私たちは線を越えないことにした
第102話。休戦

sophie97
2026.08.05閲覧数 35
「う... 頭が割れそう...」
窓から差し込む日差しで目を覚ました。
頭は割れそうで、体も鉛みたいに重かった。
ベッドに座って昨夜のことを
じっくり思い返した。
「起きましたか?
胃のほうは大丈夫ですか?」
「あ... フンジさん。
私、昨日お酒をたくさん飲みましたか?」
彼はぶっきらぼうに言いながらも
私の手にカップを一つ握らせた。
ひと口飲んでみると蜂蜜水だった。
「どうしてそれを私に聞くんですか?
一緒に飲んだミゲルに聞いてください。」
『あ... そうだ。
仕事帰りのミゲルに会って一緒にお酒を飲んだんだ。』
私は慌ててフンジさんについて部屋を出た。
彼の顔色をうかがいながら
後ろをちょこちょこついて回った。
「フンジさん...」
「私、昨日お酒を飲んで何か失礼なことをしましたか?」
「失礼なこと?
道で笑って、ふらふらして、
僕に向かって叫んで、
それから...
二度と料理するなって言って、見事に散っていきました。」
「私がですか?
フンジさんに向かって叫んだんですか?
料理の話は何ですか?」
「私が煮た豆もやしスープは二度と食べたくないって、
これからは料理するなって言ったの、覚えてませんか?
もしかして...
覚えてないふりしてるんですか?」
「フンジさん... もしかして、私をからかうために作った話じゃないんですか?」
「ちょっ... ちょっと...
私の料理への自信を容赦なく踏みにじっておいて...
なにを...
作り話だって?」
『酒の席の本音ってやつか...
私、酔って本音を漏らしちゃったんだ...』
「フンジさん...
私が昨夜何を話したとしても、
それは本心じゃありません。
本当です。
もし傷つけるようなことを言っていたら...
今回だけは許してください。お願いします...」
「普段から僕の料理をまずいって
思ってたんじゃないんですか?」
「いいえ。絶対に!
私はフンジさんに
料理を専属で任せようかとまで思っていました。」
「本当に?
いや... でもそうなるとチョンアさんの料理の腕が
上がらないから...」
彼の口元が上がり始めた。
「まあ... フンジさんの言うことを聞くと、それもまた一理ある。」
「わあ... でもこれ、全部何ですか?」
食卓の上には
ごはんパックと、3分スープ、海苔、エゴマの葉の漬物まで、
フンジさんが韓国から持ってきた食べ物で
一式が並んでいた。
「韓国から持ってきたもので適当に用意してみました。
早く洗って来てください。」
「わかりました。フンジさん!
早く洗って来て、一緒に朝ごはん食べましょう。」
洗面所に行って鏡を見ると
メイクが落ちていた。
昨夜、化粧を落として寝た記憶はないのに
不思議だった。
さっぱりした気分で洗面所を出て
フンジさんに尋ねた。
「フンジさん、私、昨日顔を洗って寝ましたか?
覚えてないんですけど、メイクが全部落ちてたんです。」
「僕がクレンジングシートで拭いてあげました。
そのまま寝たら吹き出物ができるかもしれないし、肌によくないでしょう。」
「あ... そうだったんだ!」
しばらく彼を見つめていた私は、
両手で彼の頬を包んでキスをした。
私たちは、いつ喧嘩したっけというように、
久しぶりの韓国料理で気分のいい朝ごはんを食べた。
「急にどうして気が変わったんですか?」 <103話より>