この文はフィクションです

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ヨンジュンのオフィステルの前で、むやみにヨンジュンを探しに行った。明かりの消えた窓を見ると
まだ帰宅前のようだった。どれくらい待っただろう。黒い乗用車が一台、スビンの前に
止まった。そして運転席から降りて、電話もなしにどうしたんだと迎えるヨンジュン。しばらく
スビンの表情を見て、ヨンジュンも察したのか、諦めたように近づいていった
" チェ・ヨンジュン、あなたがどうして..!!"
"あの、スビナ..僕の話をちょっと.."
バシッㅡ言い終わるより早く、スビンがヨンジュンの顔に拳を振り下ろした
バランスを崩してよろめいたが、すぐに姿勢を立て直した
"一生幸せにしてやるって言ったじゃない!だから全部諦めて、あなたに送ったのに!
今のヨジュはどんな状況なのか分かってるの?"
"...."
" 少なくとも、そんなクズみたいな真似はしないでよかったでしょ!!
僕が..僕が..ヨジュを忘れようとしてどんなことまでしたか、よく分かってるだろ
じゃあ、僕が見せつけるみたいにちゃんと生きてるべきだったのに。ヨジュがかわいそうでどうするんだ "
スビンがこんなに怒るのは初めてだった。滅多に怒らないのに
喉が詰まり、スビンの目元が潤み、こんな状況が嫌だと言わんばかりに頭を抱える
息苦しそうにネクタイを引きはがすヨンジュン。空気は暗いままだった。実はヨジュが
そんなふうに出て行って、追いかけようとしたけれど、あの女が僕の足をつかんだ。僕の子を
守ってくれとだけ言って、僕は何もできず苦しかった。あの日、僕は酒に
たっぷり酔って何の記憶もないのに、僕の子を妊娠したなんて。そしてその女は両親が
気に入っているT企業の外孫娘だった。どうあっても必ず縁組みをしなければならない
そんな関係なんだ。ヨジュにひどいことをしてしまった。どうしても本心を伝える勇気が
出ない。それでもスビンがいるから安心できるのは本当だ。僕より
彼女をもっと幸せにしてくれるってことを..ヨンジュンの言い訳を聞きたくなくても聞くしかない
スビンの表情はどんどん暗くなり、破談の理由を聞いたスビンはさらに複雑になった
" 何それ、わけの分からないこと言わないでよ?ヨジュに黙って2年間会ってたんじゃなかったの?"
"違うよ、あの女が僕につきまとってきたんだ。実はそのカン・ヘウォンって女はT企業の
外孫娘なんだ。うちの会社と特別な関係があって、家族の集まりの場で何回か見ただけ
だったんだ。話せば長いけど、両親がカン・ヘウォンをすごく気に入っていて
妊娠の知らせを知って、結婚を急いだんだ。はあ"
" じゃあ妊娠って何なの?あの女が嘘をついたってこと?"
"だから、嘘ならいいのにって思う。けど覚えてないんだ。あの日、酒にべろんべろんで.."
ヨンジュンはもどかしさに乾いた顔をこすり、呆れるスビン。乾いた笑いを浮かべながら
それが今の話で筋が通るのかと声を荒げた。ヨジュには何も言わないでくれと
頼んだヨンジュンはオフィステルへ入っていった。スビンの握った拳がもう一度震えた
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スビンは退勤すると同時にヨジュの家へ出勤した。来ないでと何度も言ったけれど
無駄だった。女ひとりが住む家に出入りしていたら誤解されやすいのに、誤解されても
構わないんだとさ。そう、好きにすればいい。ほとんど諦めているヨジュだ。暗い
部屋の中が次第に明るくなっていくのを感じた。何か月も経ったけれど、別れという言葉は慣れない。ヨジュの前で一日中おしゃべりするスビンを見ていると、心が楽になる気がした
" おやすみ、ヨジュ。また明日来るね"
寝室のスタンドだけをつけて、すべての明かりを消し、ヨジュの家を出ていくスビンだった
玄関のドアが閉まり、ため息をついてドアにもたれ、しばらくそこにいた。みんなが眠る深い
夜更け、ヨジュの玄関の暗証番号を押して入ってくるヨンジュン。以前より痩せこけた体
血の気のない顔、泣き疲れて眠ったヨジュを見つめ、胸が痛んだ
僕がお前を置いて..本当にクズだな。あきれた笑みを浮かべて、ヨジュの頬をやさしく
撫でるうちにいつの間にか目元が潤み、涙が一、二滴ずつ顔の上に落ちていく
変な気配を感じたヨジュは眉間を寄せ、スビン?まだ行ってないのかと心の中で
思ったとき、ヨンジュンと目が合い、瞳が大きくなって、今これが現実なのか夢なのか
状況判断ができなかった。目をこすっても、あの前にヨンジュンがいる。かすかに震える
手でヨンジュンの顔を触る。二人は何も言わず、切なそうに見つめ合うばかり
ヨンジュンの顔に留まっていたヨジュの手を包み、その涙はヨジュの手に落ちる。ヨジュがヨンジュンを抱きしめる。するとヨンジュンはヨジュの腰を腕で抱き、すすり泣く
" み..ごめん、ヨジュ。ごめん "
" ....行かないで、ヨンジュン.."
