あ….. チェ・ヨンジュンのクソ野郎、ほんとに。
急にブースト発動してビールを3杯飲んで、食卓に突っ伏して爆睡している。
「おい— 早く起きろよ?」
「だから、なんでそんなに早く飲むんだよ。」
「酒強いって言ってたくせに、かっこ悪いな。」
もちろん私は焼酎3本にビール2杯飲んだ。まだ平気—♡
私はずっと指でチェ・ヨンジュンの頭をトントンつついていた。
「もしもし、おじさん?」
「ここで寝てたら首が回らなくなりますよ。~」
「…。」
はあ、返事もない。
まあ、起こしても何になるっていうんだ—
私はスマホをつけて時計を見た。
PM 11:06
11時にもなってないのに、もうこんなにぐっすり寝るの?
…さっきまであんなに元気にしゃべってた子が寝たら、急に場が静かになった。もちろん周りはうるさかったけど。
「うぅん…。」
そんな中でも寝言は言うんだな。
私はあきれて鼻で笑った。
でも、よく考えたら…。
今のこの状況、妙に不思議だった。
私が私の弟子と酒を飲み切って。
まったく、長生きはするもんだ。
私はそれから深く考え込んだ。
あの弟子はいつの間にかすっかり大きくなって、死のうとしていた私を、なぜか助けてくれて。
そうやってまた生きて、こんなふうに酒盛りをして。
それでこいつはこうして倒れて寝てる。
…見方を変えれば、こいつがいなかったら私は今この世にいないんだよな。
もしあの時、電話をかけなかったら、チェ・ヨンジュンが警察官にならなかったら、私がそのまま飛び降りていたら、
それだけじゃなく、チェ・ヨンジュンが私の電話に出なかったら。いや、出てもそんなことを言ってくれなかったら、私は本当に死んでたはずだ。
こうして見ると、命の恩人だな。
そんなことを考えていたら、いつの間にか口元に薄い笑みが浮かんでいた。
そして独り言がこぼれた。
「えらいね。」
それから右手で、突っ伏している彼の頭を無意識に撫でた。
やわらかい髪が指先をかすめると、チェ・ヨンジュンが身じろぎした。
…なんだ? 寝てないのか?
ゆっくり彼の頭から手を離そうとしたら、彼ががしっと私の手首をつかんだ。
私は動揺してどうしていいかわからなかった。ただ表情だけで、何してんだよと聞いた。
そして彼が顔を上げた。
約5秒ほど見つめ合った。お互い何も言わず、じっと見つめるだけだった。
チェ・ヨンジュンの顔は真っ赤だった。どう見ても一杯ひっかけた人みたいに。
頬どころか耳まで赤かった。まるでトマトみたいだった。
するとその時、チェ・ヨンジュンが口を開いた。
「もっと触って、もっと。」
私は何も言えず、ぽかんとしていた。
触って….ほしいって?
…..
私が….何を….?
しばらく静かだった空気の中で彼の声が聞こえて、雰囲気が変わった気がした。
「….何を….触る….?」
チェ・ヨンジュンは片方の口角を上げてにやっと笑った。
なんだよ、なんで….笑うんだ?
「何を考えてたんだ?」
「髪を触ってほしいって、髪を—」
あ、やば。
あ…
穴があったら入りたい。
恥ずかしすぎてやばいだろ。
ほんと何考えてこんなこと口にしたんだ私?
わざと目を合わせなかった。いや、合わせられなかった。
私は床ばかり見つめていた。
本当に羞恥心が限界まで達した。
私ひとりで変なこと考えたって何だよ?
いや、そもそもあっちが変な言い方したんじゃん-!!
「ぷっ。」
…
今、笑った?
この状況で、なんでまだ手首つかんでるの?
