1年間、私の妻になってください。
EP.10

쿠닉
2026.07.28閲覧数 59
ソンホとヨジュの間には、ほんの小さな変化が生まれた。
以前は食事の時間でも必要なことだけを交わしていたのに、今では短いあいさつくらいは自然に交わすようになっていた。
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朝7時。
食卓。
ソンホは新聞を読んでいて、ヨジュはトーストをひとかじりした。
ヨジュ「...社長。」
ソンホ「はい。」
ヨジュ「今日、遅いですか?」
ソンホ「会議が少し長引きそうです。」
ヨジュ「...じゃあ、夕食は?」
ソンホは新聞から目を離して答えた。
ソンホ「外で済ませます。」
ヨジュ「じゃあ、私も待ちません。」
ソンホ「...今までは待っていたのですか?」
ヨジュは言葉に詰まった。
ヨジュ「あ... いいえ。」
「...」
「ただ、一緒に食べたほうがおいしいから。」
その瞬間、ソンホの手がほんの少し止まった。
だが彼は何事もなかったような顔で、また新聞をめくった。
ソンホ「...わかりました。」
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午後。
ヨジュは新しいデザインプロジェクトの契約のため、ある会社を訪れた。
結婚したからといって、ずっとソンホに頼るつもりはなかった。
自分の力で働いて、お金も稼ぎたかった。
会議室。
プロジェクト担当のハン・ドンミンが明るく笑って手を差し出した。
ドンミン「キム・ヨジュさんでお間違いないですか?」
ヨジュ「はい、そうです。」
ドンミン「ポートフォリオ、よく拝見しました。」
ヨジュ「ありがとうございます。」
ドンミンはヨジュと同年代で、話し方も気さくな人だった。
会議は予想以上にうまく進んだ。
ドンミン「一緒に仕事したら楽しそうですね。」
ヨジュも微笑んだ。
ヨジュ「こちらこそ、よろしくお願いします。」
その時だった。
会議室のガラス窓の向こうを、見覚えのある顔が一つ通り過ぎた。
パク・ソンホ。
SHグループとの業務ミーティングのため、同じビルに来ていたのだ。
歩みを進めていたソンホは、偶然会議室の中を見た。
明るく笑うヨジュ。
そしてその向かい側で、親しげに話す男。
二人は握手まで交わしていた。
「...」
ソンホの足が止まった。
妙に、視線が離れなかった。
キム室長「社長?」
ソンホ「...」
キム室長「会議開始5分前です。」
ソンホは答えなかった。
会議室の中ではドンミンが何かを話し、ヨジュが笑ってうなずいていた。
その姿を見た瞬間。
胸の片隅が妙に息苦しくなった。
'...なんで。'
'気になる。'
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会議が終わったあと。
エレベーターの前。
ヨジュはエレベーターを待っていて、ソンホを見つけた。
ヨジュ「...社長?」
ソンホはいつも通りの顔をしていた。
ソンホ「終わりましたか?」
ヨジュ「はい、遅れるって言ってたのに、私と同じくらいに終わったんですね。」
ソンホ「...ご一緒しましょう。」
二人は同じエレベーターに乗り込んだ。
狭い空間。
だが、空気は妙なくらい静かだった。
ヨジュが先に口を開いた。
ヨジュ「社長も、ここに仕事で来たんですか?」
ソンホ「はい。」
「...」
「さっき一緒にいた方。」
ヨジュは笑って答えた。
「ああ、プロジェクト担当者です。」
ソンホ「...」
「思ったよりいい方でした。」
いい方。
その短い言葉に、ソンホの視線がごくわずかに揺れた。
エレベーターの扉が開くまで、彼は何も言わなかった。
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家に帰った夜。
いつも通り食卓を挟んで向かい合って座った。
だが今日は、妙に会話が途切れた。
箸の音だけが聞こえた。
結局、ヨジュが先に笑って言った。
ヨジュ「...今日はどうしてこんなに静かなんですか?」
ソンホは水をひと口飲んだ。
ソンホ「...もともと静かです。」
ヨジュ「違います。」
「...」
「今日はもっと静かです。」
しばしの沈黙。
そしてソンホは、何でもないふりで尋ねた。
ソンホ「...プロジェクト担当者。」
ヨジュ「はい?」
ソンホ「よく会わなければなりませんか?」
ヨジュはうなずいた。
ヨジュ「プロジェクトが終わるまでは。」
ソンホ「...」
ヨジュ「どうしてですか?」
ソンホは平然とした顔で答えた。
「いえ。」
だが、その夜。
自分の部屋に入ったソンホは、ネクタイをほどきながら鏡の前に立った。
鏡の中の自分が、見知らぬもののようだった。
'なんで。'
'あの男が気になるんだ。'
ヨジュが誰に会おうと自由だった。
そもそも契約結婚だった。
口出しする権利もなかった。
それなのに。
会議室で明るく笑っていた彼女の顔と、その隣で笑っていた男の姿が、何度も頭に浮かんだ。
彼はベッドに座り、静かにため息をついた。
「...これが。」
初めてだった。
誰かを他の人に奪われそうだと感じるのは。
そして彼は、まだ知らなかった。
その感情の名前が嫉妬だということを。