私たちは線を越えないことにした

67話。指輪の意味



7時を少し過ぎて、

3人の客が到着した。




マリアはデザートに食べるくるみパイを自分で焼いて持ってきた

おそらくここでは

ちゃんとした韓国料理を作るのは難しいだろうと思って

デザートを用意してきたのではないかと思った。




アントニオの手にはワインのボトルが1本握られていた。





よその国でこんなふうに客を招いて

食事をすることになるなんて夢にも思わなかった。

もしかするとこの3家族を知り合えたことが

スペインで得た一番大きな財産なのかもしれない。





十分ではない材料に不慣れな手つきで

慌てて作ったプルコギだったけれど、

みんなおいしそうに食べてくれた。





彼らは卵焼きをまるでプリンみたいだと不思議がり、

私は海苔をお菓子みたいにご飯と別に食べる彼らが不思議だった。




彼らとの縁だけはスペインを離れたあとも

長く続いてほしいと思った。




軽率な感情で始まって

お互い遠ざかることだけは避けたかった。




マリアとアントニオもやはり

ミゲルと私の年の差を知ったら

手放しでは喜ばないだろうと思った。

 



彼らはまるで前世で韓国人だったのかと思うほど

ご飯やラーメンを食べながらもおいしいと

惜しまず褒めてくれた。




食事を終えて、パイとお茶を飲みながら

マリアとアントニオのラブストーリーを聞くことになった。




話を聞きながら新たに知った事実は

マリアがアントニオより

8歳も年上だったことだ。




私はアントニオに家族の反対はなかったのかと聞いた。




アントニオはこの家族の癖のような

肩をすくめながら言った。





「2人の気持ちが一番大事なんじゃないですか?

 もちろんもう一度慎重に考えてみろとは言われましたけど、

 家族に紹介した時には

 僕の気持ちはもう固まっていました」




私は改めてアントニオが本当にすごく見えた。

彼は年の差も、看病のために自分の夢を諦めたことも

ただ人生のひとつの過程であり、

自分の選択として受け入れていた。





ワインを1杯ずつ分けて飲むころ、

ミゲルが両親に今日プロポーズをしたものの

断られた話を切り出した。




私はあまりにも突然の話に凍りついてしまった。




マリアとアントニオは、隣の家の息子の話でも

聞くかのようにげらげら笑った。

 


「それでミゲル、お前はどうするつもりなんだ?」




アントニオが息子にワインを注ぎながら聞いた。




「わかりません。

 僕を嫌っているわけではなさそうなので

 受け入れてくれると思っていたんですけど..
 
 まったく予想していなかったことで

 次にどうすればいいのかわかりません」




ミゲルの言葉に続いて

マリアが質問を続けた。




「その女性になぜ断られたのかは聞いたの?

 もう一度挑戦できるか見てみないと」




「いいえ。

 あまりにも動揺していて何も言えませんでした」




私はここで何を言えばいいのかわからず

そわそわした。




マリアが私のほうを見ながら言った。





「ソフィに何か助言できることはありますか?」





『この家の人たちには年齢なんて

 断る理由にはならない。

 この人たちにとっては年齢より気持ちが先だ。』




「たぶん...

 私が思うに、ミゲルみたいな素敵な男性を断ったというのは...

 ミゲルが嫌いだとか、何か問題があるからではなく...

 前の関係が完全には終わっていないからかも

 しれません?」




私の言葉を聞いたミゲルの目が2倍ほど大きくなった。

どうやら彼が予想していた理由に

元彼がいるとは

思っていなかったようだった。





「あ...そういうことかもしれませんね。

 その考えは思いつきませんでした。

 それならもう少し待ってみましょう...」




『え!! ちがう..この流れが...』




私は急いで一言付け加えた。



「恋人より友達として一生を通して

 見ていたい人もいますよね」




ミゲルが応じた。




「僕の母と父は

 一生の友人であり恋人じゃないですか。

 ソフィも見ればわかるように...」





「もちろん例外はあります」




私はこの言葉以外にほかに思い浮かばなかった。




私が水のグラスを持って食卓を離れるとき、

マリアがミゲルを見ながら

指の指輪を指さすのを見た。




たぶん...

マリアは初めて長く話をした日、

私の指の指輪を見て結婚したのかと尋ね、

以前の彼氏にもらったものだと答えたのを

覚えているようだった。





その日の夕食の席を締めくくり、

3家族は1人ずつ

私に心からのお礼を伝え、

最後にミゲルは温かく抱きしめて去っていった。




おそらく彼は私を理解し、

励ます意味で抱きしめてくれたのではないだろうか...





「記念に旅行でもしてみようかと思います」 <68話の中で>


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