ジソク短編集
演技の終わり、恋の始まり

정화랑
2026.08.18閲覧数 5
私は彼の大げさなため息にからかうように目を細めたけど、それでも一歩近づいた。「わかった。その代わり、今回は私に大きな借りだよ、キム・ジソク。」
「オッケー!」ジソクはすぐに深いえくぼを見せて満面の笑みを浮かべた。それから自然に長くたくましい腕を私の肩に回し、私を自分の脇腹のほうへぴたりと引き寄せた。
同級生が近づいてくると、ジソクは一瞬で世界で一番優しい恋人に憑依した。頭を私のほうへ傾け、会話のあいだじゅう顔にまぶしい笑みを浮かべていた。完璧に本物に見せたかったのか、残った片方の手で私の指の間にきっちり指を絡め、ぎゅっと手を握ってきた。
彼の手のひらは信じられないくらい温かく、肩に回された腕の重みまでそのまま伝わってきて、心臓がどきどきし始めた。これはただの演技だと、心の中できっぱりと言い聞かせた。完全に見せかけのショーにすぎない。
「うわ、キム・ジソク。付き合ってる人いたの?知らなかった」と、同級生は私たちの密着した様子を見て、はっきり驚いた顔で言った。
「ああ、こっそり付き合ってたんだ」とジソクは、優しくて誇らしげな声でやわらかく答えた。そして私を見下ろす、その目つきが信じられないほど甘かった。「実は今夜、この場でこいつ以外の誰かと一緒にいるなんて、想像もできないんだ」
同級生はうなずいて、何句か社交辞令を交わすと、すぐ人混みの中へ消えていった。これで完全に一件落着だった。
「ほら、もう行ったよ」と、私は顔を上げて彼を見ながらささやいた。「もう手を離してもいいよ」
でもジソクは動かなかった。彼の腕は相変わらず私の肩をしっかり抱いたままで、指もまだ私の手と固く絡み合っていた。むしろ、私の手をほんの少しだけ強く握りしめたようにさえ感じた。パーティー会場の騒がしい音は一気に背景へ遠のき、ジソクが私をじっと見下ろしているのに気づいた。彼の顔からは、さっきまでの悪戯っぽい表情が完全に消えていた。
パーティー会場の薄暗い照明の下で、ジソクは息が詰まりそうなほど真剣で、まっすぐな目で私を見つめた。
「ジソク?」心臓が肋骨を叩くみたいに激しく鳴り始めて、私はそっと彼を呼んだ。
彼は小さく息の混じった笑いを漏らすと、私の手を握っていないほうの手でうなじをかいた。絡めた手は絶対に離すつもりがないみたいだった。熱っぽく上気した赤みが彼の首筋を伝って、頬を染めていた。
「実は……」ジソクは低く、真剣なささやきで口を開いた。もう一歩近づいたことで、私たちの距離は完全になくなり、彼の胸が規則正しく上下するのがそのまま伝わってきた。「おまえにこれを頼んだときは、ただの冗談だと思ってた。ちょっと手伝ってくれっていう軽い話だと思ってたんだ」
彼はそこで少し言葉を切り、親指で私の手の甲をやさしくなでた。緊張しているのがありありと見えた。
「でも、おまえを腕の中に引き寄せて抱いた瞬間……心臓が速くなりすぎて、おまえに聞こえるんじゃないかって怖くなった」と、ジソクは緊張を隠さず、ほてった笑みを浮かべて打ち明けた。そして揺るがない本心で、私の目をまっすぐ見つめた。「さっきのは、もう演技じゃない気がする。この手、ずっと離したくない。俺たち……これ、本当にやっちゃダメかな?」