
愛の捕食者
あの日以来、私の居場所は知り合いのジムだけだった。
「ご飯は食べたか。」
「あまり考えていません。」
「なぜ。」
「……行くあてがここしかなかったんです。」
「知ってる、私もだ。」
そうして『あの件』から離れて三年が過ぎた。寝て、運動して過ごすのが私の日常だった。
「鶏むね肉を置いておいた。おかげで食費はかからないけど……こんなのを望んでたわけじゃない。」
「……」
運動を終えてシャワーを浴びて出ると、テーブルの上にはおじさんがあらかじめ用意しておいた食事が置かれていた。
「……それでも食べなきゃだよね、こうして用意してくれたんだし。」
私は食べ物を口にして眠りについた。
-
またあの日の冬だった。
冬は冷たかった。ひどく寒く、寂しかった。街には一片の雪も降らず、ただ容赦ない風だけが顔を打って通り過ぎていった。すべてがあの日と同じだった。
街の景色も、骨身にしみる寒さも、そのとき感じた感情さえも。
もう過ぎたことだと分かっていた。けれど夢は、相変わらず私をあの日へ連れ戻した。まるであの日に永遠に閉じ込められてしまった人のように。私はまた同じ瞬間と向き合っていた。
「……」
またあの日だ。よりによって。

-
「はっ……! はっ……」
私はすぐさまトイレへ駆け込んだ。それから少し前に食べたものを、すべて吐き戻した。
「なんで……なんで忘れようとするたび、またこうなるの。」
組織に身を置きながら、自分で決めた鉄則があった。
一つ、すべての関係は徹底的にビジネスのままにしておくこと。
二つ、誰にも心を渡さないこと。
三つ、他人の危険まで背負おうとしないこと。
たとえそれが仲間を見捨てることになっても。
それが私がこの世界で生き残るために守ってきた原則だった。
「…」
あれほど警戒していた線を壊したのも私で、最後にその代償を払うことになったのも私だったのだから。
「……はあ。」
私は一体何を信じていたのだろう。
「なんでこんなに弱ってるんだ、キム・ヨジュ。これが本当のお前だったのか?」
「まだ若かったじゃないか。お前以外に、あの場所を誰が守る。」
「…」
「兄さんもそれを全部分かった上で、その場に上げたんだ。」
「……おじさんは。組織で暮らしてたとき、どんな感じだったんですか?」
「おじさんじゃないって言っただろ。ついて来い。」
-

- 屋上 -
「何を言おうとしてるんですか?」
「俺があの世界にいた頃はな。」
おじさんはしばらく言葉を切ると、ゆっくり口を開いた。
-
「兄貴! 来てたんですか!」
「おお、久しぶりやな。」
人を信じるなんて、いちばん愚かなことだった。昨日まで兄貴だ、弟だと言って同じ釜の飯を食っていた連中も、自分の命が少しでも危うくなれば後ろも振り返らずに背を向ける場所だったのだから。
「今、何をしてるんですか?」
「腹減ったって言ってただろ。飯を食いに行くんだ。」
「それを聞いてたんですか……!?」
「ああ、行こう。」
そうはいっても、まったく人を信じずに生きるわけにもいかない。結局、組織だって人を動かすものなのだから。
-
「だから俺はいつも線を引いてきた。どれだけ近い奴でも自分の手札は全部見せなかったし、どれだけ長く見てきた奴でも、疑う余地を一つは残しておいた。」
「…」
「お前の父親もそうだった。人をそばに置く術は知っていても、むやみに心を許す人ではなかった。」
「…」
おじさんの視線が私へ向いた。
「お前はあいつを信じてたんだろ、7年も。」
「……どうして分かったんですか。私、言ってないのに。」
「お前が食って寝てる間、俺が黙ってるとでも思ったか。」
「私の素行調査でもしたんですか?」
「甥っ子の心配で眠れるわけないだろ〜」
私は短くため息をついた。それから、広い街を見つめた。
「これだけは覚えておけ。」
「何をですか?」
「あいつがお前を裏切ったからって、お前が過ごした7年まで全部が嘘になるわけじゃない。」
彼はしばらく黙ってから、言葉を足した。
「お前があいつを信じたのはお前の本心だし、その信頼を踏みにじったのはあいつの選択だ。その二つを混同するな。」
「……かっこつけ。」
「んん……つけてるんじゃない、かっこいいんだ。」
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「ありがとう、おじさん。」
「もっと早くそう呼べばよかったのに。さっさと大きくなれ。」
「はい。」
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(次話はジョングクの視点で展開されます!)
