僕たちは一線を越えないことにした(シーズン2)

83話。失言


気分のいい土曜の午後を過ごしたけれど、

フンジさんとの通話のせいで

結局、気分を害したまま家に帰ってきた。





まず外出着に着替えて

掃除を始めた。





近くのマートに行って買い物もして、

散歩も兼ねて家を出た。





『私が母に、次からは

 そんなふうにしないでって言うべきだったのかな?

 でも、ああして母の知り合いに

 一緒に会う機会なんて、またいつあるっていうの……

 ちょっと大げさすぎない?』





考えれば考えるほど、気持ちは複雑だった。




私が正しかったわけじゃないけど

何を間違えたのかも分からなかった。





フンジさんが

気分を悪くするのは分かるけど、

これで腹を立てるようなことなのかもよく分からない。





私の説明を聞けば分かることなのに

いきなり興奮するのが気分悪かった。





いずれにせよ私のせいで気分を害したのなら

うまく機嫌を直してあげたかった。





彼の好きな果物と肉、

夕飯用にベトナム風春巻きの材料を買って

家へ向かった。





家に着くと

まだフンジさんは帰っていなかった。



何時に帰るのか気になったけど

電話して聞きたくはなかった。





私は一人で生春巻きの材料を下ごしらえして

料理を作り始めた。





8時になっても

フンジさんが来る気配はなかった。





夕飯を一人で食べるのは嫌だったので

冷蔵庫に全部しまっておいた。





その時

電話が鳴った。






「ジョンア~、俺、お前んちのアパートの近くだけど

 家にいるならちょっと出てこられる?」





「オッパ。こんな近くで何してるの?」





「うん。一人でドライブに出たら

 お前のことを思い出して、この近くまで来た。」





「下に降りるね。正門の前で会おう。」





私は正門の前に停まっている

車のほうへ向かった。






「ちょっとお茶していくだけなら

 駐車して。オッパ。」





「夕飯は食べた?ジョンア?」





「ううん。」





「俺もまだ食べてないけど、ちょうどよかった。

 じゃあ一緒に夕飯でも食べる?」





「オッパはなんで今まで食べてなかったの?」





「運動しに遅く出たら、そうなったんだ。」





「夕飯はどこで食べるの?

 この近くで食べる?

 それとも車で出る?」





「この近くに私の好きなベトナム料理屋があるんだけど

 そこ行く? 車で行かないと。」






「うん……じゃあそこに行こう。」






夕飯を食べている間じゅう

私がしょんぼりして見えたのか

ウォニ兄さんが私の顔色をうかがっていた。





「ジョンア……

 今日はお母さんと買い物したって聞いたけど

 何かあった?

 それとも、ほかに何か嫌なことでもあった?」





「なんで? 私、気分悪そうに見える?」





「うーん……ちょっと落ち込んで見えるというか……」





「大したことじゃないんだけど…

 さっきデパートで、お母さんの知り合いの方に

 偶然会ったの。

 そしたらお母さんが私を婚約者だって

 紹介したのよ。

 その方、普段からお母さんに、お嫁さんと

 仲がいいってすごく自慢してたらしいの。」





その時、スマホのメッセージ通知が鳴った。



[ジョンアさん。どこに行ったんですか?

 こんな時間にどうして家にいないんですか?]




私はひとまずメッセージに返信せず、話を続けた。





「やきもちを焼いて、その方に

 私を婚約者だって紹介したみたい。

 でも私たちをフンジさんのお姉さんが

 たまたま

 見かけたのか

 フンジさんに話したみたい。





 それでちょっと言い合いになったの……」

「あ……ほんと? ごめん……





 お母さんが余計なこと言ったせいで……」
 
「そんなこともあると思う。

 大したことでもないのに、何を。

 でも、たいしたことでもないのに

 フンジさんが電話であんなに興奮するから





 私もちょっと腹が立ったんだよね。」

「お母さんには気をつけるように言っておく。





 ごめん。」

「いいの……





 お母さんがそんな大きな失敗をしたわけでもないし……」

「それでも気をつけないと……

 



 だから顔が暗かったんだね。」

「年が若いからなのか、

 それとももともとそういう性格なのか……

 たまにこういうことで





 私を疲れさせるの。」





「ビール一杯飲む?」

「いいや……

 さっきの話をちゃんと終えられなかったから

 家に帰ってから続きやらなきゃ。

 オッパ、もう食べ終わった?





 食べ終わったなら、もう行こう。」

メッセージを送っても返事がないので





フンジさんから電話がかかってきた。





「もしもし?」

「なんでメッセージに返事しないんですか?





 今どこだっていうんですか?」

「外です。





 夕飯を食べに出てきました。」






「一人で?」





「いいえ。」






「じゃあ誰と夕飯を食べたんですか?」






「家に帰ってから話しましょう。」





「……誰と食べたのか、言えないんですか?」

「今、家に向かってるところです。





 後で話します。」





「ウォニ兄さんに会ったんですか?」





「はい。」






「なんで俺に先に言わないんですか?」

「フンジさん!!

 今、家に帰ってるところだって言ってるじゃないですか。

 後で話そうって言ったでしょ。





 切ります。」

私は電話を切ってから





イラッとした。

『どうして毎回、誰に会うか





 本人に報告しなきゃいけないの……』





「大丈夫? ジョンア?」

「あ……オッパ。





 私たち、ビール飲みに行こう。」

「え? うん、分かった。





 そっちの家の近くまで行って駐車して、飲もうか。」

私たちはアパートの駐車場に車を停めて





近所の居酒屋に入った。

その間もフンジさんはずっと電話をかけてきて、





結局私は携帯の電源を切ってしまった。

2時間ほどたって

ウォニ兄さんは代行を呼んで家に帰り





私も家に戻った。

フンジさんは私が入ってきても





少しも動かず、リビングのソファに座っていた。

寝室に入ろうとする私に向かって





彼が言った。

「午後はウォニ兄さんのお母さんに会って

 夜はウォニ兄さんに会って……





 こういうことなら、あの兄さんにまた会えばいいんだな!!」

私は寝室へ向かっていた足を止めて





フンジさんを振り返った。





「その言葉、後悔しない自信あるんですか?」」「お姉さんが喜びそうですね。」 <84話の中で>

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