放課後にユジョンと二人きりで会ったときも、テヒョンは何も言わなかった。
「…」
誰なのか聞きたくてたまらなかったけれど、ユジョンにはどうしても聞けなかった。
いや、知りたくなかった。
ここにいるはずのない自分が、かえってソルファとテヒョンの間を邪魔してしまったのではないか、そんな考えのせいで。
だとしたら、あまりにも惨めだった。
ユジョンとテヒョン、二人きりになった教室には静寂が流れていた。
いつもならテヒョンも
「誰なのか聞かないの?」
と、かわいく聞いてきたはずなのに、
彼は静かだった、あまりにも不自然なくらい。
「今日は…ちょっと気の抜けない一日だった、よね。」
ユジョンの会話のきっかけにも、テヒョンは黙ったまま教室の床を見つめていた。まるでそこにすべての答えがあるかのように。
ユジョンはその姿に涙が出そうになったが、ぐっとこらえた。
『結局私は…テヒョンにとって何でもないのかな…ただ間違った世界に生きている物語のエキストラみたいに、私も結局は最初から何でもなかったんじゃない…』
そんな考えが押し寄せて、ユジョンの胸をえぐった。
「あまり話したくないんだね…わかった。 …私、今日はもう帰るね。」
バッグをあさるようにして出ていく準備をするユジョンを見ても、テヒョンはただ傷ついた表情で彼女を見つめるだけで、何も言わなかった。
『なんで自分がそんな顔をするの…傷ついてるのは私なのに…』
「ちょっとだけ…ただ一緒にいて…」
そのとき、かすれた声で彼女を引き止めるテヒョンを見て、ユジョンは振り向いて彼を抱きしめた。
「いくらでも一緒にいてあげる。つらいなら…言えってば、このバカ。」
ユジョンはテヒョンの目にきらきらとにじんだ涙を、必死に無視した。
