名前のない関係

21











あの日以来、ミンホはアルバイトをやめた

学校には変わらず通っているけど
私と顔を合わせるたびに目をそらし、会話もしなかった

思った通り、ミンホは
私との接点をできるだけ避けていたし

気まずくなった雰囲気をほぐそうと個人的な話を振れば
きっぱりと切り上げることが多かった

慣れ親しんだ日常が崩れた

毎日のように一緒にご飯を食べておしゃべりしていた友達を、一夜にして失った

ひとりで道を歩いているときも、
あの子の好きなものを食べているときも
ずっとミンホのことを考えてしまった

いたずらっぽい悪ふざけも、ふざけた顔をしてしかめた表情も
二度と見られなかった









学食のデザートメニューにミンホの好きなプリンが出た

湯気の立つムール貝のスープを前にしても
プリンにしか目がいかなかった


「なんだよ、食べないの?」

「今日に限って食欲がなくて」


ご飯をひとくちだけ食べて席を立った


「お前、プリン好きだよな?」


友達のトレーの横にプリンをぽんと置いて
残飯処理機へ向かった

生ごみを捨てる桶の中に
トレーをひっくり返して残り物をどさっと全部流し込んだ









Gravatar


「いらっしゃいませ〜」


店内は客でごった返していた

いつも通りカウンターに集まる客を忙しくさばいた

いつもより多い客の数にへとへとになりながら 働いていたけど
やけに一日が長く感じられた

煙草が吸いたくなった

震える手で
一日中レジを叩き続けた

1時間くらいたったと思ってスマホを開いてみると
たったの20分しか経っていなかった

ホールのテーブルを拭いて、厨房をきれいに掃除して戻ってきても
10分も経っていなかった

3時間という時間がこんなに長かったのか

いっそ時間を確認せずに仕事をしたほうが
ましだろうと思った

そうしてスマホをポケットにねじ込み 仕事にだけ没頭していると
あっという間に日が暮れた

満員だったホールも客がひとり、またひとりと帰っていき
だんだん空席が増えていった

夜9時半

閉店作業をすべて終えて床にしゃがみ込み
退勤時間だけを待った

ホールとトイレを掃いて拭いて 丁寧に締め作業を終えたのに
その時間が20分も経っていなかったということだった


Gravatar


一日中しわ寄せられていた表情が少しだけほどけた

高校の同級生のヘミニと
じゃれ合いながら連絡を取り合っているころ

新しい吹き出しがいくつもチャット欄に上がってきた


Gravatar


返信の代わりに電話をかけた

呼び出し音は長く続かず、スマホの向こうから
ヘミニの声が聞こえた


「テヒ〜、どこ? まだ店?」

「うん ㅠ もうすぐ上がりなんだけど、まだ少し残ってる
久しぶりにみんなに会ったの?」

「うん〜 ここにミンジとスヨンとジェユン、ミンホがいるけど来る?」


思わず表情がこわばった


「いや、すごく疲れてるから家に着いたらすぐ寝ようかと〜」










Lee Knowのファンに人気のストーリー