僕たちは一線を越えないことにした(シーズン2)

95話。初体験


「フンジさん。

 明日まで予定ないって言ってましたよね?

 じゃあ明日の夜、

 お兄さんと友達を招いて一緒に夕飯食べましょう。」





「明日の夜ですか?

 キャンプに行ってきたのに疲れてませんか?」





「家に帰る途中で買い物して...

 2〜3時間あれば料理できるんじゃないですか?

 やったことがないから、まったく見当がつかなくて。

 その代わりフンジさんが少し...

 あ!! いえいえ。」





「僕に料理を手伝ってほしいって

 言おうとしてたんじゃないですか?」






「考えてみたら、あまり役に立たなさそうで...」





「あ... どうしてですか〜。私が手伝いますよ!!」






「いいえ。料理じゃなくて...

 フンジさんは掃除をしてください。」





「僕は料理がメインなのに... 残念だ。」





「メニューは何にしましょう?

 前にテレビで、男の人はたいてい

 プルコギが好きだって見たんですけど、

 合ってますか?」






「あ!! プルコギは愛ですよ!!

 それでいきましょう。」





「それと... ほかに...

 サイドメニューは何がいいでしょう?」





「僕らはプルコギだけでも

 ご飯一杯ぺろりなんだけど。」





「だからって招いておいて

 メニューを一品だけ出すのも恥ずかしいじゃないですか。

 チャプチェはどうですか?

 でも私に作れるかな...」





フンジさんは私を見つめてから

慎重に尋ねた。





「ジョンアさん。

 全部初めて作るメニューじゃないですか?

 大丈夫ですか?」





「動画を何度も見てから

 今夜寝る前に頭の中で

 シミュレーションしてみます。」





あれこれ悩んでいるうちに

また一つメニューが浮かんだ。




「そうだ!! プデチゲにしよう!!

 いいですよね、フンジさん。」






「あ、いいですね。プデチゲ。」





「それに卵焼き、カボチャチヂミ

 そんな感じで品数を少し合わせないと。

 メニュー決定!!」






「ジョンアさん。」






「はい?」






「ジョンアさんは、僕と会ってから初めてやったことって何ですか?」






「私は... 漢江でチキンを食べたのが初めてで、

 彼氏の髪を乾かしてあげたこと。

 朝ごはんを用意してあげたこと。

 コーヒーを淹れてあげたこと。

 彼氏の友達に料理を振る舞ったこと。

 一緒にキャンプしたこと、星を見に行ったこと。

 考えてみたら... フンジさんと初めてやったことって多いんですね。」






「僕がジョンアさんと初めてやったこと、何だと思いますか?」





「何ですか?」





「愛です。」





私は一瞬、どう反応すればいいのか迷った。

笑えばいい冗談なのか、

感動すればいい本気なのか...





「フンジさん。

 私、今リアクション壊れてます。」





「本気ですよ。

 こういうのが愛なんだっていう感情は初めてです。

 誰かをこんなにたくさん、

 本気で愛したことはなかったんです。」





私は彼をじっと見つめた。

緊張しすぎて瞬きもできなかった。





「な...何でですか?

 どうしてそんなふうに見るんですか?」





「いいえ... ただ...

 少し胸がいっぱいで。」





そう言って、彼は顔を伏せた。

そして視界が次第にぼやけていった。





「あ... ごめんなさい。

 泣かせるつもりで言ったんじゃなかったのに。」





「フンジさん。

 焚き火を消してください。

 ちょっとトイレに行ってきます。」





「暗いから一緒に行きますよ。」





「いいえ。一人で行きます。」





私はトイレに行く口実を作った。

彼に何と返せばいいのか、

今感じているこの感情が何なのか

わからなかった。





『私はこのくらいの愛を受け取っていいのかな...

 あの人を失望させずにいられるかな。』




一方で、不安な気持ちも湧いてきた。




気持ちを落ち着けて再びテントに戻ると、

彼は後片付けをしていた。





私たちはそこでの二度目であり

最後の夜を過ごした。





翌朝。

簡単に朝食を済ませた

私たちはソウルへ向かった。





車の中で、買うべき食材を

あらかじめ注文した。





家に着くやいなや

フンジさんは家の掃除を始め、

私は料理の準備をした。




昨夜、料理動画を

何度も繰り返し見たおかげか、

前回よりずっと手慣れたようだった。




プルコギはタレに漬けておいて、

ほかのおかずも一つずつ準備した。




客たちが到着する時間が近づいていた。




テーブルの準備を終えたあと、

メイン料理のプルコギを火にかけた。





料理が完成したとき、

フンジさんを毒見役に呼んだ。





フンジさんはプルコギを一口食べると

目を丸くした。





私は自信たっぷりの声で尋ねた。





「どうですか? 今度は成功ですよね?」





フンジさんは親指を

二本も立てて見せた。




そのとき、チャイムが鳴った。




フンジさんがドアを開けてくれた。





「わ〜、やばい!! おいしい匂い!!」





「フンジ。来たぞ。」





フンジさんの兄の手には花束があった。




「招いていただいたのに、手ぶらで来るのもあれかなと思いまして。

 花がお好きかわかりませんが....

 どうぞ。お姫様。」





「あ... お姫様はまだちょっと慣れませんね。ふふ

 お花、大好きです。ありがとうございます。

 いらっしゃい。」





私たちは前回よりずっと気楽な

雰囲気で食事を始めた。



でも

私は彼らの反応をうかがって

冷や汗をかいていた。




彼らもまた

前回のしょっぱさを覚えているのか、

口に入れる前から

緊張した様子がありありと見えた。





でも

いざ食べてみると、みんな眉をひそめた。





『あれ、ガチだ!!』




私は心の中で歓声を上げた。






「わ〜!! 本当においしいです!!」




私はフンジさんを見ながら

眉を上げた。





「フンジが時間あるときはいつでも来てね。」 <96話より>

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