僕たちは一線を越えないことにした(シーズン2)
14. あなたはまだ私の星

sophie97
2026.08.28閲覧数 59
今週はジソンさんが先に退勤して
私は残って仕事をしているうちに
毎日9時を過ぎてから退勤していた。
「はあ……今日はもう切り上げて帰らないと。」
作業していたファイルを保存して
ラップトップを閉じようとしたら、
スペインで撮った写真が
入っているフォルダが目に入った。
少し迷ってフォルダを開いた。
笑って、ふざけて、
何でもないことで幸せだった時間。
フォルダを開いて写真を見ているうちに
あの頃の時間がふいに恋しくなった。
『あの頃の私たちは
本当に幸せだったんだな……』
韓国に来てフンジさんと仲が悪かったとき
そんなことを考えたことがあった。
『もし……
あそこで1年をきっちり過ごして来ていたら
今の私たちはどんな姿だっただろう……
別れずに、今でも付き合っていたかな……
お互いをもう少し理解して
もう少し気を遣える関係になれていたんじゃないかな?』
行ったことのない道だから
そんな名残惜しさが、いつも心の片隅に残っていた。
私がフンジさんの映画出演と
私の翻訳の仕事のために欲を出してしまって、
それが結局
私たちの関係を壊したんじゃないかという
考えにしばらく苦しんだこともあった。
苦い気持ちのままラップトップを閉じると
携帯からメッセージ通知の音がした。
[우리... 星を見に行かない?]
フンジさんからのメッセージだった。
『星? 急に何のこと?』
もう一度メッセージを読んだ。
『あ……もしかして、あそこのことかな?』
以前、フンジさんに
スペインへ行くと伝えるために
彼を連れて行った場所。
私と彼にとって
いい思い出として残っている
場所ではなかった。
私はメッセージを見て
どう返事をすればいいのか少し悩んでいた。
そのとき携帯のベルが鳴った。
「もしもし?」
「ジョンアさん、私のメッセージ見ました?」
「はい……」
「でも、どうして……返事がないんですか?」
「どう返事をしたらいいか
考えていました。」
「それは……どう断るか
悩んでいたってことですか?」
『勘が本当に鋭いんだから……』
「えっと……その……」
「今、カフェですよね?」
「はい……まだカフェにいます。」
「どうしてこんなに遅くまでいたんですか?」
「脚色作業のスケジュールがちょっときつくて。」
「今日やることは全部終わったんですか?」
「うん。今日やることは全部終えて
もう帰ろうとしていたところでした。」
「じゃあ……俺がそっちに迎えに行きます。
少しだけそこで待っていてください。いいですね?」
「今?」
「明日は午後から予定があって……
何しようかと思って……
あのとき星を見た場所を思い出したんです。」
「星を見に今から行こうってことですか?」
「もう向きを変えたので……
15分くらいで着きます。」
彼は本当に10分後にカフェの前に着いた。
私は成り行きで彼の車に乗り込み、
またあの場所へ向かっていた。
窓の外を見慣れた景色が流れていった。
すると、あの日の記憶が
少しずつよみがえり始めた。
「フンジさん……どうしてあそこに……」
私は結局こらえきれずに尋ねた。
「あまりいい思い出の場所じゃないのに
どうして行きたいのかって?」
「……」
「だから行くんです。」
「どういう意味ですか?」
「あの美しい場所を
僕が怒って、ジョンアさんを置いていった記憶として
思い出したくないんです。
いつかもう一度行かなきゃって思っていました。
私たちが付き合っていたときに、もう一度行くべきだったのに……」
私は運転している彼を見つめた。
「そんなに優しく見つめてるわけじゃないですよね?」
私は彼の冗談にふっと笑った。
そこは相変わらず、きらめく星々で美しかった。
着いてフンジさんと一緒に歩きながら
心が不思議だった。
胸が熱くなったり、
ときめいたり……
まるであの頃に戻ったみたいで、
新しい時間をまた始めるみたいでもあった。
しばらく互いに無言で歩いていると
彼が先に口を開いた。
「ジョンアさん……」
少し言葉を切った彼が
足を止めて私を見た。
「私たち……やり直しましょう。」
思いがけない彼の言葉に
私は何も言えなかった。
ただ立ち止まって
彼を見つめているだけだった。
「実は……
まだあなたと別れられていないんです。
私の気持ちは、まだ進行中なんです。
それを今になってやっと気づきました。」
<シーズン1. 53話 アイロニー> を参照してください😉
「私の心が……どうしちゃったんだろう……?」 <15話より>