その日、ファンミを終えて。
主人公は家に帰ってきてからも、しばらく何もできなかった。
バッグを下ろして、
ベッドに座ってぼんやりと壁を見つめていた。
しばらくそうしてから
そっとバッグからアルバムを取り出した。
そしてゆっくり数枚めくった。
テヒョンが書いてくれたサイン。
そして見慣れた字。。
『ヌナ、来てくれてありがとう。
長く待ってた。『
その下には小さなハートがひとつ。
主人公はその文をしばらく見つめていた。
指先で文字をそっとなぞってみた。
そのときだった。
ページをめくろうとしたら、
何かがもっと書かれていた。
サインの下のほうに
とても小さく書かれた数字たち。
主人公は目を細めた。
「……え?」
もう少し近くで見つめた。
間違いなく数字だった。
010-****-****
主人公は一瞬で固まった。
「…なに…」
もう一度見た。
見間違いじゃない。
確かに電話番号だった。
主人公の心臓が速く打ち始めた。
「まさか…」
今日テヒョンが言っていた言葉が頭の中をぐるぐる回った。
「遅かったね」
「来てくれたじゃん」
「ありがとう、来てくれて」
そして、
テヒョンが最後に呼んだ瞬間が思い浮かんだ。
『ヌナ。』
少し迷ってから言った言葉。
『次はあまり長くかからないで。』
あの言葉はただの挨拶だったのだろうか。
それともこの番号を残すために
自分を引き止めていたのだろうか。
主人公は番号をしばらく見つめてから
首を振った。
「違う。」
それでも手はもうスマホを探していた。
番号を保存するか。
しないか。
保存した瞬間、
本当にテヒョンとつながることになる。
もうファンとアイドルの関係ではない。
逆に保存しなければ..
今日のことをただの偶然だったと
知らんふりできる気もした。
自分の選択次第だ。
テヒョンと日常を交わす仲になるか、
それとも知らんふりしてファンとアイドルの関係のままでいるか。
