私たちは線を越えないことにした

116話。選手フンジ


丘を下りて家の近くに着いたときには

もう太陽はすっかり昇った後だった。





私たちは家の近くのレストランで

早朝ごはんを食べた。





「私たち二人とも、今すごくやつれて見えるって分かってますか?

 フンジさんは汗まみれで、

 私は疲れ切っていて……

 本当に見ていられない。」






「朝ごはん食べて帰って、少し寝ましょう。

 本当にすごく疲れた。

 夜通しジョンアさんを探し回ってたら……ㅎ」




「私たちは……

 前世でどんな縁だったからこんなふうに出会ったんでしょう?

 私は前世って本当にある気がします。

 あの時出会った人たちとは別の関係になって

 今会っているみたいに感じるんです。」




私はしばらく、さっきの夜明けの海を見ながら

考えていたことを思い出した。




「フンジさんは来世ではどんな人になりたいですか?」





「急にですか?」





「海を見下ろしながら……

 来世でジュリアンに会ったら

 その時は……ぜひいい恋人になってあげたいなと

 思ったんです。」





「それでまた俺に会ったらどうするつもりで

 そんなことを言うんですか?」






「どうせ前世は覚えていないじゃないですか。

 そういうものじゃないですか?」






「それは分からないけど……

 来世でも俺と会うことにしましょう。」






「二回連続でですか?

 私たち、ほかの人にも会ったりして、ちょっとそういうのも……

 一回会えば十分でしょ……何で二回も……」





「え〜? 約束守らないつもりですか?

 ほら……ほら……

 人ってトイレに入る時と出る時でこんなに違うんだ!

 うちのウィッシュリストに“嘘をつかないこと”

 あります、ないですか?」





「嘘をついたって言うんですか? 私が今?」





「まったく……

 さっきは俺がいないとだめだって言ってたのに。

 今さら来世では会わないでおこうなんて言って。」





フンジさんの冗談に付き合っているうちに、

さっきまで胸を押しつぶしていた悲しみも

しばらく忘れられた。






私は彼の笑みを見ていて

急に気になることが浮かんだ。





「フンジさんは恋愛、何回くらいしたことあります?」






「え……そんなこと聞かないべきじゃないですか?」






「こういう時を見ると、相手の心を動かす言葉を

 すごく手際よく言うんですよ。

 こうしちゃだめだって思いながらも、怪しくて。

 一体どれだけたくさんの女の人と会ってきたらああなるんだろう……」


 


急に昔の記憶がひとつ思い出された。




「昔、私たちの授業の序盤に

 携帯にフンジさんの名前を何て

 保存したか聞いた時も、

 ジョンアさんって呼んじゃだめかって言った時も……

 今考えると、すごく遊び人っぽいじゃないですか!」





彼はこの世で一番悔しそうな顔をした。





「俺を今、遊び人扱いしてるんですか?」





「いや……そういうんじゃなくて、ただ聞いてるだけで。

 どれだけたくさんの女の人と会ってきたら

 こんなに恋愛が上手いのかって」





私は彼の悔しそうな顔が面白かった。




「実は……俺、恋愛にはちょっと生まれつき向いてる部分があるんです。

 相手の気持ちをよく察して、

 合わせてあげられるっていうか。

 俺の営業秘密を今日はこうして明かしちゃいましたね……ㅎ」





「それは演技をする時にも長所ですね。

 相手の俳優をちゃんと気遣ってあげられるじゃないですか。」





この言葉を言い終えて、私は冷たい表情で言った。




「でも、そういうのをあまりにも乱用すると

 本当に遊び人になりますよ。

 肝に銘じてください!」





私たちは朝食を終えると、

家に帰ってシャワーを浴びた途端、そのまま眠ってしまった。

日が沈んで家の中が薄暗くなった頃に目が覚めた。





心も体も疲れていたせいか

フンジさんは私が起きたことにも気づかず

ぐっすり眠っていた。





私はそっと寝室のドアを閉めて出てきて

何をしようか迷った。





何もしていないと

またジュリアンのことを考えてしまいそうで

何かしなきゃと思った。





それからふと、

さっきフンジさんが言った言葉を思い出した。



旅行。



考えてみれば、韓国でキャンプに行ったのを除けば

私たちが一緒に行く初めての旅行だ。

どこがいいか探しながら

私はいつの間にか胸が高鳴っていた。






「こんなに意見が合わなくて、どうやって一緒に旅行するんですか?」

<117話の中で>



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