「それで、この前見た映画がさ──」
いつも通り、バンビとプリは昼食を取りながら好きな映画について話をしていた。
話をしながらも、バンビは少し緊張していた。
昨日見た映画のせいだろうか、好きな人を夕食に誘いたくなったからだ。
「ねえプリ、今夜一緒にご飯食べに行かない?」
緊張しているのを悟られまいと、バンビがさりげなく提案すると、プリは元気よく
「行く!」
と答えた。
バンビの胸が大きく高鳴った。午後の仕事も頑張れそうだ。
こんな些細なことで気分が良くなるなんて、本当に単純な男だと思う。
それでも構わない。だって今、確かに甘い幸せを感じているから。
仕事の終わりが近づくころ、プリの机のあたりからプリがバンビのところへやって来た。
「ごめん、バンビ、今日あの人の実家に招かれちゃって。
ご飯はまた今度でもいいかな?」
バンビは一瞬固まった。だめだ、笑顔を作らなきゃ。
「もちろん! 結婚する前に恋人のご家族に嫌われたらまずいだろ。」
「本当にごめん、今度私が奢るね!」
プリはそう言って自分の席に戻る。
当然のことだ。プリは結婚を控えている。
一生を共にする夫と友達のうち、どちらとの約束を優先すべきかは明白だ。
そんなに単純なことなのに、謝られただけでこんなに気分が沈むなんて、なんて思い通りにならない心なんだろう。
