鳴ったんだけど。
ジソク: ヒョンジン兄さん、また雨の日に雰囲気出そうとしてこっそり持ってったんじゃない?
ヒョンジン: ちがうって! 俺のはちゃんと黄色い傘が別にあるし。しかもチャンヨン兄さんは傘いらないだろ。真の長身ジェントルマンらしく、その広い肩で雨を全部受ければいいんだから。🙄
ジソク: チャンヨン兄さん、たぶん天気アプリ見て、彼女の会社に傘持たずに行ったのに気づいて、もう外へ飛び出してる途中だよ。
チャンヨン: いま出てるところだ。あと、俺がいない間は俺の物に触るな。
ヒョンジン: うわ、あの兄さん行くの見てよ! 完全にKドラマの男主そのものじゃん。兄さん、早く行って連れてきて! 🌧️🏃‍♂️

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ソウルに突然の激しい豪雨が降り注ぎ、活気に満ちていた通りは、灰色のアスファルトをすばやく流れるネオンサインの残像にかすんでしまった。私は会社ビルの前の狭いひさしの下に閉じ込められたまま、バッグを胸にぎゅっと抱えて立ち、刺すような風が足首の上へ冷たい雨粒を冷たく散らしていた。傘を持ってくるのを完全に忘れたうえ、地下鉄の駅はなんと3ブロックも離れていた。

私は水でできた巨大な幕へ向かって狂ったように駆け出す覚悟を決め、気持ちを整えて深く息を吐いた。

足がまだ濡れたコンクリートに着くより先に、巨大で真っ黒な傘の布が目の前を遮り、重く灰色に満ちた豪雨を一気に断ち切ってくれた。

私は瞬きをして顔を上げ、自分の頭上で斜めに傾いた大きな黒い傘を見つめた。すぐそばにはチャンヨン兄さんが立っていた。暗いトレンチコートを着た兄さんは、髪の先が少し雨に濡れていたが、混乱した嵐の中でもひどく落ち着いて頼もしく見えた。兄さんは片手で傘の持ち手をしっかり握り、その広い体つきのおかげで、刺すような風はたちまち遮られていた。

「兄さん! どうしたの?」私は驚いて息をのみ、心臓が肋骨を激しく叩くみたいにどきどきした。

「近くで用事があって来たんだ。」兄さんはしれっと言ったが、声に混じるわずかな息切れがまったく別の真実を語っていた。兄さんは私のパーソナルスペースに一歩踏み込み、私たちの肩が触れそうなほど距離を縮めた。そして傘の持ち手を持ち直し、私を完全に覆うためにわざと傘をこちらへ傾けた。そのせいで兄さんの右肩は降りしきる豪雨に完全にさらされてしまった。

「兄さんの肩、びしょ濡れじゃん。」私は慌てて指摘し、傘の持ち手を兄さん側へ押し戻そうと上から手を重ねた。

冷たい金属の持ち手の上で、私たちの指が触れ合った。

その瞬間、時間が止まったみたいにゆっくり流れた。兄さんは手を引かなかった。代わりに兄さんの大きくて温かい指が動き、私の手を持ち手の上へやさしく包み込んで閉じ込めた。頬をかすめる凍えそうな嵐と、兄さんの肌から伝わるはっきりしたぬくもりが、めまいがするほど鮮烈な対比を成していた。兄さんは私を見下ろし、その濃い瞳の奥には、揺るがず強い献身が宿っていて、騒がしい街の音をすべてBGMみたいに遠ざけてしまった。

「雨は気にしない」兄さんがささやいた。兄さんが少し身をかがめると、低く秘密めいた囁きが私の耳にやわらかく届いた。兄さんは狭くて居心地のいい砦の中で、私たちの間に触れそうで触れない切ない距離感をそのまま保ったまま、静かに呟いた。「お前が一滴も濡れなきゃ、それでいい。」

冷たい天気なのに、私の頬はすぐに熱くなった。傘の持ち手の上で私の手をしっかり包み込んだまま、兄さんは私を雨の中へ一歩ずつ導いた。嵐の中を肩を並べて歩きながら、私は兄さんが作ってくれた安全な軌道の中にすっぽり収まっていた。

