[태山憑依文] 3つ目の結末

第5話。止めても無駄な

「一人で出歩くな」と言われた翌日から、ドンミンは退勤時間になるたびに事務所の前に立っていた。

最初は偶然を装っていた。2日目からは、もう露骨に待っていた。

 

「…なんでここにいるんです。」

 

「通りがかっただけですよ。」

「昨日もそうおっしゃってましたよね。」

「…今日も通り道なだけでして。」

 

嘘はどんどん手抜きになっていった。

来ないでくれと言ってもその時だけだった。迷惑だとまで言ったのに、翌日また同じ場所に立っていた。

 

「…私、本当に大丈夫ですってば。」

「…知ってます。単に俺が大丈夫じゃないだけです。」

 

その言葉には、もう何も言い返せなかった。

路地での一件以来、一人で歩くのが怖くなったのも事実で、結局は何も言わず、数歩先を歩いてもらうだけに落ち着いた。

 

 

 

*

 

 

 

数日後、ドンミンがソンイルキャピタルの話をまた持ち出した。

 

「…ソンイルキャピタルを追うの、もうやめるって言ってましたよね。」

「…やめてません。」

 

正直に答えた。嘘をつく気力もなかった。

ドンミンがため息をつき、声を落とした。

 

「ソンホ室長がソンイルキャピタルでマネーロンダリングしてること、私たちも知ってます。

でも、その上に誰がいるのかはまだ突き止められていません。この件はむやみに触るべきじゃないです。」

 

そこまで言ってくれるとは思っていなかった。

 

「…なんで私に、そんな話をするんです。」

「…一人でやみくもに探って本当に危なくなるよりは、何に気をつけるべきか知っておいたほうがいいでしょう。」

 

言っていることは理性的だったが、わざわざ自分の会社を巻き込んでまでそんなことを言う理由はなかった。

むやみに意味を持たせないほうがいいと思って、ただ元から面倒見のいい人なんだろうと受け流そうとした。

 

「…もしかして、私のせいで会社で困ることになりませんか?」

 

「…そういうのは自分で何とかします。そっちの心配はしなくていいです。」

 

きっぱりした口調だった。そのきっぱりさをどこに向けているのかは、考えたくなかった。

もう遅くなる前に、きっぱり切らなきゃいけないと思った。

 

 

 

*

 

 

 

翌日、ドンミンがまた事務所の前に立っているのを見て、先に近づいた。

 

「…もう来ないでください。迷惑だと何度も申し上げましたよね。」

 

わざと冷たく言った。ドンミンは少しのあいだ黙って私を見て、それから分かったとだけ短く答えた。

 

その日は本当に、帰り道に誰もいなかった。路地も、大通りも静かだった。これでよかったんだと自分に言い聞かせた。

 

 

 

*

 

 

 

ところが翌朝、事務所の郵便受けに見覚えのない封筒が一つ差し込まれていた。

 

差出人も宛先も書かれていない封筒だった。

中には、説明もなく写真が一枚入っていた。

 

数日前、あの路地での件があった夜、コンビニを出て大通りまで一緒に歩いた後ろ姿だった。

並んで歩く二人がはっきり写っていた。

 

手が震えた。

これを見せるべきか迷っていると、ちょうど通りかかったドンミンと目が合った。

私の手にある封筒を見て、彼が先に近づいてきた。

 

写真を受け取ったドンミンの顔が一瞬で強張った。しばらく見つめてから、低くつぶやいた。

 

「…俺たち二人とも写ってますね。」

「…そうなんです。誰が、どうしてこんなものを……。」

「ソンホ側でしょう。俺と関わってるって、もう知ってるってことです。」

 

声が固くなっていた。

来るなと何度も言っていた相手なのに、肝心のこんな写真を撮られるきっかけを作ったのは、自分自身だった。

 

 

 

*

 

 

 

その写真の封筒の件から数日後、ドンミンがソンイルキャピタル関係の書類を一つ、黙って私の席に置いていった。

今さら知らないふりをさせても意味がないと判断したのだろう。

 

ソンホ側にすでに二人の関係を疑われている以上、私を何も知らないまま動かすほうがむしろ危険だという計算らしかった。

ページごとに蛍光ペンで印がつけられていた。怪しい口座、その横に小さく書かれたメモ。

 

警告なのか何なのかも曖昧だった。

この程度の情報をそのまま渡すつもりなら、最初からやめろと言う理由もなかったはずなのに。

 

返そうとして何度か手に取っては下ろしたが、結局引き出しにしまった。今さらこれを受け取っていないことにはできなかった。

 

「彼の件には関わらない」という誓いは、そういうふうに崩れたわけでも、守られたわけでもなく、ただ曖昧に宙ぶらりんのままだった。

 

家に帰って、手首の時計をいじった。ガラスに入ったひびの上に、蛍光ペンの跡が重なって見える気がした。

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