僕たちは一線を越えないことにした(シーズン2)

第64話。誓約書



「ジョンアさん。」


フンジさんが私を呼んだ。





「紙とペンを持ってきてください。」





私は不思議そうな顔で

フンジさんを見つめた。





「急に紙とペンを何に使うんですか?」




フンジさんは少し私を見つめてから

何でもないように言った。





「ジョンアさんに誓約書を

書いてもらおうと思って。」






「誓約書?」





私は思わず目を丸くした。


「何の誓約書ですか?」






「俺の彼女として守るべき

項目を決めてもらおうと思って。」






私は彼がいったいどんな項目を書くのか

気になって、ペンと紙を持ってきてあげた。





彼は食卓に座ってしばらく悩んだあと

すぐに何かを一生懸命書き始めた。





そのあいだ私はゲストルームを掃除した。





どれくらい時間が経っただろう。






「ジョンアさん。こっちに来てください。」



フンジさんが私を呼んだ。


私は手を止めて

彼のもとへ向かった。





「書けましたか?」





「うん。見て。

 こんなことを少し守ってほしいんです。」




私は紙に書かれた内容を

一つずつ読み進めた。





    << 誓約書 >>


私はユ・ジョンアはパク・フンジの彼女として

次の項目を遵守します。



1. パク・フンジを除く他の異性との

 身体的接触を一切しない。

 ただし、握手は許可する。



2. 他の異性と二人きりでコーヒーや食事を

 することになった場合はパク・フンジに

 事前に予定と場所を共有する。



3. 他の異性に告白された場合は

 パク・フンジに隠さず話す。



4. カフェの客の中でやたら頻繁に来るか

 話しかけてくることが多い異性客には注意する。



5. 今後はお見合いや紹介が入った場合

 すべて断ることにする。



署名: ユ・ジョンア




「握手は許可する?」



ここからもう呆れた。





「フンジさん。こんなに細かく書いたんですか?

 GPTに聞いたんですか?

 フンジさんがこんなに几帳面なわけないのに...」






「あ... 何のことですか?」




フンジさんはしらを切って言った。





「俺が今までジョンアさんに言いたかった

 言葉で、言えずに我慢していたことなんです。」






「フンジさん。今までどうやって我慢してたんですか?」





私は呆れるのもあったし、

彼がかわいくて笑ってしまった。





「でも... 私は署名できません。」






「え? どうしてですか?」






「いや、私がフンジさんの所有物でもないのに

 こんな誓約書まで書けなんて言うんですか?」



「それに! どれだけ私を信じてないのか

 こんな細かいことまで全部書いたんですか?

 ちょっとむかついてきます。」





「ジョンアさんを信じてないんじゃなくて...

 実は...

 ちょっと信じきれないところもあって...」






「ほら... やっぱり。こうなると思った。」

「こんな誓約書なんかに署名しろって言うなら

 もうフンジさんには会いません。」




彼の目が丸くなった。




「そんなふうに言わないでください...」





「檻でもないのに、なんなんですか?」





彼はしょんぼりした様子で

誓約書をもぞもぞと畳んでポケットに入れた。





私はそんな彼を後ろから抱きしめた。






「フンジさん。

 ミゲルのこと、先に相談できなくてごめんなさい。

 でも私たちの間で、ああいう誓約書は嫌です。

 私はフンジさんを信じてます。」





彼は私の腕をほどいて振り返った。





「俺もジョンアさんを信じてます。

 でも時々....

 ジュリアンのこともそうだし

 代表のこともあって...」





私は彼の手を握った。





「これからはフンジさんだけ見ます。

 フンジさんのためなら

 私は命だって捧げられます。」





私は真剣な目で彼を見つめた。

彼は自分を見つめている

私を引き寄せて抱きしめた。





「ごめんなさい...」




私たちの愛には、まだ信頼が足りないのだろうか...




一週間が過ぎ、ついに今日、

ミゲルが到着する日だ。





昼ごろ到着予定なので、

遅めの朝食を食べてから車を走らせて

空港へ向かった。





到着予定時刻を一時間も過ぎてから

ようやくミゲルが姿を現した。





私はミゲルに向かって手を振った。






「ミゲル!! ウェルカム・トゥ・コリア!!

 会いたかったです。」





私は彼を歓迎して抱きしめ、

自分の車がある駐車場へ案内した。





「ソフィ、元気でしたか?」





「はい。元気でした。

 マリアとアントニオはどうですか?」





「元気にしています。

 韓国に旅行すると聞いたから

 ソフィによろしく伝えてくれって言われました。

 母が渡してくれと言っていたお土産もあるんですが、

 それは家に着いてから渡します。」






「本当ですか? 何か気になります。

 疲れてませんか?」






「疲れてはいますけど、韓国の空港がすごく大きくて

 きれいでびっくりしました。」






「すごいでしょ?

 でも、驚くのはまだ早いですよ。

 韓国には素敵な場所がたくさんあるんです。」





「楽しみです。

 でもソフィの家に泊まっても

 本当に大丈夫なんですか?」





「もちろんです。

 あっ!! でもフンジさんもミゲルがいる間は

 うちで一緒に暮らすことになったんです。」





「... それって、僕のせいですよね?」





「はは... もう気づきましたか、ミゲル?」





「フンジがスペインにいた時も

 嫉妬深いのは知ってました。」





「ビンゴ!!

 ミゲルが韓国にいる間、

 一緒に楽しく過ごしましょう。」






この時までは

ミゲルが韓国に来ただけでうれしかった。



彼にとてつもない秘密があるなんて

思いもしないまま。






「私じゃなくて... 誰と行くんですか?

 <65話の中で>

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