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すべての内容は現実とは無関係です。

Playlist l この夏が私たちの初恋だから
ドアの前に立っていたのは、見たことのない男の子だった
雨に濡れた傘を片手に持っていて、制服のシャツの肩が少し濡れていた

私は返事の代わりに、椅子から半分立ち上がったまま固まっていた
'すみません、出ます'
その言葉が喉元まで込み上げては、また下がっていった
男の子は傘をドアの横に立てかけて、ゆっくりピアノの方へ歩いてきた
???? : "左手"
ハナ : "...え?"
???? : "左手をそんなに全部押さえたら音がつぶれる"
その子は私の隣に立って、鍵盤の上に手を置いた
長くて白い指だった
???? : "こんなふうに、三つだけ押さえて下の音を一つ空けてみて"
言われた通りにした
私のメロディーの下に、和音がきれいに重なった
さっきと同じ曲なのに、まったく違う曲みたいに聞こえた
私は思わずその子を見上げた
その子は私のノートを見ながら、右手で次の小節をなぞった
一小節
二小節
その子が弾く音は、私が弾く音とは違っていた
同じピアノなのに、ずれた音までわざとそう作ったみたいに聞こえた
鍵盤を押す指先はとても軽かった
初めて触る人の手じゃなく、長く触れてきた人の手だった
それから急に手をぱっと離した
まるで熱いものに触れた人みたいに
???? : "...ごめん"
その子はそれだけを残して、傘も持たずに音楽室を出て行ってしまった
廊下を走る足音は雨音にかき消された
私はしばらくのあいだピアノの前に立っていた
さっきの音が耳から離れなかった
チンチンチンチン
昼休みが終わる鐘が鳴った
私はあわてて椅子を元の位置に押し込み、飛び出した
。
ドアの横に立てかけられた他人の傘を持つかどうか迷った末、結局そのままにして
ノートがないと気づいたのは、その夜だった
かばんをひっくり返して振り、机の引き出しを全部開けて、布団までめくった
なかった
ハナ : "...ピアノの上"
そこにしかなかった
私は布団を頭のてっぺんまでかぶって、足をばたつかせた
ノートには歌詞があった
誰にも言えなかった言葉が全部そこにあった
誰かにそれを読まれたら
私は学校に通えない。
なのに不思議なことに、ノートの心配の合間に、何度も別のものが浮かんできた
きれいに重なっていた和音
そして手を離したあの子の顔
まるで何かに見つかった人みたいだった
週末じゅう、胸の中が焼けつくようだった
土曜日は学校へ行ってみようかと思った
校門の前まで行って、固く閉まった鉄門を見てそのまま引き返した
日曜日はギターを取り出したけれど
ノートがないから何を弾けばいいかわからなくて、またしまった
お母さんがどうしてそんなにため息をつくのかと聞いたけど
宿題が多いだけだと言った。
月曜の朝早く行って、まず音楽室に寄ろうと思っていたのに、またバスに乗り遅れた
結局、また歩いた
校門に着いたときには、鐘が鳴る直前だった
教室に入った瞬間、息が止まった
窓際の前の席のあの子
いつも片方だけイヤホンをして問題集ばかり解いていたあの子が、私の席の前に立っていた
そして手には私のノートがあった
その子は私が席に座る前に、ノートを机の上にぽんと置いた
???? : "これ、お前のだろ"
クラスの視線が一斉に集まった
私はうなずくだけだった
???? : "曲だろ、これ"
またうなずいた
???? : "コードまで書いてあるけど、お前が書いたのか?"
三度目のうなずきは少し遅れた
その子がノートの最初のページではなく、途中を開いて見せたからだ
ハナが書いた字 : '내가 작게 쓴 가사'
その歌詞の上に、鉛筆で小さく何かが書かれていた
'ここにブリッジを入れるといいかも'
私の字じゃなかった
???? : "ミョン・ジェヒョン"
ハナ : "...?"
ジェヒョン : "俺の名前..まだクラスのやつらの名前わからないだろ"
見つかった
顔が一気に熱くなった
ジェヒョン : "放課後、音楽室に来て。話がある"
そう言うと、ジェヒョンは自分の席に戻って、またイヤホンを差した
クラスメイトたちがひそひそ話した
ミョン・ジェヒョンの方から先に話しかけるの、初めて見たって声が聞こえた
学年1位が転校生に何の用だって声も聞こえた
学年1位
私はそのとき初めて知った
ペン先でリズムを取っていたあの子が、この学校で一番勉強ができる子だってことを
私はノートを胸にぎゅっと抱きしめた
心臓がうるさすぎて、1時間目の授業が何も聞こえなかった
こっそりノートを開いて、その鉛筆の字をもう一度見た
'ここにブリッジを入れるといいかも'
私の曲を最後まで読んだ人だけが言える言葉だった
放課後の音楽室のドアの前で、私は五分くらい立っていた
入る?
