男はミンホに手首をつかまれて、ようやくその場を立ち去った
遅れて押し寄せる痛みに
しかめっ面で手首をもんだ
じんじんする肌の上に、赤く残った手形が見えた
ミンホは浅いため息をつき、唇を噛んだ
遠くで揉めている二つのシルエットが
頭の中をぐるぐる回っていた
怯えたテヒの顔を前にすると
何も言えなかった
ただ妙な感情が胸の内をかき乱すだけだった
「こうなると思ってた」
気の置けない仲だという言い訳をしてテヒのそばにいたかった
テヒを連れて家へ向かうあいだずっと
その小さな手をぎゅっと握って離さなかった
手の中にすっぽり収まる温かな肌が
かすかにもぞもぞと動いた
あの瞬間、テヒはどんな顔をしていたのだろう
紆余曲折の末にたどり着いた家はただ暗く、ひんやりしていた
「さっきのことは、ありがと.. 」
消え入りそうな声で言った
明らかに感謝の言葉なのに、なぜか苛立ちが込み上げた
「お前、どうしてそんなに無頓着なんだ?」
あんな暗い路地でイヤホンをつけて歩くやつがあるか?」
鋭い言葉が胸に深く刺さった
凍りついた表情の上に、熱い涙がぶわっとあふれた
必死に泣くのをこらえて唇をぎゅっと結んだが
やがて頬をつたって涙がぽろぽろ流れた

その姿に我に返って
すばやく首を振り、テヒを抱き寄せた
大きく叱られた子どもみたいに
すっかり怯えて萎縮しているテヒに
とげのある言葉を吐きつけたことを、あとになって後悔した
「ごめん、ごめん.. 」
胸元に顔をうずめて泣き出した
冷たかった胸が熱い涙に染まっていった
子どものようにわんわん泣くテヒの後頭部を撫でながら
泣き止むのを待っていてやった

「はあ.. 」
ミンホのため息が静寂を破った
「もう少し大丈夫か?」
黙ってうなずいた
小さな口からこぼれ落ちた息は
安堵のため息だったのか
それとも複雑な思いの混じったため息だったのか分からないほど薄くて深かった
腫れた目を、ついもう一度こすった
ミンホはきゅっと結んだ唇をすぐに噛み始めた
まるで何かを言おうとして喉につかえたみたいだった

「ごはん、食べてないだろ?」
「.. うん… 」
「タッパル頼んだから、あとで呼んだら出てきて」
ぶっきらぼうな一言を残して、その場を去った
ミンホは怒っているような顔をしていたけれど
なりに俺をなだめようと努力していることを俺は知っていた
私の好きなメニューを注文して
自分で感情を落ち着ける時間を与えること
不器用だけど、それがミンホなりのやり方だった
