私たちは線を越えないことにした
第68話。運命のような出会い

sophie97
2026.07.20閲覧数 16
スペインに来てから6か月が少し過ぎて、
ついに韓国から持ってきた
最初の小説の翻訳作業が終わった。
この作品は私にとって少し特別だった。
毎日ミゲルのカフェに出勤しながら、
新しい空気と新しい環境で
初めて仕上げた作品だ。
だから、何か特別にお祝いしたかった。
一番最初にミゲルにこの知らせを伝えた。
「今日は特別にお祝いパーティーでもしないとですね!!」
ミゲルはまるで自分のことのように喜んでくれた。
「あ..いいえ...
そんな負担をかけたくて言ったんじゃないです。」
「負担だなんて? かえって寂しいです。」
「それなら、私たち二人で夕食でも一緒にどうですか?
私が奢ります!!
おいしいものを食べながらお祝いしましょう。
ミゲルの友だちを招待してもいいですよ。」
「いいえ。今回は私たち二人でお祝いしましょう。」
その日の夜、
ミゲルはいつもより少し遠い場所まで
車を走らせた。
彼が一番好きな場所だと言っていた。
久しぶりに毎日見ていた町を離れると
より特別だった。
ステーキとワイン。
そして、私を心から祝ってくれる友だちまで...
長く記憶に残る夕食だった。
「また次の仕事を始めるんですか?」
「いいえ..少し休んでからやりたいです。
計画していることもありますし。
記念に旅行でもしてみようかと思ってます。」
「どこへ?」
「うーん...フランスに行ってみようかと思うんですけど、どうですか?」
「一緒に行こうってことですか?」
「いえ..違います..そうじゃなくて、
フランスはどうかなって聞いたんです。
前に行ったことがあるんですけど、エッフェル塔以外は
思い出せなくて。
あ!! ルーヴル美術館。そこも印象に残ってます。」
「フランスには子どもの頃からよく行っていたので
ソフィが好きそうな場所を
何か所かおすすめしてあげます。」
「ミゲル...ちょっと気になってることがあって...
聞いてもいいですか?」
私はいつもミゲルに聞いてみたかった
ことが一つあった。
「何ですか?」
「ミゲルはずっとこうしてカフェをしながら
この町にいるんですか?
アメリカで勉強したって話も聞いたので
きっと叶えたい夢があるんじゃないかって、
ここにだけ留まるには少しもったいないような
気がして。」
ミゲルは私の質問を聞いて、
目を輝かせながらしばらく私を見つめた。
私が何か失礼でもしたのか
そっと緊張した。
「ソフィの夢は何ですか?」
彼はしばらくして口を開いた。
「私は...その夢がぼんやりしてしまってここに来たんです。
もう一度夢を見て、計画して、叶えたくて....」
「あ...そういうことだったんですね。
夢を探しに来たんですね。
それで、また見つかりましたか?」
「まだよくわかりません..
今はただ、何も考えずに
この時間を楽しみたいです。」
「私は...それが私の夢なんです。
毎日を楽しむこと...
大それた目標や夢とか、そういうことじゃなくて、
今の時間を幸せだと感じること。」
今度は私がミゲルをしばらく見つめた。
'そんなのが夢なの?...毎日を楽しむことが?'
「ソフィは、僕が何か大きな夢を持って
もっと広い場所で仕事をするのがかっこいいと
思ってるんでしょう?」
「いいえ..実はそうです...」
「誰かがそういう夢を持たないと
世界は発展して変わっていきませんよね。
そうして僕みたいな人が
一日を夢みたいに楽しめるんです。」
ミゲルは明るく笑いながら話した。
私は彼を完全に理解することはできなかったけれど、
彼の夢は尊重できた。
'すごく立派な計画じゃなくても、夢になれるんだ...'
私はその日以来、
10歳も年下のミゲルが、もう子どもっぽくは見えなかった。
ミゲルから情報を聞いて、
一生懸命ネットで検索しながら
一週間のフランス旅行を計画した。
そして、ついにフランスのパリに着いた日。
大学生の頃にバックパック旅行で来て以来
またパリに来ることになるなんて...
初めてパリに来た時
エッフェル塔の前で夜景を見ようと、
日が沈むまで待ちくたびれて
芝生の上に寝転んで眠ってしまった記憶がよみがえった。
あの時は10kgのバックパックを
うんうん言いながら背負って歩いていたのに。
またここに来ることがあれば、
キャリーケースを引いて贅沢に旅行しようと思っていたのに、
もしかしたらその夢はもう叶えていたのかもしれない。
空港からまずホテルへ向かった。
チェックインするためにフロントデスクへ
歩いているところだった。
誰かが私を呼んだ。
「先生!」
突然の韓国語の呼びかけに
驚いて横を見た。
フンジさんのマネージャーだった。
「マネージャーさん?」
私は驚きすぎて口がふさがらなかった。
「マネージャーさんがどうしてここに...
いや、なんでここにいらっしゃるんですか?」
「フンジの広告撮影で来ました。
昨日到着しました。」
先生はどうしてここに?」
「えっ...フンジさんがなんでそこから出てくるの..? <69話の中で>