そのまま家に帰る?
ドアノブに手を置いては離し、を三回くらいしたころ
中からドアがばっと開いた
1年生 : "あれ? あのときの先輩だ!"
パンを抱えて走っていたあの子だった
今日はパンの代わりに、ドラムスティックを逆さに持っていた
1年生 : "兄さん、あの先輩来たよ! パン拾ってくれた先輩!"
ジェヒョン : "キム・ウンハク、スティック逆に持ってる"
ウンハク : "え、ほんと?"
ウンハクはスティックを持ち直して、かっこよく一回転させようとして、そのまま落とした
スティックが飛んでシンバルに当たった
チャンという音が音楽室に響いた
ウンハク : "...今の、練習です"
ジェヒョン : "練習をそんなふうにするな"
音楽室はあの日とは変わっていた
積まれていた椅子は壁際に片づけられ、ドラムセットを覆っていた布は外されていた
黒板の隅には、整った字で書かれた練習時間表みたいなものも見えた
誰かがかなり前から、ここを出入りしていたんだ
その整った字は、ノートに書かれていた鉛筆の字とまったく同じだった
ウンハクが私の前に椅子を一つ引いて置いた
ウンハク : "先輩、ここに座って。ここ僕の席だけど譲ります"
ハナ : "......"
ウンハク : "僕はキム・ウンハクです、1年3組で! ここ、もともと僕が掃除当番だったんですよ"
聞いてもいないのに、ウンハクは嬉しそうに話を続けた
ウンハク : "別館を掃除してたら、いつもここから変な音がするんです。それで幽霊かと思ってこっそり見たら、ジェヒョン先輩が一人でラップしてたんです"
ジェヒョン : "ウンハク"
ウンハク : "でもほんと、めちゃくちゃかっこよかったです。先輩、兄さんのラップ聞いたことあります? ほんとヤバいです。それで、すぐ僕もやるって言ったんですよ"
ジェヒョン : "やめろ"
ウンハク : "兄さんが何ができるのって聞くから、何もできないって言ったんです。そしたら兄さんが、じゃあドラムやれってスティックをくれたんです"
ジェヒョン : "一番うるさいのがしたいって言ってただろ"
ウンハク : "はい、それも合ってます"
ウンハクはひひっと笑った
ジェヒョンはため息をつきながらも、ウンハクを追い出さなかった
私は二人を交互に見た
教室で一言もしゃべらなかったジェヒョンと、今ウンハクに小言を言っているジェヒョンが同じ人だなんて、不思議だった
ジェヒョンが黒板の前に立った
チョークで日付を一つ書いて、丸で囲んだ
7月18日
その下に線を引いて、一つずつ書き出した
総括 ミョン・ジェヒョン
ドラム キム・ウンハク
メインボーカル
ギター
ベース
キーボード
名前が書かれているのは、たった二行だけだった
残りは全部空欄だった
ジェヒョン : "何年か前まで、この学校にバンド部があったらしい。それでなくなって、この部屋は倉庫になった"
ジェヒョンがチョークの先で日付をとんとんと叩いた
ジェヒョン : "夏祭り、あの日に俺たちが出る"
黒板の横のカレンダーは、まだ五月で止まっていた
七月まで指で数えてみた
七週間
長いのか短いのか、わからなかった
ウンハクが拍手した
私は黒板に書かれた空欄を見た
ギターもベースもキーボードもないのに
人も二人しかいないのに
ジェヒョン : "人は集めればいい"
私の表情を読んだのか、ジェヒョンが言った
そして私のノートを顎で示した
ジェヒョン : "曲はあるから"
ハナ : "...?"
ジェヒョン : "お前のだろ、そのノートにあるやつ"
ジェヒョンはピアノの椅子に座った
鍵盤に手を置くと、私のメロディーを片手でなぞった
そしてその上に、低い声で私の歌詞を重ねた
歌なのか言葉なのかわからないその音が、埃の積もった音楽室を満たした
私が一人で部屋で声を殺して歌っていたのとは、まったく違った
私の言葉が他人の声で出てくると、妙にみすぼらしさが減った
むしろかっこよかった
そしてほんの少しだけ
どこかで聞いたことのある声だ、と思った
どこでかは思い出せなかった
ジェヒョンが手を止めた
ジェヒョン : "これ、ステージでやりたい"
口を開いたのに、何も出てこなかった
ウンハク : "先輩も一緒にやってください、ね?"
ウンハクはスティックをぎゅっと握って、私を見上げた
パンを受け取った日みたいに、噂なんて何一つ知らない顔だった
そしてその瞬間
本当に私も知らないうちに
ハナ : "...うん"
音が出た
私の声だった
私は自分の口を両手でふさいだ
ジェヒョンはふっと笑い、ウンハクはスティックを空へ投げて、また落とした
チャン
シンバルがもう一度鳴った
いちばん驚いたのは私だった
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