1年間、私の妻になってください。

EP.7

結婚して一週間.

新婚の家での生活にも少しずつ慣れてきていた.

朝になると先に起きたソンホが簡単な朝食を用意し、ヨジュは出勤の支度をしながら食卓を挟んで向かい合って座った.

会話はあまりなかった.

ソンホ「トーストをどうぞ。」

ヨジュ「...ありがとうございます。」

ソンホ「コーヒーは温かいものを用意しました。」

ヨジュ「...はい。」

短い会話.

でも最初みたいに息が詰まるほどぎこちなくはなかった.


---

その日の午後.

SHグループ代表室.

キム室長が予定表を持って入ってきた.

キム室長「代表。」

ソンホ「おっしゃってください。」

「今週の金曜日、SHグループ創立50周年記念行事があります。」

「...」

「会長が奥様とご一緒に出席するようにとおっしゃいました。」

ソンホは予定表を見つめて、小さくため息をついた.

ついに来るべきものが来た.

これからは人前で「本物の夫婦」のように振る舞わなければならなかった.


---

その日の夜.

ソンホはいつもより少し早く退勤した.

リビングではヨジュがソファに座って、デザイン公募の資料を見ていた.

ヨジュ「え? 今日は早いですね。」

ソンホ「お話ししたいことがあります。」

ヨジュはノートパソコンを閉じた.

ソンホは向かいに座り、落ち着いて言った.

ソンホ「明後日の夜。」

ヨジュ「はい。」

ソンホ「SHグループの創立記念行事があります。」

「...」

「ご一緒に出席していただく必要があります。」

予想はしていたが、いざ聞くと緊張する言葉だった.

ヨジュ「...私が行っても大丈夫でしょうか?」

ソンホ「行っていただかなければなりません。」

ヨジュ「...」

ソンホ「すべての系列会社の代表たちと記者たちが来ます。」

ヨジュ「...記者もですか?」

ソンホ「はい。」

その瞬間、ヨジュの肩がわずかに固くなった.

ソンホはそんな変化を見逃さなかった.

しばらく彼女を見ていた彼は、静かに言葉を続けた.

ソンホ「...心配しなくても大丈夫です。」

「...」

「私がそばにいます。」

その言葉はとても淡々としていたが、不思議とヨジュの緊張を少し和らげた.


---

行事の前日.

キム室長が新婚の家を訪ねてきた.

両手には何着ものドレスとタキシードが抱えられていた.

キム室長「ヨジュさん、スタイリストの方々がご用意しました。」

ヨジュ「...これ全部ですか?」

キム室長「はい。」

ドレスだけで五着.

靴も何足もあった.

アクセサリーまで用意されていた.

ヨジュはぼんやりした表情でドレスたちを見つめた.

「これ... すごく高そうなんですけど...」

キム室長「代表が直接お選びになりました。」

ヨジュ「...え?」

その瞬間、ヨジュはソンホを振り返った.

ソンホは何事もないように新聞をめくっていた.

ヨジュ「...代表がですか?」

ソンホ「行事に合う服が必要ですから。」

「...」

「似合うと思って選びました。」

あまりにも平然と言うものだから、かえってヨジュのほうが動揺した.

'私に似合うと思って... 選んだって?'


---

行事当日.

ホテルの宴会場.

数多くの財界関係者と記者たちが集まっていた.

黒いセダンがゆっくりと入口の前に止まった.

運転手がドアを開けた.

先に降りたソンホは反対側へ回り、自らドアを開けてやった.

ソンホ「...気をつけてください。」

ヨジュは彼の手を見つめた.

少し迷ってから手を上げた.

指先が触れた瞬間.

ソンホは自然に彼女を支えた.

ヨジュ「ありがとうございます。」

二人は並んでレッドカーペットを歩いた.

その瞬間.

カシャッ!

カシャッ!

何十台ものカメラのフラッシュが一斉に弾けた.

「代表! こちらを向いてください!」

「奥様もご一緒に!」

「お二人、手を一度つないでください!」

記者たちの叫びが押し寄せた.

ヨジュは本能的に体がこわばった.

そんな彼女を見たソンホは、ほんの小さな声で言った.

ソンホ「...失礼します。」

次の瞬間.

ソンホはヨジュの手を慎重に包み込むように握った.

指を絡めはしなかった.

ただやさしく手を握ってやるだけだった.

だが、その短い接触だけでもヨジュの心臓は大きく高鳴り始めた.

'...手.'

'握られた.'

彼女は必死に平静を装おうとしたが、耳の先はいつの間にか赤く染まっていた.

ソンホも表向きは何事もない顔だった.

しかし指先に伝わるヨジュの震えがそのまま感じられた.

彼は思わず、手にほんの少し力を込めた.

'緊張してるんだな.'

そう思っただけなのに.

不思議と自分の心臓の鼓動もいつもより少し速くなっていた.

記者たちのフラッシュが鳴り続けた.

二人は一言もなく会場の中へ歩いて入った.

契約書には「必要な状況では夫婦のように振る舞う」という条項があった.

確かに今は、その条項を守っているだけだった.

それでも.

ヨジュは不思議と手を離したくなかったし.

ソンホも会場の中へ入るまで、彼女の手を離せなかった.

二人はまだ気づいていなかった.

契約から始まった最初の手つなぎが、互いの心にほんの小さな変化を残しているという事実を。

ソンホのファンに人気のストーリー