問題があれば削除します。アーティストを貶める意図はありません。
すべての内容は現実とは無関係です。

<土曜の朝>
やっとウナギをあやして寝かしつけたのに、またまぶたが重くなった
そう、今日は土曜日だ
目覚ましのない朝、また布団の中に入ってもぞもぞするこの時間が世界で一番幸せだ
…だったのに
ミョンミョンが「おねえたーん、土曜日だよー」
テプンが『ぎゅっ ぎゅっぎゅっ』
サマンが「おねえたん… サマン、おなかすいたあ…」
ウナギ(黙って布団の上にそのままうつ伏せになる)
ハナ「……うっ」
一番下の末っ子がお腹の上に乗ってきて、息が詰まった
ハナ「ウナギ…お姉ちゃん、ぺちゃんこになる…」
ウナギ「ひいん」
リンリンだけがおとなしく私の枕元に座って、私が起きるのを待っていた
…リンリンが一番こわい
結局、昼近くになってやっと5人をみんな風呂に入れて食べさせたら、もうへとへとだった
昼ごはんの支度をしようと冷蔵庫を開けたら
空っぽ
卵が2個、牛乳が半分、それにいつ買ったのかわからないキムチ1つ
ひとり暮らしのときは1週間もたせた冷蔵庫が、5人が来てからは2日ももたなかった
しかもウナギはまだ私の半袖Tシャツをワンピースみたいに着ていた。歯ブラシもないし、パジャマもないし、靴もなかった
ハナ『…買い出ししなきゃ』
ハナ「みんな、今日はスーパー行こう〜 ウナギの服も買って、食べるものも買って」
5人「スーパー!!!!!」
スーパーに入った途端、5人はあちこちに散らばろうとした
ハナ「手をつないで!! みんな手をつないで!!」
ミョンミョンはおもちゃ売り場の前でボールを抱きしめて離さなかった
ミョンミョン「おねえたーん これ買ってぇ 狼はボール好きだよぉ」
テプンはカートの中にすっぽり座り込んで、降りようとしなかった
テプン「オレここから降りない 歩くのやだ」
サマンはゼリー売り場の前で緑のクマのゼリーを両手に持って目を輝かせた
サマン「おねえたん… サマン、これひとつだけ… ほんとにひとつだけ…」
ウナギは試食コーナーのおばさんに「この子何歳? 背が高いね〜」と言われると、私の脚の後ろに隠れて出てこなかった
リンリンは何も言わず買い物リストを持って、私の横で商品をひとつずつカートに入れていった
リンリン「…おねえちゃん、この牛乳セールだよ それとウナギの歯ブラシあっちにある」
リンリンが歯ブラシを取りに行っている間、私はラーメン売り場でブルダックゲティを2つ、こっそりカートのいちばん下に敷いた
リンリン「…おねえちゃん、それ辛いよ」
いつ戻ってきたのか、リンリンがカートの下を見下ろしていた
ハナ「…これは大人用なの」『…こいつ、本当に子どもか..?』
レジの前でレシートを見た瞬間、クレジットカードの請求額が頭をよぎった
それでも両手いっぱいに袋を持った5人がうれしそうに先を歩くのを見ると、ただ笑いがこみ上げた
新しく買った黄色いパジャマを着たウナギが、一番重い袋をひょいと持ち上げて先頭を歩いた
家までの道すがら、ミョンミョンはボールを弾ませ、サマンはゼリーの袋を振り、テプンは歩くのが嫌だとウナギの背中におぶさっていた
あんなに楽しそうに騒いでいた5人も、玄関に入った途端、1人ずつソファのほうへ歩いていった
買ってきた物を片づけて夕飯の支度をしようと、エプロンをつけた
ハナ「みんな、お姉ちゃんごはんすぐ作るね〜」
返事がない
静かな子たちは危ないんだけど..?
