翌日。
レオはいつもよりずっと早く目を覚ました。
昨夜ずっと寝つけなかった。
『明日話すよ。』
軽く口にした一言が、頭から離れなかった。
今日は必ず言わなければならなかった。
これ以上遅れたら後悔しそうだった。
練習が終わったあと、メンバーたちが一人、また一人と宿舎へ戻り、レオはサンウォンを引き止めた。
「サンウォン、昨日言ったこと覚えてる?」

サンウォンは静かにうなずいた。
「はい、話があるって言ってましたよね。」
「ちょっと一緒に屋上行かない?」
二人は会社のビルの屋上へ上がった。
初夏の風がゆっくり吹いてきて、しばらく誰も口を開けなかった。
最初に沈黙を破ったのはサンウォンだった。
「ヒョン、実は僕にもヒョンに話したいことがあるんです。」
レオは驚いた表情でサンウォンを見た。
「お前も?」
「はい。」
「じゃあ先に言え。」
サンウォンはしばらく床ばかり見つめてから、静かに口を開いた。
「ヒョン、前にずっと聞いてましたよね。僕の好きな人は誰なのか、どうしてそんなに長く好きなのか、どうしてまだ言わないのかって。」
レオは黙ってサンウォンの話を聞いていた。
「実は最初からヒョンに言ってたんです。ただ、ヒョンだけが気づけなかっただけで。」
その瞬間、心臓が大きく跳ねた。
サンウォンは小さく笑ったが、声は震えていた。
「ヒョンがつらそうなら真っ先に心配になったし、ヒョンが笑えば僕もうれしかったし、ヒョンがほかの人と仲良くしてるのを見ると妙に嫉妬したし、ヒョンが何気なく肩を叩いたり名前を呼んでくれるだけで、一日が幸せだったんです。」
レオは何も言えなかった。
サンウォンはゆっくり息を吐いた。
「僕の好きな人は、ヒョンです。」
短い一言だったが、何年も隠してきた気持ちがすべてこもっていた。
「振られても大丈夫です。ただ、もうヒョンには正直になりたかったんです。ずっと隠し続けてたら、一生後悔しそうで。」
サンウォンは無理に笑おうとしたが、その目は揺れていた。
その様子を見ていたレオが、ゆっくりサンウォンの前へ近づいた。
「サンウォン。」
「はい。」
「俺も一つ言っていい?」
サンウォンは静かにうなずいた。
レオは一度大きく息を吸い込んだ。
「最初は、お前の好きな人が誰なのか気になるだけだったのに、いつの間にか他のやつだったら嫌だって思うようになってた。」
サンウォンの目が少しずつ大きくなった。
「誰かがお前に近づくと妙に気になったし、お前が他の人と連絡してると理由もなく寂しかったし、一日中お前のことばかり考えてる自分が変だと思ってたけど、やっとわかった。」
レオは小さく笑った。
「それが、好きだってことなんだな。」
サンウォンの瞳が揺れた。

「ヒョン...」
「俺もお前のことが好きだ。」
短い告白だった。
けれど、その一言で十分だった。
サンウォンは信じられないという表情でレオを見つめた。
「本当ですか?」
レオはふっと笑いながら、サンウォンの額を指で軽く弾いた。
「俺がこういうことで冗談言う人間だと思うのか。」
サンウォンはついに笑い声をこぼした。
何年も一人で抱えていた気持ちが、一瞬で報われたような気分だった。
レオはそんなサンウォンを見つめてから、おそるおそる手を差し出した。
「もうヒョンじゃなくて... 彼氏として隣にいてもいいか?」
サンウォンは迷いなくその手を取った。
「その場所、ずっと待ってました。」
二人の手が触れ合った瞬間、初夏の風がもう一度、二人の間をすり抜けていった。
レオは手をぎゅっと握ったまま笑った。
「これからは一人で抱え込まずに、全部言え。」
「ヒョンもです。」
「約束。」
「約束。」
サンウォンは手を離さなかった。
レオも離すつもりはなかった。
親しい兄と弟だと思っていた時間は終わった。
これからは互いにとって一番大切な人として、一緒に歩いていく時間だった。
そうして長いあいだすれ違っていた二人の初恋は、
ついに同じ方向を向き始めた。
