僕たちは一線を越えないことにした(シーズン2)
94話。フンジ公主様の涙

sophie97
2026.10.13閲覧数 38
カフェへ出勤する途中で
不動産屋から電話を受けた。
カフェを引き継いでくれる人が
現れたというのだ。
‘こんなに早く…?’
引き受け手がすぐ現れてよかった。
でも
一方で、細かいところまで
自分の手が入っていない場所がないので
名残惜しく、寂しくもあった。
ジソンさんが出勤してから
私はその知らせを伝えた。
「ジソンさん…思ったより
私たち、もっと早く別れることになるかもしれません。」
「いつも店長が座って
作業していたテーブルが空いていたら
寂しくなりそうですね。」
「私も一人で作業していると
ジソンさんとおしゃべりしていたのが恋しくなると思います。」
私はその日の午後に
引き継ぐ人に渡すリストを整理した。
始まりがいつもときめく分
締めくくりは物足りなくて、名残惜しい。
カフェの仕事を片付けて
家へ向かっていた途中、
フンジさんから電話が来た。
「フンジさん。休憩中ですか?」
「そうです。세모네모!!
今夜、私たちどこか行きましょう。
明日の夜まで休みが取れました。」
「本当?
行きたい場所はあるんですけど…」
「どこですか?」
「またあそこに行ってみたいんです。
私たちがキャンプした場所です。」
「あ~、そこ!! いいですね。
じゃあそこに行きましょう。」
「わあ…すごく楽しみ!!
ちょうど仕事が終わるところだったので
じゃあ帰りに買い物してから家に入ります。」
「私は2、3時間くらい後に
家に着けると思います。
今夜予約できるか確認してみますね。
私にまた連絡がなければ
予約できたと思って準備していてください。」
「はい~、わかりました。
あとで会いましょう、フンジさん。」
突然決まった旅行だったので
さらにわくわくして気分がよかった。
急いで夕飯の材料だけ買って
家へ向かった
必要な荷物を詰めた。
前回みたいにフンジさんが驚くかと思って
今回は最小限だけ荷造りした。
[10分後に着きます。
地下駐車場で会いましょう。]
私は彼のメッセージを確認して
すぐにバッグを持って地下駐車場へ下りた。
しばらくしてフンジさんがバンから降りた。
私たちは彼の車に荷物を積んで
キャンプ場へ出発した。
「平日だからか、すぐ予約できて
よかったです。」
「どうしよう。今、すごく楽しみです。」
フンジさんはかわいいと言いたげに私を見た。
「そんなに行きたかったなら
前もって言えばよかったのに?」
「最近フンジさんが忙しいじゃないですか。
無理して時間を空けさせるかと思って…」
「うちの세모네모が好きだっていうから
私もすごく幸せだ。」
ついに、キャンプ地に着いて
私たちは夕食の準備を先にした。
「でも二回目だからか、
最初よりは私たち少しマシになった気がしません?」
私がフンジさんに聞いた。
「次は私たち、ベテランになるんじゃないですか?」
フンジさんが誇らしげな表情で答えた。
「三回目に来る時は、私たちもう完全にプロのキャンパーですよね?
冬に来たいんですけど...
ここで一緒に雪が降るのを見たいです。」
「冬に来て見ればいいじゃないですか!!
そんなに難しいことでもないのに…」
フンジさんは自信ありげな顔で
私を見た。
でも
生きていると、難しくないことが
時にはかなえにくいものだと
後になって気づく時がある。
肉を焼いて、マシュマロを焼いて
ピーマンも焼いて、きのこも焼いて
持ってきた食材を全部焼いた。
ついに
星が降るような夜になり、
キャンプ場は焚き火のはぜる音と
虫の声でいっぱいになった。
私たちは黙ったまま焚き火を見つめていた。
その時、フンジさんが先に口を開いた。
「ジョンアさん。
もし家でずっと反対されたら
私たち...他の国へ行って2~3年くらい
暮らしてから戻ってくるのはどうでしょう?」
「…」
「それも一つの方法になりそうですけど…」
「フンジさんがそう思うなら
私たち、そうしましょう。」
「つらいですよね?」
「人の気持ちなんてみんな同じでしょう。
つらいけど、理解はします。」
「三か月以内に許しをもらえるって
断言したのに、こんなことを言ってごめんなさい。」
私はゆっくり顔を向けて
彼を見た。
「フンジさん。
そんなことしなくていいです。
私はもうフンジさんの言う通りにすると
決めました。
大丈夫です。」
私は彼に手を差し出した。
彼はそっと微笑んで
私の手を握った。
「でもフンジさん…
私は味方のあなたがいて心強いけど
フンジさんのご両親やお姉さんはむしろ
もっと寂しいかもしれません。」
フンジさんは焚き火を見ながら答えた。
「母さん、父さんがジョンアさんのこんな気持ちを
わかってくれたら、どんなにいいでしょう…」
フンジさんは小さくため息をついた。
「ジョンアさんのお父様は三か月以内に
許しがもらえなければジョンアさんは渡せないと言ったのに…
前門の虎、後門の狼です。」
「フンジさん。
前に私が、家族も仕事も全部捨てて
私と他の国へ行って暮らせるかって
聞いたの、覚えてますか?」
「覚えています。」
「フンジさんが考えてみないといけないって答えたのも?」
「そうだったかな?」
「うん。フンジさんが負担に思うかと思って
私も考えてみるって言ったんだけど...
あの時も私の答えはイエスでした。
私はフンジさんと一緒に行けるなら、どこでも構いません。」
フンジさんが私を見ていた。
私が顔を向けて彼を見た時
彼の目は涙でいっぱいに光っていた。
私は流れる彼の涙を
手でぬぐってあげた。
「時間がたてば、私たちを受け入れてくれます。
だから泣かないで。フンジ姫。
姫が泣くと、私の心が引き裂かれます。」
"どうですか? 今回は成功ですよね?" <95話の中から>