不安になってリビングをのぞくと
5人がソファの上に重なったまま、すやすや寝ていた
ミョンミョンはボールを抱きしめ、テプンはミョンミョンの背中にもたれ、サマンはゼリーの袋をぎゅっと握りしめ、リンリンはウナギを腕枕し、ウナギはその大きな体でみんなを包み込んでいた
ハナ『……』
思わずスマホを取り出して写真を撮った
これは絶対に壁紙だ
夕飯の支度をしながら気づいた
今この家で起きているのは私ひとりだけだってことに
ハナ『自然に……育児終了だ』
私はつけていたエプロンをそっと外した
私はこっそり台所へ行って、スーパーで密かに買ったブルダックゲティを取り出した
お湯が沸く音も、麺を混ぜる音も、息をひそめて
チーズまでのせたブルダックゲティを持って床に座り、テレビをつけた。音量は2
夕飯は子どもたちが起きてからすぐ作ればいい。
画面では、今いちばん話題だというドラマが流れていた
雨の日に主人公が去ろうとする友だちを引き止めて泣く場面
主人公「行かないで…お願い、行かないで…!」
友だち「…行かないよ 一生おまえのそばにいる 俺たち家族だろ」
ハナ「ううっ… 行かないで… 行かないでよお…」
ブルダックゲティを口にくわえたまま、私は一緒に泣いた。辛くて泣いているのか、悲しくて泣いているのかわからない
ドラマが終わると、今度は『私はソロ』が始まった
ハナ「いや、あの人なんでああなの?! 言えばいいじゃん、言えば!!」
ひとりで叫んだり、拍手したり、枕を抱きしめて足をばたつかせたりした
その瞬間、背後で何かがきらりと光った
ソファの上で5つの目が、じっと私を見ていた
いつから起きていたのかわからない
ミョンミョン「…おねえちゃん、あれ好き?」
ハナ「いや、あの それは…」
5人は互いに目配せした
…何か企んでる顔だった
その日の夜じゅう、5人は変だった
ごはんを食べている間も、こっそり目配せしあって、私が見ると同時に知らん顔をした。サマンは浴室から霧吹きをこっそり持ち出していて、私と目が合うと背中の後ろにさっと隠し、テプンは寝室の布団を引きずってリビングへ消えた
ハナ『…何してるんだろ』
遅い夕飯をみんなで食べて、洗い物を終えたあとだった
リンリン「…おねえちゃん ここ座って」
リンリンがリビングの床に座布団を1枚敷いて、私を座らせた。ソファの前には布団で作った舞台があった
リンリン「…今から5人のちびっこ劇場、はじまるよ」
サマンが霧吹きを持って出てきた
サマン「雨の場面だよぉ」
シュッ シュッシュッ
ウナギは傘を持って舞台の後ろに立ち、木の役をした。霧吹きの音に驚いて傘を落とした
そして舞台の真ん中にミョンミョンとテプンが立った
テプンが背中を向けて、ゆっくり歩いていくふりをした
ミョンミョンがスローモーションで手を伸ばした
ミョンミョン「い… か… な… い… で… えええ…」
スローモーションが遅すぎて、テプンはもう台所まで行っていた
テプン「…おい、早くやれ もう着いた」
ミョンミョン「行かないでえええ テプンううう!!」
ミョンミョンが走っていって、テプンの腰をぎゅっと抱きしめた。2人とも一緒に床にどさっと倒れた
そのとき舞台の横でサマンが本当に泣き始めた
サマン「うええん… 行かないで… ひっく… すごく悲しいよお…」
リンリン(小声で)「…サマン、君は雨の役だよ」
ハナ「ふははははは!!!」
こらえようとしたけど、どうしても無理だった。お腹を抱えて床を転げ回った
ミョンミョンが床にうつ伏せのまま、顔だけ上げて私を見た
ミョンミョン「おねえちゃん わらったあ!」
テプン「…成功だね」
5人が同時にわあっと手を叩いた
リンリン「…まだ終わってないよ 今度はほんとのセリフだよ」
リンリンの言葉に、5人は私の前へてきぱきと一列に並んだ。さっきまでふざけていた顔が、急に真剣になった
ミョンミョンがいちばん先に一歩前へ出た
ミョンミョン「おねえちゃん、オレが大きくなってほんとの狼に会ったら、お姉ちゃんを一生守るよ!」
次はサマンだった。もう目に涙がたまっていた
サマン「サマンは… ひっく… おねえちゃんと一生いっしょに暮らすの… 家族だからあ…」
テプンの番になると、テプンはわざと天井を見ながらつま先で床をとんとんと蹴った
テプン「…オレも出てかない この家にいる だからおねえちゃんもどこにも行くな」
ウナギは何も言えず、大きな手で私の服のすそをぎゅっとつかんだ。それがウナギのセリフだった
最後にリンリンが静かに言った
リンリン「…じゃあ、私たちみんな一生家族だね」
あとでわかったけど、さっき私がドラマを見ながら泣いたり笑ったりしているのを見て、5人がこっそり準備してくれていたのだった
お姉ちゃんの好きなことをしてあげようって
ハナ「……」
笑っていたら涙が出た。今度は辛いからでも悲しいからでもなかった
その夜、笑い声が止まらないリビングで、私はなぜかぞくぞくした
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