私たちは線を越えないことにした

124話。ネックレス



彼はポケットから小さな箱を取り出した。




手のひらに乗せた箱を

私に差し出した。




「これがあのネックレスですか?

 私に電話に出させないほど夢中にさせた?




「あら〜

 そんなふうに言われたら、申し訳なくて

 あげられないじゃないですか。」





「わかりました。

 そのことは忘れて、まず箱を開けてみます。」





私は小さな箱のふたを開けた。

ハート形のネックレスが

きらきらと輝いていた。





「すごく可愛くてきれい。

 どうやってこんなにきれいなものを選んだんですか?」





「このネックレスには特別なところがあるんです。」





「特別なところ?
 
 何ですか?」





「ハートの裏側を見てください。」





「裏側? 何て書いてあるんです。

 スペイン語みたいだけど…

 これ、どういう意味なんですか?」





ハートの裏側には、

小さな文字でこう書かれていた。



 photo




「店員さんが言うには

'永遠にあなたを愛してる'

 という意味だそうです。」




私は目を丸くして

フンジさんを見つめた。




「こんな特別なネックレスを…

 どうやって見つけたんですか?」




彼は私の手にあるネックレスを

首にかけてくれた。





「これが僕の目にぱっと留まったんです。

 いい選択でしょ?」




「すごくきれい!! ありがとう。

 一生首から外さないからね。」





「一生ですか?」





「ちょっと大げさかな?」





「いいえ。正確に言い直してください。

 一生外さないって言ったんですよね?」





「ああ…お腹すいた…

 今夜は外食にしませんか?

 私、もうへとへとで

 今夜は料理できそうにありません。」





「いや…なんで僕の質問に答えないんですか?」





「夕飯、何食べようかな…?」





彼は晩じゅう答えろと追いかけてきて

私は聞こえないふりをして話をそらした。





その日の夕方、

外食して帰る途中だった。




静かな路地、

コオロギの鳴き声が聞こえた。




フンジさんが口を開いた。




「さっき… ジョンアさんが僕のほうを振り向いて

 しゃがみ込んでわんわん泣き始めたとき…」





「…」





「誰かが僕をそんなふうに心配してくれるなんて…

 胸がいっぱいになりました。」





「私も…誰かのことをそんなふうに

 心配したことはなかった気がします。」





「それでも…

 まだ僕の質問には答えられませんか?」





「気持ちはよくわかるんですけど…

 現実で私がちゃんと受け止められるか

 自信が…ないんです。」





「僕がそばにいても、自信がないんですか?」





「私ひとりで受け止めなきゃいけない部分も

あるでしょうから。」





「わかりました…待ちます。」




家に帰って

出版社から来たメールを確認した。




複数の翻訳者と一緒に作業することになる

プロジェクトに関する内容だった。




このプロジェクトは、話が出たときから

欲しかった仕事だった。



そして、プロジェクトに参加するには

韓国に戻らなければならない。




『もう本当に韓国に帰らなきゃいけない

 タイミングが来たんだ…』




その夜、

あれこれ考えて眠れなかった。



それから、うとうと眠りに落ちた。




「だめ!!!! こんなの違う!!!!」




私は叫んで目を覚ました。


フンジさんが驚いて目を覚ました。




「どうしたんですか? 夢を見ましたか?」




「そんなの絶対に許せない!!」  <125話の中で>



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