私たちは線を越えないことにした

80話。招かれざる客



ジュリアンがラーメンの丼を洗っている間

私は一緒に飲むお茶をいれようとお湯を沸かしては

彼に尋ねた。




「ジュリアンはビール、飲む?

この前飲み残した缶ビールが

冷蔵庫にあるはずです。」




「わっ、いいですね。

金曜の夜はお茶よりビールでしょう!!」




「ビールを飲みながら音楽を聴く?

映画を見る?

それとも本を読みますか?」




いつものように、平凡で穏やかな金曜の夜だった。




「私は…ビールを飲みながら映画を見たいです。

明日、近場にどこか行きませんか?」





「じゃあ、ジュリが見たい映画を探してください。

私は近くで行けそうな場所を探してみます。」





彼はビールを飲みながら映画を選んでいて、

私はお茶を飲みながら

近くで行けそうな場所を検索していた。




そんな中、

電話が鳴った。




画面にはフンジさんの番号が出ていた。





『なんで…また…』





怒るつもりで通話ボタンを押した。





「電話しないでって言ったじゃないですか。

なんなんですか、ほんと。」





「……俺…具合が悪い…」





「え? 具合が悪いんですか?

どこが痛いんですか?

大丈夫ですか?」





「体が熱い…」





「熱は測りましたか? 薬は飲みましたか?

それなのに…なんで私に電話するんですか。」





「…声が聞きたくて…」





「マネージャーさんかご両親に早く電話してください。

いや…私がしてみます。

とにかく電話を切ってください、フンジさん。」





「会いたいです…」





「わかりました。わかったから、早く電話を切ってください。

私がテヒョンさんにでも電話しますから。」




急いで慌ただしく電話を切ると

キム代表に電話した。




「もしもし?

ジンア、こんな時間にどうした?」





「テヒョンさん。

フンジさんが具合悪いって…

早く家に行ってあげて。

熱がかなりあるみたい。急いで連れて病院へ行って。

電話を切ってすぐ行って。いいね?」





「え? フンジが具合悪いって?

ああ、わかった!!

でもスペインにいるお前に電話したのか?

いや…俺とマネージャーがいるのに、なんでお前に…

まったく…俺は…」





「そんな話してる時間ないから、早く行って。」





「わかった…俺が何とかするから、心配するな。」





「病院に行ったら私に連絡ください。」





「ああ、わかった。

先に切るよ。」





電話を切っても不安で

じっと座っていられなかった。





ジュリアンは家の中を行ったり来たりする私を

黙って見ていた。





「大丈夫ですよね?

一晩中かなり熱があったみたいで…

早く救急室にでも行くべきだったのに…

なんでこんなに鈍いの、ほんと。」





「…ふう…」





彼は短いため息をつくと、

静かに立ち上がって

玄関のほうへ歩いていった。





「ジュリ、どこへ行くんですか?」





「今の俺は、ここにいるべきじゃない気がして。」





「ホテルに戻るんですか?」





「今そんな状態で映画なんて見られる?

旅行もきつそうだし。」





「あ…ごめんなさい…

でも…今すごく不安で…

一緒にいてくれませんか?」





「ジョンアさん…

俺、あまり嫉妬しないほうだけど…

それでも…

元彼の心配まで

一緒にするほどじゃないです。」





彼は玄関のほうへ

また体を向けて出ていった。





私は急いで玄関の前に立ち

彼を止めた。





「わかりました。

一緒に心配してほしいなんて言いません。

ただ…もう少しだけいてください。

それもだめですか?」





ジュリアンは私を抱きしめた。




「あなたをあの人の影から抜け出させて…

そうできると思っていたのに…

だんだん自信がなくなっていく。」




その夜、

彼は結局ホテルへ戻った。

 



「ご両親に会うことは…

また今度にしましょう。私たち…」 <第81話より>

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