中間試験が終わった日だった。
試験が終わった解放感のせいか、学科のグループチャットは朝から騒がしかった。
今日の夜、終わったあと打ち上げㄱㄱ
試験終わったんだから酒は飲まなきゃ。
全員参加。
私はグループチャットを見下ろしていて、ふとウォンビンのことを思い出した。
試験が終わったら家と図書館を行ったり来たりするだけっぽい子。
少し迷ってから個人チャットを開いた。
試験終わったよね?
はい。
今日の夜、学科の子たちと打ち上げするんだけど、一緒に来る?
今度は返事が少し遅かった。
...
私が行っても大丈夫でしょうか?
私は笑った。
どうして?
私、まだ...
親しい人がいないので。
変に迷惑かなって。
画面を見ていると、なんだか気にかかった。
だから来るんだよ。
私もいるし。
私が全部紹介してあげる。
隣にずっといるから心配しないで。
しばらく返事がなかった。
それから、慎重な文がひとつ届いた。
...
じゃあ行きます。
*
居酒屋の前。
約束の時間より十分早く着いたのに、ウォンビンはもう来ていた。
フード付きパーカーにジーンズ。
周りをきょろきょろ見回していた。
「早いね。」
「...ヌナ。」
「緊張してる?」
「...少し。」
「少し?」
「...かなり。」
私は笑いをこらえきれなかった。
「今日は誰も食べたりしないよ。」
「...それは分かってるけど。」
「...?」
「...知らない人が多くて。」
本気でかなり緊張している顔だった。
「行こう。」
私が先にドアを開けた。
「みんな。」
友達が一人、また一人と顔を上げた。
「来たね。」
「お、パク・ウォンビン。」
ウォンビンはすぐに腰を折った。
「...こんにちは。」
「こんにちは。」
「座って。」
私はわざと自分の隣を空けておいた。
「ここに座って。」
「...はい。」
ウォンビンは私の隣に座ったとたん、少し楽になった顔をした。
それを見て、なんだか誇らしかった。
『かなり上達したな。』
昔なら、こんな席には来もしなかっただろうに。
*
最初の三十分は予想どおりだった。
友達が話しかければ短く答えて。
笑えばつられて笑って。
お酒も一杯をゆっくり飲んだ。
「ウォンビン。」
ミンソクがグラスを上げた。
「俺たち、まだちゃんと挨拶もできてないよな?」
「...はい。」
「気楽にして。」
「...はい。」
「...」
「...」
また終わり。
一瞬静まり返って、それからみんなが笑った。
「こいつ、ほんと可愛いな。」
「緊張してるのか?」
ウォンビンは耳だけ真っ赤にしてうなずいた。
「はい。」
その一言で場が和んだ。
「おい、正直でいいな。」
「だよな。」
「思ったより悪くないじゃん?」
友達も一人、また一人とウォンビンに気楽に話しかけ始めた。
私はなんだか嬉しかった。
*
酒が二、三杯入ると、私も少しテンションが上がった。
「ミンソク。」
「何。」
「おつまみ、そっちにちょうだい。」
「自分で取れよ。」
「ケチ。」
腕を伸ばそうとしたら、ミンソクが笑いながら皿を私の前に押してくれた。
「ありがと。」
「肉おごれよ。」
「やだ。」
いつもみたいにじゃれ合って笑って騒いだ。
ウォンビンは黙ってその様子を見ていた。
『二人、もともとあんなに仲いいのか。』
ミンソクはずっとヨジュとふざけていた。
肩をぽんと叩いて。
ビールグラスをぶつけて。
一緒に笑って。
大したことのない光景だった。
なのに、おかしかった。
何度も目が行った。
ミンソクが笑うたび。
ヨジュが笑うたび。
なんだか気になった。
『なんであんなにくっついてるんだ。』
『元からあれくらい仲いいのか。』
つい、ビールをもう一口飲んだ。
*
打ち上げが終わって、居酒屋の外に出た。
友達が一人、また一人とタクシーを捕まえに行った。
私はウォンビンの隣へ歩いていった。
「今日はどうだった?」
「...楽しかったです。」
「でしょ?」
「思ったより。」
「みんな大丈夫だった?」
「...はい。」
しばらく黙って歩いていたウォンビンが口を開いた。
「...ヌナ。」
「ん?」
「...ミンソク先輩と。」
「うん。」
「...もともと仲いいんですか?」
私は何も考えずに答えた。
「うん。」
「同期だし。」
「一年生のときからいつも一緒にいたよ。」
「...あ。」
ウォンビンはそれ以上聞かなかった。
でも、なぜか。
胸の片側が息苦しかった。
*
[ウォンビン視点]
家に帰った後。
ベッドに横になっても、ずっと同じ場面が浮かんでいた。
ミンソク先輩が笑っていた顔。
ヌナが一緒に笑っていた顔。
二人が自然にじゃれ合っていた様子。
『なんで。』
ウォンビンは天井を見上げた。
『なんでずっと気になるんだ。』
仲のいい先輩後輩なだけなのに。
元から仲のいい同期だっていうのに。
それが当たり前なのに。
なんで。
やたら気分が悪いんだろう。
しばらく寝返りを打っていたウォンビンが額を押さえた。
「...まさか。」
その瞬間、すべてがつながった。
ヌナが他の男といると、やたら気になっていた理由。
他の男の話が出るだけで気分が変になっていた理由。
ヌナが笑うたび、何度も目で追っていた理由。
「...俺。」
小さくつぶやいた声が、部屋に散った。
「...ヌナのこと、好きなんだ。」
