私たちは線を越えないことにした

73話。ボーナスみたいな一日



実はパリに来てフンジさんにまた会って

頭の中があまりにも混乱していた。



マリアとアントニオ、ミゲル、

そして、今日聞いた彼の言葉まで...

自分が正しいと信じて下した選択が、本当に正しかったのか。

ただの私の傲慢ではなかったのか...





すっかりしょんぼりしている私を見ると、

彼は静かに散歩を提案した。





「フンジさん、明日撮影あるじゃないですか。

 もう帰るので、休んでください。」





「私は今日がここでの最後の夜なんです。

 そのまま行くんですか?」





「そうしないと明日の撮影に支障が出るじゃないですか?」





「私の撮影をいつも私より気にかけてるって、知ってますか?

 前の広告撮影のときも

 家でゆっくり寝てから行けるようにしてくれたのに...

 どうしてだと思いますか?」





「どうしてって? そりゃもちろん...仕事だからですよ..」






「だから...

 なんで私の仕事をそんなに気にするんですか?」






「....」






「私は答えを知ってるんですけど...知りたいですか?」





「その答えって何ですか?」





「じゃあ、どこにいるのか教えてください。」





「答えはただの口実で、

 私がどこにいるのか突き止めようとしてるんでしょう。」





「実はさっきトイレにいたとき、

 パスポートを見ようかとも考えました。

 でも、あなたが直接話してくれたらいいと思って。

 私にそこまでさせないでほしいです。」





「本当に今日はコナンみたいですね...パスポートまで考えたなんて...」





そこまでしてでも私のいる場所を探そうとする

彼が...ありがたかった。




「スペインにいます。

 そこでマリア、アントニオ、ミゲルまで

 本当にいい人たちに出会いました。

 韓国を離れてスペインに来たことを...

 後悔していません。」





「それならよかったです。

 連絡先もないまま

 そんなふうに一人で他の国にいると思うと、

 毎日が薄氷を踏むようだって。」





彼の心からの心配に、私は今にも涙がこぼれそうになった。





「それで...

 出版社に連絡して、メールアドレスまで調べたんです。

 嘘はつきましたけど...

 それくらいしなきゃいけなかったんです。」





「あんなふうに何も言わずに去った私が...

 憎くなかったですか?」





「憎いというより、恨めしい気持ちになりました。

 最初は...

 それでも会いたかったし、何度も考えました。

 だから理解しようと努力したんです。

 あなたがどうしてそうしたのか...」





「私は実は....私に向けられた刃みたいな言葉たち...

 それが本心じゃないって分かっていても...とても痛かったんです」





「...そうだったんだ...

 ごめんなさい。私が悪かったです。」





「ねえ、もう答えを教えてください。

 私がどうしてこうなるんですか?」





「ばかだな...自分がどうしてそうなるのかも分からなくて...

 正解は...あなたを愛してるからですよ。

 だから...

愛しい人、もうじらさないでください。」





あの日パリで彼にまた会えたのは、

私の人生でいちばん大きな幸運だった。





『あと一日だけいてもだめですか?』


と喉元まで出かかった言葉を

ようやく飲み込んだ。





「こういうときミゲルならどうしただろう...」




「ミゲルって誰ですか?」




「スペインで出会った友人なんですけど...

 彼なら今の私に何て言っただろうと思って。」





「ミゲルじゃなくて、私が言ってあげます。

 ちょっと待って...ミゲル? 男の名前じゃないですか?」





「嫉妬の化身じゃないけど、また始まった...

 もうやめて、そろそろ私たち挨拶しましょう。

 今日会えなかったらなかった一日でしょう。

 だから...

 私たち二人にとっては、おまけみたいな一日でした...」




 「また会うまで...」 <74話より>


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