[태山憑依文] 3つ目の結末

第11話。思ったより近い場所

昨日の昼は三角キンパを食べながら好きだと言って、退勤途中のエレベーターでももう一度確かめさせてくれた。

それなのに今朝、ドンミンはまた元の距離に戻っていた。

もう我慢できなかった。

 

昼休み、廊下でドンミンをつかまえた。

 

「…ちょっと話しましょう。」

 

空いている会議室へ連れ込んだ。

ドンミンはドアの前に立ったまま視線をそらした。

 

「…なんで、しょっちゅう避けるんですか。」

 

「…避けてるわけじゃないです。」

「ウンハクさんとは何でもないって言ったじゃないですか。私の気持ちも伝えましたし。それでもずっとこうじゃないですか。理由は何なんです。」

 

ドンミンは何も言えず、唇だけを噛んだ。その沈黙が長引くほど、腹が立つより先に、つらくなった。

 

「…私のこと、嫌いですか?」

「いいえ。」

 

答えがあまりに早く出た。

その速さのほうが、かえって本音だった。

 

「じゃあ、なんで。」

 

ドンミンはしばらくずっと床だけを見て、それからようやく口を開いた。

 

「…変に聞こえるのは分かってるんですけど。」

「話してみてください。」

 

「…うまく説明できないんですけど、そっちを見ると、たまに何かがかすめるんです。場面みたいなものなんですけど、何なのかは正確には分からなくて。だけど不思議と、その中に、うれしかった感情と痛かった感情が一緒に入ってるんです。確かに好きだった気もするのに、同時にそれが一番つらかった気もして。怖くて、つい距離を取ってしまってました。」

 

心臓がどくんと落ちた。

まさか、という考えがよぎった。

あの人も何かを経験しているのだろうか。

 

「…その場面って、具体的にはどんなものですか?」

「…そこまではよく分かりません。ただの感覚です。でも最近そっちを見るとずっとそうで、私もなんでこうなるのか分からなくて。」

 

ドンミンは自分でも戸惑った顔をした。

言うつもりだった以上に口にしてしまったと気づいたみたいだった。

 

「…いえ、ただ。変な言い方になりました。気にしないでください。」

「…それでも話してください。変でも大丈夫です。」

「…今は、私も何が正しいのか分からないんです。まとまったら言います。」

 

もっと問い詰めたかったが、ドンミンが先にドアを開けて出ていってしまった。

ひとり残された会議室で、さっき聞いた言葉を何度も反芻した。

 

ドンミンが何かを抱えているのではという疑いは、三度目の人生が始まったあの日からあった。

でも、「場面がかすめる」とあそこまで直接聞いたのは初めてだった。

自分が三度目の人生を生きていることを、もしかしたらドンミンも何らかの形で感じているのかもしれない、そんな考えが初めて浮かんだ。

 

 

 

*

 

 

 

午後、資料室でウナクと向かい合って座った。今日は先延ばしにできなかった。

 

「…考えは、もう全部まとまりました?」

 

ウナクは少し息を整えた。

 

「…はい。ヨジュさんを手伝うことにしました。これ以上引き延ばしたら、俺もソンホ室長のほうに引っぱられそうで。」

 

その一言で、昨日までの迷いが終わったのだと分かった。

 

「…じゃあ、昨日言ってたこと、分かりました?」

 

ウナクが手帳を取り出して開いた。

 

「はい。承認ルートを追ってみたんですけど、ソンホ室長で終わりじゃないです。一段上に上がります、BND役員級の線で。名前まではまだ見えてないんですけど、役職とルートは確かです。」

 

思ったより深かった。ソンホひとりで終わる話じゃないと、こうして目で確かめたのは初めてだった。

 

「…名前は、いつごろ出てきそうですか?」

「それはもっと掘らないと分かりません。でも時間はあまりないです。精算日まで、あとちょうど2週間です。」

 

2週間。

思ったより短かった。

二度目の人生のときも、このあたりで結局何もできないままその日を迎えた。

 

「私はソニルキャピタル側の資金の流れでパターンを探してみます。昔も似たやり方で金が抜かれたことがあるのか、それが全部ソンホ室長の線で終わるのか。」

「俺は引き続き承認ルートを洗います。誰の机まで行くのか、最後まで追ってみます。危険ですけど、今やらないともっと遅れます。」

「気をつけてください。目立つ動きはしないで。」

「そちらも。あの人、まだついてきてます?」

「…分かりません。ここ数日は見ていないんですけど、だからこそ余計に不安です。」

 

ウナクは手帳を閉じながら一言付け足した。

 

「2週間で見つからなかったら、その先はどうなるんですか?」

 

答える言葉がなかった。

二度の生では、どちらもその先は死だった。

今回は違うと信じているだけで、確信はなかった。

 

「…見つけないと。絶対に。」

 

2週間という数字を何度も心の中で繰り返した。

二度目の人生のときは、こんなふうに日を数えたことはなかった。

今回は数えていること自体が、何かが変わった証拠だった。

 

 

 

*

 

 

 

夜、家に戻って机の前に座った。

ソニルキャピタルの資料をもう一度広げた。

数字の間を追う指が、何度も止まった。

何度もドンミンのあの言葉が浮かんだ。

 

場面がかすめるという言葉。

うれしかった感情と痛かった感情が一緒にあるという言葉。

 

その話を聞いたとき、真っ先に浮かんだのは恐怖ではなく、うれしさだった。

ひとりじゃないのかもしれない、といううれしさ。

でもすぐに、別の不安があとから続いた。

今はドンミンもそれが何なのか分からないと言っていたが、その感覚がいつかはっきりする瞬間が来るかもしれなかった。

 

そのとき何かを知ったドンミンがひとりで動き始めれば、前みたいにまた危ない場所に立たされるかもしれない。

 

そんなことはできなかった。

ドンミンが何を知るにしても、その前に自分が先に終わらせなければならなかった。

 

そうしてこそ今回の人生では、あの人を救えるはずだった。

 

窓を閉めて、資料をもう一度見直した。

2週間。正解を見つける時間は、思ったより多くなかった。

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