兄さんが滑りやすい歩道を抜けて私を連れていったのは、近所の小さくて居心地のいいカフェだった。窓の外では、今もなおレンガの外壁を激しく打つ雨音が続いていた。私たちの頭上でベルがちりんと鳴り、騒々しい嵐の音はたちまち遮られて、焙煎された豆の温かく香ばしい香りと、なめらかなスチームミルクのぬくもりが私たちを包み込んだ。

私たちはコートについた大きな雨粒を払い落としながら、ほっと息をついた。薄暗い入口に、私たちの小さな笑い声が静かに広がっていった。

カフェの中はすっかり穏やかだった。静かに流れるジャズと、ぼんやり湯気のこもった窓を叩く規則的な雨音だけが空間を満たしていた。私たちは青々とした植物に隠れて、入口からはよく見えない隅の席に小さな木のテーブルを見つけた。私は嵐の冷たさが肌から少しずつ引いていくのを感じながら、身を小さく震わせてベンチ椅子に深く腰を下ろした。

「ここでじっとしてて。」チャンヨン兄さんが低く囁いた。兄さんの低い声は、それ自体が心を落ち着かせてくれる頼もしい響きだった。「俺が注文してくる。」

私は兄さんがカウンターへ歩いていくのを見つめた。バリスタにやさしく声をかける兄さんの大きな体からは、余裕のある雰囲気がにじんでいた。数分後、兄さんは空気に細い湯気を立ちのぼらせる温かい陶器のマグを2つ手にしてテーブルへ戻ってきた。

兄さんは私の前に、鮮やかできれいな緑が漂う温かい抹茶ラテをすっと置いた。「少しでも冷えが和らぐように、温かい抹茶ラテだよ。」兄さんは微笑み、自分はクラシックな黒いアメリカーノを手にしたまま、向かいの席に落ち着いて腰を下ろした。

「兄さんは私の救世主だよ。」私は感嘆まじりに息をつき、冷えた指先にぬくもりがじんわり染み込むように、温かいマグを両手でぎゅっと抱えた。一口ゆっくり飲むと、濃い風味が胸の奥から一気に温かく満たしてくれた。

兄さんはやさしくくすくす笑い、木のテーブルの上に自分のマグを置いた。兄さんは自分の席に引くことはしなかった。代わりにテーブルに肘をつき、自分の大きくて温かい手を木の表面の上へそっと滑らせ、ついに指先を私の手にやわらかく触れさせた。

ゆっくりと、兄さんの指が私の指の間へ入り込み、私たちの手をやさしく、それでいて頼もしく結び合わせた。兄さんの手のひらから伝わるぬくもりは心を落ち着かせ、私をこの瞬間にしっかり留めてくれた。兄さんは強く握りしめてはいなかったが、その触れ方がくれるどっしりした安心感は、私たちの間の狭い空間を満たす強くて静かな献身を物語り、たくさんの言葉の代わりになっていた。

「少しは落ち着いた?」と兄さんがやさしく尋ねた。兄さんの深い瞳が、強くてあたたかな優しさをたたえて私の視線と絡み合い、私の心臓は一瞬どきりと落ちた。

「うん、だいぶ。」私はささやいた。顔いっぱいにやわらかな笑みが広がり、私も結ばれた兄さんの手をそっと強く握り返した。

兄さんは私の隣のベンチへ移って座り、私たちの肩が触れるまで、残っていた距離感を完全に消し去った。私は迷わず兄さんの広い肩に頭をすっかり預け、兄さんの乾いたジャケットの重い布へ顔を少しうずめた。兄さんは少し身を動かし、テーブルの上でしっかり組み合わさった指をそのままに、私の頭のてっぺんへ自分のあごを静かに乗せた。

私たちはその静かな隅の席で、お互いの存在がくれる甘い引力にすっかり浸りながら、長くて美しい時間を一緒に過ごした。窓の外では雨が乱れた模様を描きながらガラスを伝って流れ落ちていたけれど、私たちの隅のテーブルが作った小さな安息地の中では、世界は完全に静止していた。

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