僕たちは一線を越えないことにした(シーズン2)

第59話。ジョンアのお見合い



私は久しぶりに姉に電話をかけた。




フンジさんが姉のことを気にしていたから、

一度会わせてみようかと思ったのだ。




何度もためらってから

結局通話ボタンを押した。




「姉さん。」





「どうしたの? あなたのほうから電話なんて。」




私はしばらく唇を噛んだ。



どう切り出せばいいのか

頭の中で何度も文を直してみたけれど、

いざ姉の声を聞くと

うまく口が開かなかった。





「あのね...」






「ん?」






「今付き合ってる人がいるんだけど...」






「へえ。でも、それがどうしたの?」






「その人が姉さんに会ってみたいって言ってて。

 一度会ってみない?」






「あなたが珍しく彼氏を紹介してくれるなんて。

 いつも結婚はしないって言って、

 今まで彼氏を一度も見せてくれなかったじゃない。

 今付き合ってる人と結婚するつもりなの?」






「それはよく分からないけど...」




私は少し言葉を選んでから口を開いた。




「なんだかんだで、私はその人の姉さんと兄さんに

 みんな会うことになってしまって。」






「え? もう?」


姉の声がひとつ高くなった。





「いや。誰なの?」


少し間を置いた姉が

笑って言った。




「誰がうちのジョンアをこんなふうに変えたの?」





「いや... 変わったわけじゃなくて...

 たまたまそうなっただけだって。」





「とにかく、これは本当に大ニュースね!」



姉の声がいっそう大きくなった。





「でも... 姉さんが聞いたら驚くような人なんだ...」





「なんで? どんな人なら聞いて驚くの?」




私は少し迷ってから

慎重に言った。






「それが... パク・フンジだよ。」






「パク・フンジって、なんで驚くの?

 俳優と名前が同じだって、そんなに驚くこと?」





「それが... 名前が同じなだけじゃなくて...」




私は短く息を整えて言った。



「俳優のパク・フンジだよ。」





「え? 彼氏が誰だって?」




姉はしばらく間を置いてから言った。





「昼寝でもしたの?

 パク・フンジと恋愛する夢でも見たの?

 まだ寝ぼけてるの?」





「いや... 本当に。

 何が昼寝だよ。」






「いや... いったい何を言ってるの?」



姉の声がだんだん大きくなった。





「あなたが俳優のパク・フンジと今付き合ってるってこと?」





「うん....」


しばらく沈黙が流れた。





「どうやって知り合ったの?」





「スヨンが、事務所の知り合いの先輩を通して

 英会話の授業を紹介してくれたの。

 それで英語を教えるために会ったんだ。」





「そんなふうに出会って付き合ったの?

 あの子、あなたよりずっと年下じゃない?」





「うん...」






「本気なの?

 真剣に言ってるの?」






「うん...」


姉はしばらく言葉が続かなかったが

やがてため息をついた。





「ジョンア、

 お母さんとお父さんが甘やかすから

 すっかり分別をなくして生きてるわね、ほんとに。

 あなた今いくつなのに、若い子と

 しかも芸能人と付き合ってるのよ、今!」






「お母さんもお父さんも結婚しろなんて言わないのに

 なんで姉さんが大騒ぎなの?」






「お二人が放っておくから、私が出るしかないでしょ。

 くだらないこと言ってないで、お見合いしてきなさい。

 義兄さんの後輩がこの前、彼女と別れたんだって。

 だから義兄さんがあなたを紹介しようって言ってたの。

 日程と場所を決めて知らせるから

 文句言わずに行ってお見合いしてきなさい。」






「姉さん。私は自分の彼氏を紹介しようと思って電話したんだよ。

 急に何のお見合いなの?」





「あなた、フンジだの何だの、もう一回でも口にしてみなさい。

 いくつになっても分別がないんだから。

 好き勝手にスペインへ行って何年も暮らして帰ってきたりして。」





「姉さん。姉さん? 姉さん?」



私は呆れて苦笑した。

 



「うわ... また勝手に...」





私はしなくてよかった電話をして

無駄に頭だけがややこしくなった。





『ああ... お見合いの話、またどうやって切り出そう...?』





その日の夕方、カフェを閉めて

家へ歩いて帰っていた。




そのときフンジさんから電話が来た。





「どこですか?」





「家に歩いて帰ってるところです。」





「声に元気がないみたいですね?」





「フンジさん。」




私はしばらく歩みを止めた。





「これは私の意思とはまったく関係のないことなんです。」





「また何の前振りですか?」





「さっき姉さんと電話したんですけど...

 姉さんがお見合いしろって大騒ぎして。」





「お見合いしろって?」





「うちの姉さん、気が強い大魔王なんです。

 姉さんの言うことを聞かなかったら大変なんです。」





「それで?」





「義兄さんの後輩なんだけど、姉さんが日程と場所を決めて

 知らせるから行けって言って電話を切ったんです。」





「行くって?」





「行くだけは行きます。

 じゃないと姉さんが大騒ぎするのが目に見えてるから...」





「それで今、僕に報告してるんですか?」





「違います... 許可をもらってるんです。」





「許可しなかったら行かないんですか?」





「その場合、私は姉さんに殺されます...」





「ふむ... じゃあ日程と場所が決まったら

 僕に知らせてください。」





「なんでですか?」





「そのくらい、僕にも知る権利があるんじゃないですか。

 ジョンアさんの彼氏なんですから。」





「分かりました。

 じゃあ場所と日程をもらったら知らせます。

 怒ってないですよね?」



しばらく沈黙が流れた。





「いいえ。」





「私はちゃんと許可をもらいました!!」





「ジョンア、お前ここで何してるんだ?」 <60話より>


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