数日間。
キム・ドフンはいつもと同じだった。
いや。
いつもより、もっと慎重だった。
「これ。」
サークル部屋に入るやいなや、私の席の上に缶コーヒーが一つ置かれていた。
私がいつも飲むブランド。
「え?」
隣にいた先輩が笑った。
「ドフンがさっき買っておいたんだよ。」
「...」
「遅れるって言ってたから。」
私は黙って缶を手に取った。
冷たい。
さっき買ったばかりだった。
『どうして平気なふりをしてるの。』
数日前。
カメラを見ながら交わした会話は、まるでなかったことみたいに。
ドフンはまた、ほどよい距離を保っていた。
妙に息苦しかった。
-
撮影が終わったあと。
メンバーたちは一人、また一人と先に帰っていった。
私はわざと荷物をゆっくり片づけた。
「帰らないの?」
後ろからドフンが聞いた。
「...一緒に帰る?」
口にした瞬間。
ドフンの表情がほんの少し変わった。
「...うん。」
-
二人は並んでバス停まで歩いた。
慣れた沈黙だった。
前も。
二人はあまり口数の多い間柄ではなかった。
ただ一緒に歩いた。
それだけで十分だった時期があった。
「ドフナ。」
「...うん。」
「一つ聞いてもいい?」
「うん。」
「なんであの時、言わなかったの?」
「...何を。」
「同じ大学、同じ学科に行こうって勉強してたって。」
ドフンはしばらく答えなかった。
街灯の下で、ゆっくり笑った。
「...言ったら、重いかなって思って。」
「...」
「それに。」
少し息を整える。
「君に嫌われるかもって。」
「...」
「勉強する理由が君だって言ったら。」
「...」
「君の負担になる気がして。」
ヨジュは何も言えなかった。
これまで。
負担を感じていたのは。
むしろ自分のほうだった。
「私も。」
ヨジュが口を開いた。
「...ごめん。」
ドフンが顔をそむけた。
「あの日。」
「...」
「先生に文系に行くのはどうだって言われたんだ。」
「...」
「その瞬間。」
「...」
「みんなが、僕は君に敵わないって言ってるみたいだった。」
静かな夜。
バスが一台通り過ぎた。
「だから。」
「...」
「君に腹を立てたんだ。」
「...」
「カメラにも。」
声が震えた。
「...ごめん。」
ドフンはしばらく黙っていた。
そして、ほんの少し笑った。
「...それを、今言うのか。」
「...」
「本当に理由が分からなかった。」
「...」
「自分が何か間違えたのかと思って。」
「...」
「ずっと考えてたんだ。」
なぜ。
キム・ヨジュが自分を嫌いになったのか。
ヨジュは初めて。
ちゃんとドフンの目を見た。
その目にも。
自分と同じように、長く残った後悔があった。
「私たち。」
ヨジュが先に言った。
「...もう、謝るのはやめよう。」
「...」
「君も。」
「...」
「私も。」
ドフンは少しのあいだヨジュを見つめてから。
ゆっくり笑った。
「...うん。」
短い返事だった。
でも。
何年もほどけなかった結び目が。
静かにほどける音みたいだった。
-
バスが来た。
二人は並んで乗り込んだ。
席は一つしかなかった。
「座って。」
ドフンが言った。
「君が座って。」
「私は大丈夫。」
「僕も大丈夫。」
少し押し問答したあと。
結局、二人とも笑った。
「...子どもっぽい。」
「だよな。」
ヨジュは窓際に座った。
ドフンは隣に立った。
バスが発車して。
窓の外を流れる明かりを見ていたヨジュは、ふと顔を上げた。
窓に映ったドフンは。
中学生の頃も。
高校生の頃も。
いつも自分のそばにいた、あのままの姿だった。
その時だった。
バスが大きく揺れた。
「わっ。」
体が前に傾いた瞬間。
ドフンが反射的にヨジュの腕をつかんだ。
「...大丈夫?」
「...うん。」
短い返事。
手はすぐ離れたけれど。
ヨジュの心臓は。
なかなか落ち着かなかった。
-
家の前のバス停。
二人は一緒にバスを降りた。
別れようとした瞬間。
ドフンが後ろから呼んだ。
「ヨジュ。」
「...うん?」
ドフンは少しためらってから笑った。
「...よかった。」
「...何が?」
「また声をかけてくれて。」
そう言い残して。
ドフンは先に歩いていった。
ヨジュはしばらくその後ろ姿を見つめた。
そして、ほんの少し笑った。
「...ばか。」
昔は知らなかった。
キム・ドフンも。
自分と同じくらい、不器用だったなんて。
