「 おい、イ・ミンホ、起きろ 」
ぎゅっと閉じた目はびくともしなかった

ほのかに照らす明かりに肌がきらりと光った
肌には毛穴どころかブラックヘッドすら見えなかった
手入れひとつしていない肌が
いくつもの製品をべたべた塗る私の肌より
ずっとよく見えて、なんだか腹が立った
指で頬をぐいっと突くと はっと驚いて目を開けた
」 起きろってば 「
こっそり顔を触ったのを気づかれるかもしれないと思い
表情を隠して、のらりくらりとミンホを起こした
着いた学校は幸いにも出欠確認の前だった
教授が入ってくると
ざわついていた講義室の空気は 一瞬で静かになった
退屈な講義が始まってから
少数の学生は眠気に勝てず、こくりと頭を垂れ、
また何人かの学生はこっそりスマホをいじっていた
もちろん私とミンホも同じだった
こぼれそうになる笑いを必死でこらえながら口をきゅっと閉じては
ひそひそと雑談を続けた
「 今日の講義はここまでにします 」
教授はくすくす笑う声に気づかなかったのか
私たちを個別に呼び出すこともなく、何も言わず席を外した
外はひんやりした風が吹いていた
木の葉をそよがせるほどの弱い風だった
喫煙所に着いた私は
飲み会をどうやって抜けるか
忙しく頭を回しながら 火をつけた

「 そんなこと悩む暇があったら、タバコでも少しはやめろ 」
ミンホは風と一緒に散る煙に
鼻を押さえて言った
しかめっ面で顔の前を手であおいでいたミンホは
いっそ参加したほうが気が楽だと付け加えた
どうせ頭を絞ってみても
結局、参加する以外の方法は思いつかなかった
「 ほんと無理なんだけど.. 私が記憶飛ばしたら絶対面倒見てよ、お願い… 」
ミンホは飲み物をひと口飲みながら わざと答えをはぐらかした
禁煙を促すようなことばかり言って愚痴るだけで
それ以上は何も言わなかった
「 じゃーん~ 」
人であふれるざわめきの合間に
グラス同士がぶつかる音が響いた
焼酎を飲み込むと、苦い熱が喉を伝って落ちていった
席に着いてからまだ5分も経っていないのに
もう2杯目を空けていた
むかつく胃を押さえながら外へ向かった
ポケットの端に押し込んでいたタバコを取り出してくわえ
深く息を吸い込んだ
火をつけようとライターを取り出したが
ホイールが不調なのか、火花が散るだけで
いっこうに火がつかなかった

「 もうしんどいのかよ 」
店の前にしゃがみこんでいる私の前に
ライターを差し出すミンホが見えた
「 あ、ありがと.. 」
力の抜けた目を無理やり見開いて、タバコに火をつけた
その間にミンホは私の横にしゃがみ込み
大丈夫かと背中をやさしく叩いてくれた
