初恋のために

08






この文章はフィクションです





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冬の日差しにきらめきが差し込む、揺れる波とその砂浜を、ひとり寂しく

歩くヒロインが見える。海辺だからか厚手のコートを着ているのに、寒さが肌を

刺してきた。この海は、ヨンジュンとよく来ていた場所。エメラルド色の、人々が

あまり知らないふたりだけの思い出が詰まった場所でもある。ここは変わってないね

私が変わったことがあるとすれば、ヨンジュンと別れたってこと。鼻の奥がつんとして、つい

すすり泣きながら、何も考えずに歩いて、また歩いた。鳴り続ける携帯電話は、もう

電源を切ってからずいぶん経つ。静かに座って海を見ていれば、楽しかった思い出が

思い出される。冬の海に来て、服も持ってこなかったのに、荒い波を浴びても

寒さを忘れるほど幸せだったあの頃が思い浮かび始めると、だんだん

暗くなるヒロインの顔。どうしてずっと思い出しちゃうんだろう..私たちはもう終わったじゃない

もう私を苦しめないで、チェ・ヨンジュン!! 左手の薬指にはめていたペアリングは

コートのポケットの奥深くにしまった

すぐに涙がにじんで落ち、静かにすすり泣いた

そのそばには空になったビール3缶が砂浜に転がっていた





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遅い夜、ソウル行きのバスに乗り込んだヒロイン。乗った途端バスの中が暖かかったので

酔いが回ったのか、顔を赤らめながら窓際の席に座るやいなや

気絶したように眠りについたヒロインだった。しばらくぐっすり寝ていて、頭が窓にぶつかって

痛そうに眉をひそめて目を開けた。ここはどこだろう。時計を見るなり驚く

ヒロインだ。夜10時を指していたからだ。え、やばっ。今まで寝てたの?

やばい、って独り言を言って、そうしてソウルターミナルに着いたバスを降りると

さっき海にいた時より寒くて体を縮め、屋内へ移動した。足を止めた

ヒロインの前に、誰かが挨拶しながら立ちはだかった。上を見上げたヒロインは、どこか見覚えが

あるけれど、それが誰なのかどうしても思い出せなかった。ヒロインを見てえくぼが

浮かぶほど晴れやかに笑う人はテヒョンだった







「あれ?今日は泣いてないんですか?」









「え?誰..」









いきなり今日は泣いてないのかと聞いてくるテヒョンに、警戒した顔で誰だと話す

ヒロインに、がっかりしたテヒョンは大きな目をしょんぼりと下げる。ほんと、僕のこと知らないんですか?

そう言って頭を下げ、鼻先すれすれまで目を合わせてきたおかげで、行き場を失った

ヒロインの瞳は、気まずそうな表情を浮かべた









「この前、雨の日にホテルの前で泣いてたでしょう」











「あ、傘の持ち主!傘を返します。連絡先をください」












傘の話でたちまち気づいたヒロインが、かわいく見えた。そして予想もしなかった

発言に驚いたのも束の間、自分の携帯をテヒョンに差し出し、ヒロインにも携帯を

渡す。テヒョンは少しときめく気持ちで番号を入力し、カン・テヒョンと

保存した






「僕、カン・テヒョンです」







「私の名前はソ・ヨジュです。傘にイニシャルがあって
꼭 돌려드리고 싶었는데 이렇게 만나다니 너무 다행이다"










その時、スビンの姿が見え、テヒョンと話しているヒロインを見つけて声をかける










「ヨジュ!」






「あ、スビナ!」








「なにそれ、なんでそんなに薄着なの。それに、誰がひとりで海に行ってこいって言ったの?え?
 誰かに連れていかれたらどうするの。なんで電話も切って
 こんな夜遅くに来るなんて、どこがあるっていうの。え?」









「ちぇ、説教だ!うちの父さんよりひどいよ、チェ・スビン」









心配させた恋人に説教するみたいにコートを合わせ、自分のマフラーを外して

ヨジュの何もない首にぐるぐる巻きつけながら眉をひそめるが、スビンはヨジュを

愛情たっぷりの目で見つめている。その様子を見逃すはずのないテヒョンはスビンが

気になった。チェ・スビン? 何だよ? その間に新しい恋人でもできたのか??








「あ、連絡します。失礼します」








「はい、連絡お待ちしてます」









テヒョンに最後の挨拶をしたあと、ヨジュが消えるまでぼんやり見つめるテヒョン

それから荷物を両手いっぱいに持ったテヒョンの友人ユシンは、呆れたように見る








「おい、カン・テヒョン兄貴が江原道から来たのに、俺を迎えに来たんじゃなかったのか?
 めちゃくちゃがっかりだわ、この野郎」







「え?ユシン、いつ来たの?」








「だいぶ前に来てたよ。自分で来いって言っておいて、よそ見か?」









「あ、ごめんごめん。ちょっと誰かに会ってて、久しぶりでさ」









「お前の目を見たぞ。恋に落ちた目、誰だよ」








「持ち主をなくした子犬」







「え?」








「そういうのがあるんだよ、友よ。行こう、酒を飲みに」







ぽかんとしているユシンの肩に腕を回し、足早に歩き出すテヒョンだ。ユシンは

不思議だった。あんな恋に落ちたような目をしたのは、シン・ジュア以来初めてだ。ユシンが

知っているテヒョンは、初恋に失敗して女に興味も視線も向けず、卒業後

あちこち彷徨って放浪生活をしてから実家に戻ってまだ1年ほどしか経っていないという事実だ

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家に帰るスビンとヨジュ。スビンはさっきの状況を思い出していた。目の大きい






男は誰だったのか、なぜヨジュをあんな目で見ていたのか気になって仕方なかった

「チェ・スプ、何考えてんだ? 夜食に何食べるか考えてるのか?」








「いや、さっきお前を見て笑ってた男。私の知らない男もいるのかなって」









「あ! 私に傘を差してくれた傘の持ち主だよ!ほんと不思議だった








 こういうのって偶然かな? 傘、返すことにした」
ヨジュ、はしゃいでるな。小さくため息をつきながらヨジュを送り届けたスビンだ










「ヨジュ、つらいことがあったらいつでも私にちゃんと言えよ










 今日みたいに連絡もなしにひとりで行ったら、叱るからな?」
「もう、チェ・スビンのせいでひとりでどこにも行けないね







 海を見てきたら、胸のつかえが全部すっと抜けたよ
 友達として、心配するようなことはしない。約束!」
元気よく言っても、その瞳には悲しみがにじんでいた。互いに小指を絡めて







約束した。友達でもいいと思った。ずっとそばにいられるから、君を

守ると決めたあの日、どうなっても構わないと思った。君のわがままも

君の涙も、君の過ちも、全部受け止められる気がした。君が一生私を

離さないなら、だけどそれは私の欲なんだろう。ボムギュの言葉がよみがえった

執着か..君を欲しがっている自分が、どこかで少し憎らしかった。目の前で

笑っている彼女を見て、心臓が狂ったように高鳴っている。彼女は僕を生かしてくれた人で

初恋であり、最後の恋でもあってほしいソ・ヨジュ。どうして君を愛さずにいられる?

でも、どうかしばらくは僕を見ていて。君を見ていても、毎日会いたくなるから

君は僕にとって唯一無二の存在だ。君じゃなきゃだめだ

それは彼の、苦いひとりごとだった







🫶︎必要ありません】؟?







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