言いたいことはたくさんあったけれど、いざとなると意地悪くすることもできなかった。しばらく抱き合って泣いた
僕を許さないで、ヨジュ.. ヨンジュンの声も震えていた。こうして二人は完全に終わった。固いものだと思っていた8年という時間は、引き裂かれた紙のようにむなしく散ってしまった
涙を流したまま目を開けたヨジュは、はっとしてヨンジュンを探した。まだヨンジュンの
ぬくもりが残っているのに、本当に夢だったの?いや、夢のはずがない。涙は頬を伝って
絶え間なく流れ落ちた。膝に顔を埋めて泣いているヨジュだ
スビンが入ってきたことにも気づかないほどだった。スビンは気の毒に思って声を張り上げる
" ヨジュ、こっちを見て"
" ㅅ.スビナ、ヨンジュンが..ヨンジュンが..来たんだ"
" チェ・ヨンジュンの話はしないって約束しただろ、お願いだよヨジュ!"
"会いたいの。ヨンジュンに会いたいんだ!"
声を限りにわんわん泣くヨジュ、大きな声を出してごめん、もう二度としないよヨジュ、と
自分を責めるスビン。スビンの胸に抱かれて泣くヨジュ。時が薬だと言うけれど
この時間さえ過ぎれば、全部よくなる。僕が君の恋人になれなくてもいい
ヨジュが幸せであることだけを祈るだろう。一か月が過ぎた。11月の終わり際、かなり冷え込んだ
天気だった。淡々と日常を送るヨジュだった。退勤後、ひとりではなくヨジュの隣に
同じ部署の後輩であるボムギュがいた。夕食は抜いて、二人はプライベートな
居酒屋へ向かった。ああ、よりによってヨンジュンがよく行っていた店だと確認したヨジュは瞳が
揺れた
" 先輩、大丈夫ですか?"
" うん、大丈夫。ちょっとめまいがしただけ"
" そのまま..帰りましょうか?"
"いや、入って"
まだ早い時間なのに、店はほぼ満席だった。もうすでに気疲れしそうなヨジュ
そんなヨジュの様子をうかがうボムギュだ。隅の席に案内され、向かい合って座った
酒をごちそうしてとせがんで来たものの、もしかしたらヨンジュンと鉢合わせするかもしれず、あちこち
気を配るヨジュだ。一方でボムギュは絶えず話しかけてヨジュを笑わせた
まったく笑わなかったヨジュの口元に笑みが浮かぶと、ボムギュの心臓が速く打ち
始めた。酒が苦手なヨジュはつまみも食べず酒だけをちびちび飲み、ヨジュに合わせて
酒を飲むボムギュ。そして少しずつ暗くなるヨジュの顔が気にかかる
ヨジュの瞳はヨンジュンを見つめていた。表情が暗く、荒くなった顔だ
ヨジュの視線をたどると、ヨジュと結婚するヨンジュンが見える。ボムギュは首をかしげた
ボムギュは破談の事実を知らないまま、ヨンジュンと鉢合わせしないようにできるだけ動かなかった
そしてヨジュは、気づかないうちに酒量を超えて飲んでいた。ボムギュが止めたけれど
無駄だった。
" 先輩、なんでこんなにたくさん飲むんですか?"
" ....."
結局、涙腺が決壊したのか、泣いているヨジュだった。破談したなんてどう言えば
ヨジュの携帯が何度も鳴ったが、酔ったヨジュは出られなかった。発信者はスビン
何度無視してもかかってくる電話に出ないわけにいかず、ボムギュがしばらく
迷った末、仕方なく出た。口を開く前にスビンの声が聞こえてきた
優しい声に眉間を寄せるボムギュ
📞 ヨジュ、どこ?家にもいないし
" ....."
📞 ヨジュ、聞いてる?
" あ。ヨジュ先輩は僕と一緒ですけど?"
すぐに見知らぬ男の声を聞いて、神経が張りつめた。ヨジュ先輩?会社の同僚か?
📞 そ..そこ、どこですか?
" ここ、モア洞の交差点、モア酒.."
言い終わる前に切れた電話。何だよ、この人、本当に来るのか
僕が送っていってもいいのに、ここにヨンジュンじゃない別の男が来るなんて
いったいどういう状況だ。30分もたたないうちに暗くてうるさい酒場へ
入ってきたスビンは視線を巡らせ、酒に酔ってうつ伏せになっているヨジュを見つけ
支えた。スビンにもたれて力なく垂れ下がる。ボムギュは席を立ち
挨拶をし、何とも言えない不思議な気分を抱く二人だった
" ヨジュ、しっかりして"
" ..へへ、スビンです! でもスビナ、私眠..い "
" 初対面なのにすみませんが、バッグを持って出てきていただけますか?"
"あ、はいはい"
また泣いたのだろう。顔に涙の跡がついているのを見ると、ヨジュをひょいと背負った
スビンはとっさにヨジュのバッグを持って外に出る。幸いヨンジュンは見え
なかった。酒場の前に駐車してあった車のドアを開け、助手席に慎重にヨジュを乗せて
ボムギュに、ヨジュの飲み相手になってくれてありがとう、心配しないでいいと伝えて去った
スビンだった。しばらくぼうっとしてから、その手に持っていたヨジュのバッグに気づいた
ことができた。あ、バッグどうしよう..
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