私たちは線を越えないことにした

119話。家出したフンジ



カフェで仕事を終えて、

家に帰ってきた。





「まだ来てない。
 
 いったいどこへ行って、丸一日外にいるんだろう?」





私はそのときになって、じわじわ心配し始めた。





「本当にすごく怒ってるのかな?」





バッグとラップトップを下ろして

彼を探しに出た。





『このあたりの地理もまだよく分からないのに…

 どこへ行けば一日中いるんだろう?』





外には出てきたけれど

どこへ行って探せばいいのか途方に暮れた。





彼が行きそうな場所はどこだろう

じっくり考えてみた。





すると、ふと浮かぶ場所があった。





『もしかして…

 あのとき私を迎えに来てくれた、あの丘に登ったのかな…』





私は確信は持てなかったけれど

ひとまずそこを先に確かめてみることにした。





気持ちが急いているせいで

昨夜ゆっくり登ったあの場所が、かなり遠く感じられた。






気づけば、頂上が近づき

息が喉まで上がってきた。





ほとんど登りきった頃、

彼の後ろ姿が見えた。





『あ…よかった…

 それでも、知っている場所にいた…』






「フンジさん!!!」





私は大きな声で叫んだ。

彼はびっくりして振り向いた。

顔には満面の笑みを浮かべていた。





「一日中ここにいたんですか?」





「どうしてそんなに遅いんですか?

 ずっと待ってました…」






「えっ?

 私が探しに来るのを待ってたんですか?」





「ああやって出ていけば、すぐついて来ると思ってたんですけど…

 本当に私のこと愛してるんですか?」

 カフェで仕事して全部終わらせてから来たんですよね?」





「はぁ…フンジさん…

 今、私と駆け引きしてるんですか?」

 ただ少し拗ねてるだけだと思ってました。

 来ないなら、そのまま下りてくればいいのに。

 私が来るまで待つつもりだったんですか?」





「ただ下りようかとも思ったんですけど…

 実は、ジョンアさんが本当に迎えに来てくれるのか

 試してみたかった気持ちもあったんです。

 朝は一人の時間も必要だって言うし…

 私のこと本当に愛してるのかなって…」





「本当にこういう時って…」

 
『男は大きくなっても子どもだっていうけど…

 まさにその通りね。』




私はどうしてもその考えを

口に出せなかった。





「私はフンジさんをすごく愛してます。

 疑わないでください。

 2年以上忘れようと努力したのに

 結局だめだったじゃないですか。

 それを見れば分かりませんか?

 誰よりも愛してます。本当にたくさん。」





フンジさんは感動した顔で

私をぎゅっと抱きしめた。





本当に呆れるし、

あっけに取られるし、

おかしいけれど
 
それでも彼が私の前にいるという事実に

安心した。





「このままだと、すぐ日が暮れますよ。

 早く下りましょう、私たち。」




私は感動に浸るフンジさんを現実に引き戻した。




「何もない場所でひとりで時間をつぶしてたら

 退屈で死にそうでした。」




私は彼の言葉に吹き出した。




「誰もここに無理やりいろなんて言ってないのに…

 どうして自分から苦労するんですか?」





「あ…お腹も空いた。

 今日のメニューは何ですか、シェフさん?」





「うーん…今日のメインメニューは

 一日中頑張ったうちのフンジさんのための、

 マッシュポテトと焼きアスパラガスを添えた

 サーモンステーキです。

 お気に召しましたか?」





「はい!! すごく気に入りました!!

 ワインを一杯飲んでもいいですか?」




「もちろんです!! 2杯でも大丈夫です。」




「ありがとうございます!!」





「あれ? なんだかこの場所、思い出したかも…」

 <120話より>



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