私は手を振りほどいた。
そして気まずさにビールをひと口あおった。
「ベ・ウンの好み確認~」
「あ、いや、そういうんじゃなくて!!!」
「おい、おまえ、おまえ。えっと、何だっけ。」
ああ、言葉が出ない…
「言えよㅋㅋ。」
チェ・ヨンジュンは余裕の表情で私を見た。ほら、やってみろよ。そんな感じ。
「おまえ…おまえ、酔ってたんじゃないの?!」
「なんで、なんでこんなに….いや、なんでまた….戻ってきたんだよ?!」
あーもう何言ってんだ私。
「ちょっと寝たら、酒が少し抜けたみたいだ。」
「どれだけ寝たっていうんだよ….5分くらいしか寝てないくせに。!!」
「その5分のあいだ気持ちよく寝てたのに、おまえが急に俺を触ったじゃん。」
「おい、さ、触るって何を、何を触るんだよ-」
「ただ…..ただちょっとつついてみただけだよ!」
「へえ… そうですか。」
は、ほんとムカつく。
かなり年下の子に言い負かされて。
こいつと話すと、いつも私が負ける。
「ありがとうございました、おじさん、お疲れさまです~!」
酔ったチェ・ヨンジュンをほとんど担ぐようにして、タクシーに乗ってチェ・ヨンジュンのワンルーム前に着いた。
きらびやかなビルとマンションの間にある、チェ・ヨンジュンの一人暮らしの部屋はビラだった。
あまりボロすぎもせず、かといって洒落すぎてもいない。少し古びた、そんなところ。
ああ、それは重要じゃなくて。
こいつ、酒臭すぎる。
いや、それに今もうほとんど死んでる。
いや、そんなに飲んでないのに何でこうなるんだ?
しかも二軒目に行こうとするのを、やっと止めてタクシーに乗せたのに。
「あ、くそ重い…。」
なんとか玄関を開けてチェ・ヨンジュンの部屋に入った。
男の家に来るのは初めてだけど….
男ひとり暮らしの家にしては、わりときれいだった。
私はひとまずそんなこと気にしてる場合じゃなかった。
いや、顔はちっちゃいのに、なんでこんなに重いんだよ?
私はチェ・ヨンジュンを投げるようにベッドへ寝かせた。
息ができなかった。
「はぁ…はぁ….はあ…。」
私もそのまま床に倒れ込んだ。
「うわ…ほんとに….」
「チェ・ヨンジュン….おまえは…..酒飲むな….」
「はぁ….もう一回だけ….酒飲もうって….言ったら許さないからな。」
寝てるのか起きてるのか、寝てないなら私の話を聞いてるのか、チェ・ヨンジュンはただ静かに目を閉じていた。
「…。」
「もう行くぞ。」
私は勢いよく立ち上がった。
横になってたのに急に立ったらめちゃくちゃくらっとした。くそ、起立性低血圧。
….
まだちょっときついんだけど…?
まあ、180を超える男を背負って(引きずって)来たんだし。
ちょっと休んでから帰るか….
私はチェ・ヨンジュンのベッドに少し腰かけた。
そしてチェ・ヨンジュンを見た。
「おい。」
「寝てるのか?」
誰かに連れていかれても気づかないくらい、すごく気持ちよさそうに寝ていた。
こんな顔を見ると、やっぱり子どもっぽいな。
….
子どもだよな?
22歳ならまあ….まだまだ子どもだし…
ぼんやりしながら、ずっと彼を見ていた。
もう行かなきゃなのに….
その時、声が聞こえた。
「…ベ・ウン。」
「え?」
「呼んだ?」
戸惑った。
寝てなかったの…?
いや、こいつ寝たふりする演技うますぎない?
「…。」
なんで黙ってるんだ。
夢見てるのか?
何を言ってるのかよく聞こえなくて、彼に耳を寄せた。
「あの男….」
男? 何の男?
…まさか、スンウさん?
私は息をひそめて聞き続けた。
「会っ….たら….だめ?」
…
聞き間違えたか?
聞き間違えたな。
私も酔ってるな、うん。
くそ……..確かに聞こえた、そうだよな、くそ。
