初恋のために

03






この作品はフィクションです






photo









/







ああ、頭が痛い。どれだけ酒を飲んだんだろう。二日酔いで頭が痛くて胃までムカムカする

朝早くから眉間を寄せながら目を開けた。上半身を起こして周りを見回した

間違いなく私の部屋だった。え?私、どうやって入ってきたんだろう?確か範規さんとお酒を飲んだところまでは

覚えているのに、どうやって家に帰ったのか覚えていない。昨日のことを思い出そうと頭を

ひねってみるけれど、思い出せるはずもない。しかも大事なことに、私のバッグが丸ごとない

スマホまでだ。なんだろう?そんなふうにメンタルがやられたままぼんやりしていると

ノックの音がして母が入ってくるのかと思ったけれど、母ではなくスビンだった

え?なんであなたが私の家にいるの?まったく、ソヨジュ、ハチミツ水でも飲んで。私の前にハチミツ水の

入ったコップを渡してくれる。飲んで酔いを醒ませと言いながら部屋を出ていくスビンを、しばらく

これは夢じゃないよね?ハチミツ水を一気に飲み干して、少し気まずいまま台所へ行った

出前をいつ頼んだのか、酔い覚ましのスープがどんと食卓の上に置かれていた










" 料理ができないの知ってるでしょ?だから一番おいしい店で酔い覚ましのスープを注文したんだ"











" ああ、お母さんは?"









" あ、母さんは叔母さんに会いに行くって一時間前に出かけたよ"











"スビン、あなた、うちに泊まったの?"










" うん。お母さんがいないと思って入ったら、いたんだよね?
君をおんぶしてるところまで全部見られた。遅いから泊まっていきなさいって"












" あ..ごめん。しばらく家にいるんだね"












" それと、服は僕が着替えさせたんじゃないから心配しないで、ふん"












" ううん、誤解してないよ;;ごちそうさま、スビン"














" うん、早く食べて。冷めるよ"(ヨジュにスプーンを握らせる)















黙って酔い覚ましのスープを食べた。うわ、本当においしい。でしょ?君が好きだと思ってたよ、と言いながら

きれいに笑う君を見て、心の片隅がじんわりした。そんなふうに笑うの、久しぶりだね

年を取ると、これってみっともないのかな。なんで鼻の先がつんとするんだろう。咳払いをして、また

ご飯を食べた












" ヨジュ、今度は僕が君の飲み仲間になってあげる。知らない男と飲んじゃだめだよ"














" ああ、範規さんは私の後輩だよ。心配しないで"













" 君の電話をその人が取ったから、どこだって聞いて、聞いてみたらモア酒場だって
すぐ君のところへ走ったんだ。そしたら君は酔ってテーブルに突っ伏してて
僕は君をおんぶして、その人もバッグまで持ってついて出てきたんだけど..あ!バッグ!"















あ..急に顔が熱くなり始めた。気まずくて両手で顔を覆った

なんでこういうときに限って思い出すんだろう。スビンはバッグはその人が持っているはずだからって

電話してみろと自分のスマホを渡してきて、私の番号を押したらヨジュ♡と

登録されていた。長い長い呼び出し音の末、低い声で電話に出る範規

なぜか申し訳なくなって、ヨジュはのどを整える










📞 はい、もしもし










" あ、範規さん。私、ソヨジュです!"












📞 あ、先輩、こんにちは。お酒かなり飲まれたみたいですが、大丈夫ですか?












" はい?あ、大丈夫です。もしかして私のバッグ..持ってますよね?"











📞 ..あ、はい。私が持っていて、どうお返ししようか
考えていたんですが、ごめんなさい。バッグをすぐお渡しすべきでした
私も忘れていて










" いえ、大丈夫です。急ぎではないので
月曜日に会社の私の机の上に置いておいてください"













📞 はい、わかりました













"じゃあ、月曜日に会いましょう"













通話を終えた範規は、昨日ヨジュをおんぶしていた男のことがひどく気になった

いくら男友達でも、やることを後回しにしてすぐ酒場へ連れて行くのは、気が

あるからじゃないのか?なんて、どうでもいいことを考えてみる。でもそのチェ・ヨンジュンという

人を見ながら泣いていたのだから、もしかしてケンカしたのか。範規はいろんなことを考えた

自分の手元にヨジュのスマホとバッグまであるから、月曜日を待つのはまた初めてだった










/











永遠に来ないみたいな月曜日になり、軽い足取りで出勤した範規

きれいに整えられたヨジュの机の上にそっと紙袋を置き、自分の席に

座る。しばらくしてヨジュが出勤したあと、バッグとスマホを確認して安堵のため息を

ついた










[先輩、次も飲み仲間になります^^今日もファイトです]











メモを全部読み終えたヨジュは、範規のいる席を一度見て、範規と目が合い

バッグありがとうございます、と口の形で伝えた。そうして仕事の時間が始まり、静かだった

オフィスにはキーボードを打つ音だけが聞こえるばかりだったが、やがてヨジュのスマホが振動して

ライトが点滅し、メッセージという文字が出た


💬


[ヨジュ、今外回り中なんだ。あとで退勤したら会社の前に行くよ。一緒に帰ろう]










スビンだった。婚約破棄の事実を知ってから、急に私のことをよく気にかけるようになった。週末には24時間を

一緒にいるような気までしたけど、まあ不便ではなかった。スビンは私が悪いことを

考えるんじゃないかと思って、そばにいると言った。僕は何か、時間がないのかな。私の心配はしなくて

彼女でも作れと小言まで言った。返ってくる答えは考えない、だった

スビンのことを考えると、切なくなった。知らないうちに大きくため息をついたのか、隣の席の

代理さんが、最近は結婚準備で大変なのかと心配してくれた。どうせ知ることになるなら

言わなきゃいけないのに、どうしても口が開かない。退勤時間になって社員たちと

エレベーターを降りたら、今日は大事なミーティングがあったのか、ロングコートにスーツを

着たスビンが私を迎えた。女の社員たちは羨ましそうな目で誰ですかと聞き、

社員たちは私の婚約者が大体誰なのか知っていたからだ








" まあ、ヨジュさん。このハンサムな方はどなた?教養のある人だと思ったわ"












" ところで最近ヨンジュンさん、なんで見ないの?よく来てたのに、会社の仕事が忙しいのかしら
前に私たちに素敵な夕食をごちそうすると言ってたのに、ヨジュさんが聞いてみて"












" お友達に彼氏がいなければ、私に紹介してください"













そんなおせっかいな話があれこれ飛び交い、気まずそうな表情で先に行きますと言って

スビンの腕をつかんで外に出た。後ろで見ていた範規の表情は

かなり不機嫌そうだった












" ちょっと、チェ・スビン。会社に来たらどうするの"













" 一緒に帰ろうって言ったじゃない。困ったならごめん"












悪かったと目尻を下げるのが、主人に叱られた子犬みたいだった

あなたをどう叱れっていうの。行こう、家へ!お母さまが美味しい夕食を作ってくれるって

来いと言ったんだよ。もう、そんなに嬉しいの?にこにこのスビンと家へ

帰っていた。家の近くの遊び場を通っていたときだった。電柱に寄りかかって

スビンとヨジュを見つめている見覚えのある人影が見えると、ヨジュは足を止める

黒い瞳が揺れる。その人影を確認したスビンの顔は一瞬で暗くなり

ヨンジュンはヨジュのほうへ歩いてくる。スビンは急いでヨジュを自分の後ろに隠し、

冷たい口調で言う












" チェ・ヨンジュン、ここがどこだと思って来たんだ"












" ..スビン、先に入ってて"











" ヨジュ..."












" スビン、お願い.."













" ..何かあったら電話して"










ヨジュの頼みにため息をつき、仕方なく背を向ける。スビンが消えるとヨンジュンはヨジュを

強くぎゅっと抱きしめる。ヨジュの匂いだ。あたたかい匂い。しばらく何も言わずに抱きしめていた















" ...ヨジュ、俺を許さないでくれ。こんなことを言う資格もないやつだってわかってる"














" ...."













" 俺みたいなやつは早く忘れて。最初から君の心になんていなかったみたいに"













" ..最低"











" .... "














どうして、そんな。どうやって君を忘れろっていうんだ。あの長い時間ずっと、君だけだったのに

君のいない俺なんていないんだ。ヨジュを抱いていたヨンジュンの腕がゆっくり離れ

ヨジュから遠ざかっていた。出るはずがないと思っていた涙は、水道の蛇口をひねった

みたいに、ぽろぽろと流れ落ちていた。ヨンジュンが消えてしまうかと、後ろから抱きしめてしまった。ヨンジュンの

視線は揺れ、涙のせいでヨジュの肩が震える。もう二度と抱きしめられない

自分を恨んでみる。喉が詰まってくるヨンジュンは唇を噛み、冷たく

ヨジュの腕を腰元から振りほどき、そのままヨンジュンが消えると座り込んで泣いた

もしかしたらと期待していた。引き止めてって、私じゃないとだめだって言ってくれると思った

君は何の言い訳もなく、また私を残酷に捨てるんだね。いっそ言い訳でも

並べてくれればよかったのに。8年という時間は、こうして何でもなかったことになるんだね..私、君を忘れてみる

うん、そうしてみる。だからどうか、君も幸せに元気でいて

19歳で出会って8年を共にした私の初恋..さようなら、チェ・ヨンジュン








読んでくださってありがとうございます🫶

こっちがむずむずする🫠

スビン のファンに人気のストーリー